勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

飯高で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

北へ南へお届け松阪

昨年7月にエントリーしたふるさと納税返礼品としての「亀成園卵と麺セット」はおかげさまで完売になりました。限定20セットで登録していたので、そんなに大人気でバカ売れというわけでもないのですが、12月から毎週のように申し込みがあり、年度末を待たずに売れ切ったのは十分な拍手案件であります。


まあ2割は友達なのですけどね。ふるさと納税サイトに登録してあれば、後から振込の手間がないし申し込みやすいようです。なんにせよありがたいことで、友達に気に入ってもらえるのは本当に嬉しいことです。そしてこれまた友達だからこそできるご指摘もあり、率直な声を受け止めて改良に繋がります。卵も麺も壊れやすい商品なので、梱包の工夫もおおいに反省することになり、ためになりました。


今年度締め切られてしまった方、4月からの再開をお楽しみにして下さいね。昨年度の小麦の収穫量がかんばしくなかったため、どれだけ提供品として確保できるかわからないのですが、櫛田川の清流が育んだ卵と麺セットに興味を持ってくれる人がいるならば、できるだけ発送対応できるのが本望です。


f:id:kamenarien:20200121204127j:plain


やはりこの地域の一番の魅力は清流なのです。ダムができて川が汚れて昔の面影もないと嘆く人はおりますが、ダムの影響がなかったところやダムの上に行けば、昔に劣らない美しい水の国にたどり着けます。松阪市全部が清流に恵まれているわけではないのですが、松阪市には清流があり、それを愛する人々がいて、清流あってこその美味しさに満ちている、ということが少しずつでも伝わればいいなと描いています。


たまたまではありますが、ふるさと納税返礼品に亀成園セットを選んでくれた方には北海道の方も鹿児島の方もおられました。友達でなくて。日本に住むほとんどの人が全国の都市部におられるわけですが、農山漁村に住んでみたい人、子供の頃は田舎で暮らしていた人、なんとなく故郷と呼べる場所に憧れる人は都市部住民の25%くらいはいると思うのです。亀成園がめちゃくちゃ大きいの方の実際のふるさとになることはできませんが、卵美味しかったなぁとか行ってみたいなぁとか田舎を探すなら松阪もありだなぁとなんとなく描いてもらうことはできるのかもしれません。


出会いの100%が好印象でなくとも、75%くらいは微笑ましい関係であることが望ましいです。私たちにできることは、とても美味しい卵を提供し続けること、個々の対応を信頼あるものにする努力をし続けること、与えられた立場に感謝することらなのでしょう。


小さな養鶏家が売れるものは本当にわずかです。卵を売るだけで生きていけるほど世の中甘くはありません。それでもうちには売る価値のある卵があることは一朝一夕で手に入れたのではない、価値のあることなのです。


雑草の少ない冬場、鶏たちの餌に茶葉を混ぜていつもの餌と一緒に発酵させています。寒いので餌を仕込むのは土間なのですが、夜はいつも茶葉の良い香りがしています。どうしても産み数が少なくなってしまう冬ですが、育てる過程での良い香りは心を穏やかにさせてくれます。冬らしくない冬はそれはそれでとても心配なのですが、卵の季節はやはり春なのです。まだまだまとまらない自分の心に問い掛けてみると、もう少し卵の数が欲しいのが本音です。どんどん売ってガハハと笑いたいのが偽らない気持ちです。それが叶わない今はちょっと苦しい。けれどまあもどかしい季節を一緒に乗り越えてこそ、絆は深まりますね。人間同士も、仲間である生き物とも、もっと大きな環境とも。


もしもふるさとが選べるなら、私は今の場所を選びたいです。この場所と最期まで付き合っていく未来のために、小さな発信を続けられることに感謝です。ちょいと陳腐になりました。

200回突破とゲストスピーカーの宣伝

このブログ「勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行 続」もなんやかやで200回を迎えました。

