勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

雄鶏の価値

 知り合いの知り合いが烏骨鶏を処分寸前と聞いて、悩みながらも引き取ることを決めたのが二ヶ月前。なんとか小屋もそろって運んできてもらったのが今月の頭です。それからじっくり観察してすぐにでも表現したかったのに、有閑を誇る私としたことが異常に忙しい日が続き、なかなか新しいメンバーをなかなか紹介できずにいました。まあそれでも最初は環境の変化に怯えていた鶏たちが、落ち着いてきたかなぁというのがやっとこの頃なので、かまってやれなかったくらいがちょうどよかったのかもしれません。

 

 やって来たのは二十羽の烏骨鶏とその亜種です。烏骨鶏は普通、純白か純黒で耳のあたりが青っぽいようなのですが、以前飼われていたところで何度か入れ替わりがあり、混じってしまったようで、赤いトサカのものや、羽色が茶色っぽいものまでいます。そして雄鶏が八羽もいるので勢力争いが日々繰り広げられ、ちょっとした闘鶏まで見られるようになりましたよ。本場の闘鶏好きにはもちろん物足りないちゃちな争いではありますが、闘鶏は好めない私には十分です。子供たちの喧嘩を見ているようで、やれやれなのです。

 

 ところで前からうちにいる烏骨鶏たちはみんな純白です。雄鶏が二羽おり、その優劣は明白で、優の雄の鳴き声は聴き惚れてしまうほど素晴らしいのです。コケコッコーかくあるべし。いつだって親バカ魂が震えますよ。

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それに比べると新しい集団は色物揃いですね。

 

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黒い雌鶏でも何羽かは純血種だと思うのですが、茶色混じりなんかはどちらかといえば比内鶏に近い感じです。トサカの形は烏骨鶏スタイルなので、珍しい烏骨鶏とするべきか、奇形種とするべきか、受け止め方もいろいろあると思います。

 

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色合いの美しい雑種は、実は一番私好みの格好をしております。堂々と強ければ、この子孫を増やしていきたいものですが、彼ともう一羽の黒茶鶏はなんだかとても弱いのです。小屋の奥にもっと黒の多い強そうな雄鶏がおりますが、手前の二羽はいつも白毛の赤トサカ軍団によって隅に追いやられています。むしろ産卵箱に逃げ込んでおり、出てきたら赤トサカに突かれてしまうという情けない有様です。

 

雌は小屋の奥と手前の隅に固まっているので、実はモテないのは赤トサカ軍団なのかもしれないですが、柄物の弱いのも確かで、この群れをどう育てていこうか目下会議中ですよ。純血種っぽいのだけ残すのが妥当ですが、柄物の行く末を見てみたいのは私自身も混血だからなのかもしれません。それにしても混血は強くなると、犬の雑種なんかを見ていてもそう信じていたのに、彼らの弱さはどうしたことか。事はそう単純でもないのですね。

 

 もし鶏を絞めるなら、まだ日が浅く情のうつりきっていない今のうちにしたいのですが、決断できずにいるうちに情を揺さぶられることがおきてしまいました。最初は鳴き声がガラガラで響かず、先ほど自慢したうちのウコタロウに比べてひどい鳴き声だった新メンバーたちなのですが、日に日に鳴き声が良くなっているのです。この上達ぶりをもう少し聞いていたい。雄鶏なんてうるさいだけと思い込んでいた以前の私が聞いたらびっくりですが、コケコッコーのファンはけっこういるのです。いずれ淘汰するしかない雄鶏たちですが、残す決め手をいかにすべきか、繁殖力以外の要素で唸り続けるやはり有閑な母ちゃんでした。