勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

香肌小学校オープンキャンパス報告 その二

物事が起こってからひと月も経っての報告とは、書き手としてあまりにお粗末で目を覆いたくなります。とはいえ自由なブログであるし、なかなか進まなかったことを反省するためにも、削除せずに書き上げることにしました。タイムラグがあって読み苦しいのは承知ですが、香肌小学校応援を続ける理由がある身です。ふりかえりのためにも無駄な時間にならない報告でありますように。

 以下本編 です。
 

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やっと冬らしい寒さになってきました。寒いのは好きでも平気でもないけれど、年々苦手意識は弱まっています。なにせ寒くないと薪ストーブのありがたみがわからないし、冷え切ったらやっと虫たちがのさばらなくなるし、静かでピリリとした空気は冬の持つ最大の美しさです。それにまた寒くてじっとしている時間があるからこそ、過去の活動を振り返ったり次へのモチベーションを高めたりもできるわけで、書き物を好む者にとっては冬はありがたい季節です。 そんなわけで遅くなりましたが先月22日に行われた香肌小オープンキャンパス第2弾の報告をします。当時は有り難みの少なかった温かい焼き芋を思い出してほっこりとしながらね。 
 
小学校で焼き芋会は毎年行われているのですが、今年はコミュニティスクール活動の一環でボランティアが入って、例年より多くの芋つるを植えるところから参加することができました。紅あずま、紅はるか、安納芋の三種を二箇所の畑で育てて、秋の乾いた日に無事にたくさん収穫することができました。ツルさしも収穫もお手伝いに行けたので、喜びもひとしおです。スクスク育つように、鹿や猿にやられないように、いつも心配することは同じです。なんせ児童より出入りの猿が多い香肌小、柵と猿との戦いは地域の誰もが知るところです。でも今年の芋は学校の勝利でした。
 
 焼き芋会の前日から、上級生はカマドを設えて準備してくれていました。当日はみんなできれいに芋を洗い、食べたいのを選んでカマドに入れます。焼き芋といえば落ち葉を燃やして、新聞紙とアルミホイルに包んだサツマイモを焼くとしか思っていなかったので、香肌小のカマドは衝撃でした。 

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何年も試行錯誤をした結果、一斗缶とお菓子の缶で新聞紙もなくできるこの方法に行き着いたそうです。ありがたい伝統があったものです。 燃やす木材は、地域の木材店から端材をどっさり分けてもらうことができます。わりと細かいので薪を足す手間はかかりますが、火の番になった子のやり甲斐には丁度いいですね。薪ってつい足したくなるのはよくわかります。足して空気を入れてちょっと見てまた足して。 
 
みんなで点火を見守って、めでたく燃やし始めたら、数人の火の番を残して後の子は体育館でレクリエーションをして出来上がりを待ちます。オープンキャンパスということで見学に来た子もうちの子もここの遊びに入れてもらい、初めはモジモジしていたのが走り回るうちに打ち解けて、一員になって楽しんでいました。ゲームの数がわりとたくさんあって、準備したり説明したりの手間もかかりますが、児童の中には焼き芋よりこのレクリエーションが楽しみという子も少なくないそうです。学校全員で仲良く遊ぶ機会を進んで大切にしている上級生ってそれだけで素敵だなぁと、その当時は何かと斜めに構えがちだった私のような者からすれば、憧れてしまいます。 遊び足りないけど楽しい時間は過ぎるのが早く、ホクホクの焼き芋が出来上がりました。

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 紅あずま、紅はるかの味の違いを敏感にキャッチした子はいたのかな。私がおすそ分けしてもらった安納芋は、流石甘さが自慢なだけあって、そのままでどんなスイートポテトより上質な甘みが効いていました。洋菓子が苦手な私でも、口からハートが飛び出しそうになりましたよ。

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 この日は知り合いの方が大阪から子供を連れて来てくれたので、学校案内をしたり、香肌小学校のPRコンテンツを見てもらったり、終わってから空き家見学もしてもらって、こちらの移住促進気分は盛り上がりましたよ。
 
子連れで移住してくれる人が増えなければ小学校の未来は真っ暗です。これがもう誤魔化していられない現実で、持ち堪えるためには勇気と夢のある人々の力が必要です。 ほっこりな火とホカホカの焼き芋がにぎやかな未来の風を呼んでくれる。そう信じてこの冬も乗り切っていかなきゃやってられませんね。