それなりに課しながら、重荷にはならないようにしつつ、気が乗ったら書くというスタンスで更新しているわりには、ルーチンでもなくあまり空くこともなくいい付き合いができているなと、俯瞰してみて微笑んでしまいました。


私がたどり着いた新しい故郷、松阪市飯高町での自給率の高い田舎暮らしを書き留めておきたい、生き物との関わりや子供や学校の様子、流れゆく慌ただしい時代にあってもブレずに守りたいもの、その心情なんかを泡と消えてしまわせずに片鱗を残しておきたい、そして何より自身の文章力を磨きたいという、ものすごく個人的な思いでブログを始め、続けております。


けれど200記事までいいペースで続けてこれたのは、それなりに書いた先にある人を意識できたおかげなのです。何人かの具体的な顔はもちろん、見知らぬけどつながっているような人の存在って、書き手を謙虚にもし、調子に乗らせもするのですね。全面支持なんてないことはわかっているけれど、少しは誰かの心が前向きになったり楽しくなったり温かくなる力がもし私のペンにもあるならば、私は意地でもペンを離したくはないのです。これだけ情報が溢れ、雪崩れ、竜巻となっている時代に、なんの権力もない者の少しの言葉なんてほぼないも同然なのですが、生身の人間は必ず誰かとつながっていて、結構誰かの言葉が大事なことがあるのですから。


未来の自分が微笑んでくれるような今の私の言葉を、これからも重ねていきたいです。百回「きれいだね」と言われるよりも一回「文章が好き」、と言われる方が私は嬉しいです。前者はほとんど耳にせず、時々後者をもらうことがあるので、実にめっちゃ幸せですね。小学生のときから変わらぬ好きなことがあるだけで幸せなのですが、もっともっと磨いて溜めていつか夢に届きたいと思っています。ペンで森林を守るという壮大な夢にね。


と、ここまで自己陶酔してしまいましたが、ここからちょっとだけPRです。


昨年度二月に初めて三重県の移住相談会に先輩移住者としてお邪魔させてもらったのですが、ありがたく今年もお話を頂きまして、二月頭に大阪で少し話をすることになりました。

f:id:kamenarien:20200117231503g:plain


新たに田舎で農的暮らしにチャレンジし、地域の食について愛を込めて語れる人として、確かに私は適材なのでしょう。話は三十分以内でメインは試食会なので、あまり熱を入れて語り過ぎないよう発表内容を考えているところですよ。それから市の担当者と一緒に食材選びもしてきました。この写真で無料軽食付きのイベントに惹かれて申し込んでしまうたまたま暇だった街の人には申し訳ないけれど、今回松阪牛はお出ししません、悪しからず。豪華な海産物も期待できないかもしれません。その代わり飯高の美味しいものはしっかり持って行くので、本当に田舎に関心がある人には満足なラインナップだと思います。


私が伝えるのは、この先何が起きてもたくましく生き延びていけるはずの食べることの話。それからこの地域で出会った美味しいものに関わる人たちの話です。どれだけ自給率を上げようとも、何もかもを自分で賄い助けを借りないなんて生き方は田舎では特にもったいないです。私が好きなのは自ら頑張りながらも物々交換によって潤う暮らし方なので、多少こちらにあるからこそ差し出せる立ち位置にいることになるという意味で、自給率を上げるのは楽しいことだなととらえています。そしてだんだん自給率を上げていくと、単純に生き延びる自信につながるので、この数年で出来るだけ上げてきたまでです。昔思っていたより以上に豊かな食生活になっているのは地力あってこそだったのでしょう。あとはありがたい人のつながりですね。


まあそんなことをオブラートに包みながら、一般的に伝わるよう面白く穏やかにお話しできればなとムズムズしております。もし本当にご興味のある方はお早めに。ふぅん、へぇ、ほぉ、な方は、とりあえず事後報告をお待ちあれ。せっかく大阪に行けるのに前後ほとんど自由時間を入れられないことが悩ましいですが、懐かしの(わずかな社会人生活を送っていた)肥後橋とどのくらいシンクロできるのかが楽しみです。

