勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

真夏のインドア少年たち

台風がチラチラしており夏休みというのに落ち着かないですね。毎日川遊びが可能な幸せ山村暮らしですが、雨の時のためにインドアの楽しみも鍛えておく必要があります。とにかく読書に没頭しがちな亀成園の娘たちですが、もう少しコミュニケーションを大事にしてほしいものだと思っておりますよ。そのためにアナログゲームを充実させております。母の勝手な趣味かしら。

 

そんな中、一年生の愛息子は将棋愛好家です。まだ平仮名も読めない二年前から将棋の駒だけは覚えたので、龍や馬の字には特に反応します。一年生になってようやく平仮名を学習した今でも「と」の字が一番好きなのは、将棋が染み付いているからですね。偶然ですが通学する「香肌小学校」も香車を連想して愛着が強まっているようです。

 

ヒマにあかせて将棋盤と戯れ、棋譜も追うようになったこともあり、ルールがわかる程度の姉たちも私もあっという間に勝負にならなくなりました。その後はもうずっとお父さんが教えていました。プライドは高いのに泣き虫な息子を鍛えるために、お父さんは「待った」を見逃して、自分の詰みを考慮しながらも出来る限り息子に花を持たせるよう指導していたら、幸いなことに息子は砂が水を吸収するように将棋脳を活性化させていったようです。序盤の凡ミスがあるのでまだ父に武がありますが、そろそろ真剣勝負ができるのかな。私も時々相手をしてもらったら一戦で十分でどっと疲れます。つくづく将棋は年齢にあまり関係のない素晴らしい脳の遊びだと実感します。が、なかなか強くなれないもどかしさも同時に実感ですけどね。

 

そんなわけで息子はだいぶ打てるようになりました。そろそろ家族内だけでなく、外へ出なければいけないと思ったので、夏休みに地域の将棋クラブと、津市での小学生将棋大会に申し込み、一年生の夏休みチャレンジを掲げました。連れ回すくらいなら母にもできますので、ちょうど仕事もない日なのをいいことに、お手並み拝見することにしましたよ。

 

地域の将棋クラブでは好調な出だしで浮かれておりましたが、津市での大会ともなると、そう簡単にはいきませんでした。将棋連盟の大会だったので、各将棋盤に一つ、持ち時間計測用の時計がつきました。一手指したらボタンを押し、各三十分の持ち時間がどんどんなくなっていくという仕組みです。

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初めてのアイテムをちっとも理解できなかったらしい息子は、一手三十秒以内ルールと勘違いしたらしく、驚きの早指しで慌てふためいた一戦目になりました。いちおう始まる前に軽く説明はしたのですが、緊張もあってか何も耳に入っていなかったようです。そして勝負の間は外野口出し禁止。あぁ、もっとゆっくり考えて頑張れ、と願うも空しくあっという間に投了でした。

 

私が更に驚いたのは、投了のときしっかり王様が取られてしまったことです。詰んだ最終局面は残しておくのがルールだと思っていたので、投了シーンを残すことができなかったのが残念です。まあ棋士たる人々は写真で残したりせずとも勝負が最初から最後まで頭に入っているといいますから振り返るのなんて簡単なのでしょうね。自分が一つ前に打った手すらわからなくなってしまう素人とはそれはもう記憶力に雲泥の差がありますね。

 

この大会は小学生の低学年と高学年に分かれて十六人ずつ、勝ち抜きではなく全員が四戦して勝敗を競います。勝った者同士、負けた者同士で次の対戦相手を決めるので、勝つと強い相手に当たり、四連勝で優勝です。

 

息子は初戦と二戦目で敗退し、三戦目と四戦目は勝つことができました。つまり強敵には勝てないけれど、公式戦でお話にもならないとは言えない程度のレベルです。後半は勝って調子こいていましたが、優勝者と準優勝者に賞品(メロン)があり、自分はもらえなかったことは身にしみて悔しかったようです。負けても次は頑張る。勝負の基本姿勢ですね。

 

やはり順調に勝ち進んでいる子たちは強かった。あっという間に勝負のつく試合ではなくガッツリ長い時間をかけて取り組んでいる試合をちょこちょこ覗きましたが、いい勝負は私程度の者にも面白く観戦することができ、飛車成りの龍を捨てて突っ込んでいく六年生優勝者の終盤戦を観戦した息子は大興奮していました。将棋は年齢による差をものともしない競技の一つではありますが、本気の小学一年生が本気の六年生から学ぶことは多く、対戦せずとも観戦できるまたとない機会になりました。

 

津市松阪市でかき集めても、本気の小学生棋士は六十名程度です。それでもそれだけ集まって競い合う場に出れたことは、ど田舎者の息子にとってはいい経験になっただろうし、離れていても名前も覚えていなくても仲間がいることを肌で感じられたと思います。これから彼がどの程度将棋を指し続けるのか、どのくらいレベルを上げていくのかはわからないし、期待しすぎないでおこうと自制はしておりますが、手応えのある限り、大会の情報などはチェックし続けたいです。

 

四戦連続プラス指導者との一戦も指して、頭の中空っぽになるまで頑張ったであろう彼は、お山に帰る前にコンビニデザートを買ってもらうことができました。次の大会は今週末松阪市でです。インドアとアウトドアどっちも楽しい小学生の夏休みです。