どうにもぬるいとゾワゾワしていたら

フィリピンの首都マニラから南へ50キロに位置するタール火山が噴火したようです。

f:id:kamenarien:20200113155204j:plain

Dante Pamintuan氏 撮影


フィリピン郊外の地で暮らしていた時は何度も訪れた場所で、火山湖の中にある火山湖という珍しいロケーションで、楽しい記憶がいっぱい詰まった場所です。


以前暮らしていた時の友達らの投稿は当然この話題でもちきりです。とりあえず皆無事ではいるようですが、停電や流通のストップで暮らしの深刻さが増していくのはこれからなのでしょう。


町中が火山灰だらけと聞くと、桜島を想起させますね。ある程度の予備知識があり慣れがある中での火山灰なら共存もできるのでしょうが、あの穏やかだったタール火山が一気に噴火したとなるとやはり冷静でいるのは簡単ではなさそうです。


今年の冬は生温すぎて、何かありそうだと落ち着かないでいたら、早速所縁の地の一つが混乱しております。無事に収まってくれたらいいのですが、収まったらそれでよしというわけにはもはやいかないところまできているのでしょう。地球がガスで満ちていくのを次々知らされるのが必至になっているのかもしれません。


苦しい中できることはなんなのだろう。ちょっとでも力があれば火を鎮めて温かくなり過ぎている海を冷やしたいですが、それはあまりに壮大なパワーが必要です。


なんだか書いても書いてもGoogle翻訳のようなぎこちない文章になりますね。動揺隠せないほどに心がざわついているのです。


タール火山のあるタガイタイという町は、暮らしていたサンタロサより高原で、果物がわんさか売っている町です。山の斜面がパイナップル畑になっていて、馬が多くて、素敵なレストランもいっぱいなところです。マニラには行かなくてもいいけどタガイタイにはまた行きたい。とりあえずその思いだけ、今は大事に留めておきたいです。

三重県でお土産を選ぶなら

知り合いのライターが書いた三重県のまとめ方に膝を打ったので、備忘録も兼ねてご紹介。


三重県はほんと美味しいものがいっぱいなのです。代表的なA級グルメの松阪牛と伊勢海老にあやからなくても地の物が美味しい、暮らすに良いところ。


B級グルメもいろいろあるけど、伊勢うどんはともかく、津ギョウザや松阪鳥焼肉などは駅前にはないし、どこがいいという基準もなく、地元では愛好されていて実は実に美味しいのです。


まあ三重がこれから愛される可能性の伸び代が大きいのは嬉しいことですが、もったいないことしているのが現状です。


でもそんな三重に近付くいい記事がこちら↓


https://mie-hamaji.com/2020/01/3735


三重生まれ三重育ち、三重をこよなく愛する彼でもまだまだ知らないところがあるミステリアスな三重県。私も未だ魅せられまくりです。取材旅行に行ける身分になりたいです。


まあそんな中でもとびきり美味しいものといったら、やっぱりうちの卵ですね。はい、自己満足で締めました。

f:id:kamenarien:20200107175445j:plain



いろいろとお正月らしいこと

絶対に近未来だと信じていた2020年が現実になってしまい、なんだかむずがゆい年明けです。年末年始と天候もやたらに穏やかでリアリティに欠ける気すらします。そうやって斜に構えていたら天罰のように久々に喘息の発作がきて、真面目に普通に生きていたいと強く突きつけられることになりましたよ。平穏ってありがたい。今年度は新しい事業計画ばかりで心配すればキリがありませんが、怠けずおごらず無私を突き詰めて頑張れば、きっと道はあるはずなのです。七転び八起きに向けて進むしかない亀成園を、どうぞよろしくお願いいたします。

f:id:kamenarien:20200104182737j:plain


さて食料自給率七十五%を掲げる亀成園ですが、おせち料理は流石に手強かったです。大根、人参、かぶ、ネギ、水菜、サツマイモ、栗を駆使してお煮しめと栗きんとん、酢ごぼう、なます、お雑煮はほぼ自前でできたものの、コンニャクと椎茸はもらいものだし、レンコンは購入になりました。数の子、いくらは仕方ないとしても、黒豆もそろわずごまめのかえりに伊達巻のハンペンも購入で、お正月とはどうしたって流通に巻き込まれなければならない時なのだと腹を括らねばなりませんでした。それでもとっておきのゴボウと干し柿が活躍してくれたので、手作り感は高かったですよ。見た目はイマイチですがあっさり味のおせちは身体を優しく整えてくれます。

f:id:kamenarien:20200104182824j:plain


新年を迎えるのに用意するのは、しめ縄に鏡餅、門松などがあります。鏡餅は餅つきのときに準備しますがどうにもひび割れてしまってお見せできず、玄関用のしめ縄も私の腕不足でイマイチで、なかなかピシッと決まりません。神様はあきれているのでしょうか。けれど自分で手を動かしてこしらえてみると、寺社仏閣に飾ってあるワラ飾りや門松、お供え餅などがいかに優れた捧げ物なのか身に染みてわかるのが良いです。先人たちがたゆまず重ねてきた知恵と技と祈りが、無感動に通り過ぎずに向き合ってみるきっかけとしてでも、自分でやってみる体験は続けていきたいですね。子供たちのビーズ細工と折り紙の力を借りた、離れ用のしめ縄はこちらです。しめ縄の厳粛さは無くなって、ワラのリースな感じですが、神さまも微笑んでくれるかな。

f:id:kamenarien:20200104183007j:plain


初参りは除夜の鐘をついたすぐ後に近所の氏神様に詣でました。小さな子を十二時過ぎてまで起こしておく初チャレンジをして、地域に根差した年越しができました。お伊勢参りもよいのですが、今年は人混みを避けたかったので、近場が正解でしたね。その他年明け二日目に飯南任柿のわらオブジェ「たまちゃん」には会いに行きました。大きくてめでたくて可愛いですからね。新年用にわら拵えの門松を置いてもらっていたたまちゃんは、前にも増してめでたい存在で、人招きのご利益にあずかりましたよ。

f:id:kamenarien:20200104183050j:plain


昨日今日と実家のある京都に訪れて、人混みはなるべく避けたいので人気のスポットなどはちっとも立ち寄らなかったのですが、流石京都のこと、そこかしこに赤い鳥居があり、着物をお召しになった方々がおり、観光客の外国人が沢山いて、たっぷりの異文化体験でした。今は京都が圧倒的な観光スポットですが、そのうち田舎に流れが変わっていったらいいなぁ、もっと日本ののんびりしたところを国内外の人に知って欲しいなぁと、お仕事目線になりました。いえ、まだ仕事始まってないんですけどね。ちゃんと観光業がしたいです。私好みの、息が詰まらない、魂が安らぐ場所案内を。旅人にとって2020年代はきっとそんな時代になります。


たっぷり骨休めをしたお正月を過ごした後は、一歩一歩前進に取り組みたいものですね。




亀成園の年末所感2019

2019年もカウントダウンです。毎年大晦日で一気におせち作りをすることにしているため、もうてんやわんやなのですが、亀成園にとっての一年の振り返りはしておきたく筆をとっています。


まず卵ですが、今年前半にそこそこ頑張って営業活動をした成果があり、おかげさまで後半は在庫を抱えて困ることもなく売り切ることができています。元々数は少ないので売れる流れができればよかったのです。飯高地域の美味しさを詰め込んだ安心の平飼い卵で、六個入り一パック三百円のお手頃価格のため、知人に会う時の手土産に購入してくださる方もあり、地道にファンと話題を広げています。一パック八百円の烏骨鶏卵は健康のため自分を気遣う世代に好評です。予約して買い占めて下さるお客様もいるため数が少ないのが悩みでしたが、ついここ二ヶ月くらいは去年生まれの雌鳥が産卵期のピークを迎えているのか今までにない勢いで産んでくれています。


百羽以下の小さな養鶏で、いつも数は限られているため卵商売だけでは口にのりすることはできませんが、卵があるおかげで亀成園の存在価値が認められてきたのは大きな事実です。


そんなこともあり、今後亀成園は卵の他の事業も手がけねばと、この一年農家民宿への道を探っておりました。観光の希望地が日本の都市部や観光地だけでなく田舎にも広がる中、農家民宿の需要は高まっています。多岐の役所への申請が必要で、許可を取るためには改装も必要なので思い立ってすぐにできる家ではありませんでした。2019年の前半は香肌小学校の親子山村留学実行委員長として関心と時間を取られていたためなかなか進まなかったのですが、夏以降徐々に準備をしています。


親子山村留学も今年は残念ながら成果がなく、関係者一同なかなか喜びを共有できずジリジリしております。このまま小学校は消滅してしまうのかと懸念すればくじけそうにもなりますが、土台作りは時間がかかるもの、待つからこそ光は強いと信じて、活動を継続していかねばなりません。香肌小学校を必要とする親子は絶対にいるので、きちんと情報が届き、認知され、思案あってまずコンタクトしてもらうためにも、この地での民泊が望まれます。

f:id:kamenarien:20191231154127j:plain


今年は米作りも始めたため、田植え期と稲刈り期は忙しかったです。初めての体験を詰め込んで力を注ぎ、でもだからこそやっと自分たちの米を口にすることができ、全体の自給率は七十五%くらいに上がりました。芋類も順調だったので、生きる実感を積み重ねた農的成果でした。


ここまでが亀成園の主にお父ちゃんの2019年でした。PTA会長も引き受け、草刈りや季節の単発仕事もあり、罠猟も年を通して行い、漁協の仕事も入るようになったため本当に目まぐるしい一年でした。よくこなしたものだと驚きです。


私はといえば、週二回はパートに出、週一程度学校のボランティアがあり、親子でトランペットの練習に通い、四人の子供の諸行事に頭をこんがらがせていた日々でした。それでも六月まではのんびり暮らしていたのです。なにせ息子が一年生になるショックが大きくて、あまり力が残っていなかったもので。けれどどうも彼は大丈夫そうだと思い出した夏から、縁あって県主催の「農山漁村起業家養成講座」というのを受けることになったのです。


これは曽根原先生という山梨の過疎地域を開墾されて一大ビジネスを仕掛けているスモールビジネスのスペシャリストが、全国で農山漁村起業家を育てている講座の一つです。

日本の田舎は宝の山 (日経ビジネス人文庫)

日本の田舎は宝の山 (日経ビジネス人文庫)


講師として全都道府県に出向いた実績があるなんて雲上人のようですが、三重県でも十一年前から毎年起業家が養成され、受講者が各地で活躍しているそうなのです。伊勢の和紅茶を手掛けたとか、SUPを用いた美容ツーリズムとか、なんだか素敵だなと思っていた三重県の活動の陰にはちゃんと県の仕事があったのです。


飯高では香肌峡でのカヌーやトレッキングのガイドやPRをして、今年地域メディアの寵児だったi sierraという団体の代表が昨年の農山漁村起業家養成講座の受講者でした。元々この講座を紹介してくれたのをはじめ、先輩として飯高活性化仲間として何度となく葉っぱをかけて下さいました。


http://i-sierra.com



なにせ私はあわよくば謎の不労所得で生涯呑気に無名の文化人として生きていきたいと思っておりました。だが悲しいかな、謎の不労所得なんてものはありません。これから生きて子供たちの手本となるにはつべこべ言わず働かねばなりません。起業するなんて遠い他者の運命と思っていたけれど、細々働くのに向いているとも思えません。えいやで学び始めたビジネスというテーマは、難しいけれど楽しいチャレンジだったのです。


幾つになってもファンタジーを愛読していた私が、スモールビジネスや自己宣伝力の本を手にするようになり、この半年で頭の中がガラッと変わったような気がします。講座は七月末から一月末の期間でまだ終わってないのですが、年が明ければ卒業に向けての発表準備になります。それがこなせれば講座は修了となり、晴れて自分のビジネスプラン実現に向けて動いていかねばなりません。あきらめなければ私も起業できるのです。足元から一歩一歩、大好きな飯高の観光を盛り上げる仕事をしていく決意です。


そんなこんなで今年度中は生活も仕事もまだ大きな変化は少なくて、とにかく準備と自分の内なる変革に費やされた2019年でした。種は巻かれて土の中でたっぷり栄養源を探っているところです。2020年にすぐに実らずとも、時間をかけて地盤を整えてきた自分たちの力とありがたいご縁を信じて、迷わず挑んでいきたいです。


今年度私のブログを見て下さった皆様、ありがとうございました。細々と自由に呑気に書き続けてきただけですが、大切なネタが沢山溜まってきました。ブログの一番の読者は書き手自身だと言いますね。私もそうやって自己満足をしてきた身ですが、もう少し発信力を高めたいなどの野望も育てています。気負い過ぎては自滅するし、今夜は煩悩を払う大晦日なので、そろそろお口チャックですが、なんだか武者震いの年末所感ですよ。寒波襲来対策をして、どうぞよい年をお迎え下さい。


鳥の巣から子育てを学んだ記念日

今年を締める前に欠かせない日を振り返ります。


私はいつも飯高町の隣町である多気町の勢和図書館を利用しているのですが、入り口の情報コーナーにあるチラシをさらっとチェックすることにしています。図書館でのイベントや近隣のマルシェやお祭り情報など、日にちが合わず参加できなくてもどんな楽しみがあるのかなと想像をふくらませることができるし、行動のきっかけは一枚のチラシであることも多いのです。そうそう、香肌小学校の親子山村留学のチラシもさりげなくここに置いてもらっていますよ。必要な誰かの目に留まることを願って。


そんな中、これはとピンときて参加してきたのが、津市久居にあるふるさと文学館という、これまた素敵な図書館で行われた、絵本作家の鈴木まもるさんの講演会です。1215日のことです。講演会に先駆けて11月初めに整理券の配布があるというのでそのためだけに久居まで行くのは流石に気が引けたのですが、子供たちの試合があったことでこれは追い風と整理券をもらい、楽しみに楽しみに行ってきました。他に魅力的な海のイベントもあったのですが、30年も大事にしている本の挿し絵を描いてくださった方に会える機会が最優先です。


実際に会ってみた絵本作家兼鳥の巣研究家の鈴木まもるさんは、山で暮らして絵を描いてます、という温かい雰囲気そのものの器の大きなお人でした。ホワイトボードに即興で次々絵を描きながら、一番前の子供たちを指名して協力してもらいながら、鳥の巣の話、子どもが育つ課程の話、生き物の美しさなど、楽しく深く滑らかに、飽きさせることなく三時間語って下さいました。


なにせ長い講演でした。途中鳥の巣が子供達によって回された時以外はほぼお話を聞く態勢なので、小学生にはハードな時間だったのですが、しっかり付き合ってくれてまた子供に借りができました。有名な絵本作家さんとはいえ、絵本作家は芸人さんよりもマイナーな著名人です。何かの折に「この中で読み聞かせされている方」との質問に、すごい割合で挙手がありました。母親世代はほとんどが読み聞かせボランティアで埋まっていたのではないかというくらいです。つまりそういうマイナー志向の人々が集まっているもので、連れて来られた子供たちも親の感動を受け止めてくれる素地ができていたのでしょう。我が子も他人の子もよく頑張ってくれたなとじんわりします。


鈴木まもるさんは鳥の巣研究をされているので、鳥の巣の話をしてくださいました。鳥によって巣の形は全部違うそうです。私にはとても見分けがつかない似たような鳥も、巣を作る場所も素材も造形も様々で、親に教わるわけでもなく自分たちでこしらえます。中には自分で巣を作らず他の鳥の古巣を利用したり地面で直に抱卵する鳥もいますが、敵の多い小鳥にとって巣はとても大切で、種の継続に関わるので、時間をかけて丁寧にこしらえるようです。

鳥の巣の本 (絵本図鑑シリーズ)

鳥の巣の本 (絵本図鑑シリーズ)


鳥の巣を下から見るとわりとごちゃごちゃしていて適当な作りに見えるけど、中は本当にすっきり清潔に保たれている話や、鳥の巣はお腹にぴったりハマる丸い形になっていて、まさに哺乳類の母胎の中と同じである話、生まれた雛を献身的に世話してきた親鳥が、ある日全く餌を運ばなくなりながらも根気よく見守って巣立ちしていく話など、鳥そのものでなく巣を研究されてきたからこそ気付かれた話が盛り沢山で、しかもそれは鳥の話のようでいて案外私たち親子の関わりにつながる親しい話でした。赤ちゃん絵本も出されている優しい作家の手にかかると、生き物は美しく気高く温かです。

みんなあかちゃんだった (えほん・こどもとともに)

みんなあかちゃんだった (えほん・こどもとともに)


スライド写真もたくさん見せてもらいました。アフリカの電柱にかぶさった巣、建て増し建て増しして人の家より巨大になった集合住宅の巣、庭師鳥という種類の鳥がこしらえたプロポーズのための飾り、モンゴルにある羊毛を編み込んだ巣などです。羊毛の巣は実際触らせてもらうこともできました。もうフワフワの艶々で、現地では赤ん坊の靴下として重宝されているそうです。器を作ったり服を編んだり縫ったりという仕事は、脳と手先が発達した人間独自の仕事と思われていますが、むしろ鳥の巣を発見した人間が後から真似して技にしてきたのではというのが鳥の巣研究家の見解です。それも納得なほど、鳥の巣は精密な美しい作りをしていました。


講演の最後は、かこさとしさんに託された『みずとはなんじゃ』の制作話でした。20185月に亡くなられたかこさんが子供たちにどうにも残したい科学絵本として企画されていたものの、もう絵は描けない状態だったので、鈴木まもるさんに描いてもらった初の共著です。

みずとは なんじゃ?

みずとは なんじゃ?


幾つもの作品を同時並行で手掛ける作家さんですが、ほんの少したまたま空いていた時に打ち合わせをして下絵を描いていたら、もうそれが最後の打ち合わせになってしまい、残された仕事になってしまったそうです。だからこそ『みずとはなんじゃ』は鈴木まもるさんからかこさとしさんへのメッセージがいっぱい込められた絵本になっています。有名な『カラスのパンヤさん』のカラスたちやだるまちゃんと仲間たちが登場したり、『かわ』や『地球』といった名作科学絵本の構図そのままに鳥の巣や猫が描き加えられていたり、作家から先輩作家への尊敬と愛情に溢れたすごい作品です。


講演の後、サイン会もありました。これまた待つのは大変でしたが、自分たちの名前が鳥の巣で飾られた絵文字になるとは、思い付きもしませんでした。

f:id:kamenarien:20191226142403j:plain


鳥の巣研究から鳥をより深く学ぶようになった鈴木まもるさんは、恐竜にも筆を広げることになったそうです。のりもの絵本を柔らかく描いてくれて、男の子とお母さんをつなぐのに大きな役割を果たしてくれている絵本作家さんが手掛ける恐竜絵本は、きっと恐竜好きでないお母さんたちにも指示されるのでしょう。もちろんものすごく恐竜好きな私も楽しみですけどね。次から次に渾身の作品を出してくれている人に会いに行けた、令和の大きな記念日でした。