川遊びにはもう寒くなってしまいました。毎年めいっぱい川を楽しんだと満足に至らず、求めても求めても足りない程川は楽しみでいっぱいです。スイカ割りもしたし、憧れのカヌーも乗れたし、子供たちの釣りも上達したのにね。もっともっとが本音で、川のそばで暮らせることがありがたくてたまりません。
私のペースでいくと通年水音を聞きながらお散歩して、春は川沿いの花咲く樹木を愛でて、夏の夜には蛍の舞を見に行って、秋は紅葉の絶景を愛でて、冬は浅瀬が凍るのにワクワクする。これくらい年間を通した、ほとんど風景としての川で満足しても良いのです。けれど身体が動くうちはもっと欲を出してもいいのが川の懐広いところです。
渓流釣り、ひっかけ釣り、ラフティング、イカダ下りなど憧れを山ほど掲げながらも今年前進したのは仕掛け釣りです。
もともとウナギの山ほどいた川なので、昔の人々はウナギを罠で捕まえたりはお茶の子さいさいだったようです。絵本で見てため息のでた世界がここにあったとは。
ウナギとりの夏 (月刊 たくさんのふしぎ 2012年 08月号)
- 作者: みやわきまさお
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2012/07/03
- メディア: 雑誌
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上の絵本の他に、「のらっこえほん」のシリーズでもガキンチョたちの川遊びを描いた作品があり、ウナギを捕まえていましたが、絶版なのか見つけられませんでした。『さんねんごい』が残っているだけ幸せかな。
昔の日本の田舎では、川遊びは子供たちの日常でした。今は勝手に遊びに行くこともできなくて、川遊び継承も危ぶまれる時代ですが、それでも今でも近くにウナギ針とタコ糸を使っての仕掛けをする人がいたので話を聞いて、亀成園父も子供たちと挑戦しました。
針にタコ糸を結んだり仕掛けをいくつも作って、餌となる小魚を持って夕方の川に出かけます。小魚を釣るために朝からミミズを捕まえ、昼は魚になりと大忙しでした。その準備ができれば潜んでいそうな場所に糸を垂らします。
夜になって動き出した獲物が食いついたら暴れて逃げようとするので、糸の先は欄干などに結んだり重石をしておきます。ヨシの生えているところや岩の下が狙い目だとか。家族それぞれが一押しを主張して自分の読みを磨きます。
いくつも仕掛けをしているとだんだん陽が落ちてきます。夕暮れの川もまた綺麗、だけど少し怖さもあり、適当なところで引き上げるのもまたゾクゾク心に残ります。
次の朝仕掛けを回収して、引っかかってたら大成功。十個仕掛けて一つ当たればいいなと、できればそれが自分の選んだとこだといいなとワクワクしながらの回収です。
なんとナマズが釣れました。
ナマズはフィリピンで時々食べていた食材です。蒲焼にしようか蒸し焼きにしようか唐揚げにしようかふんふんと期待しながら二、三日泥吐きのために沢水で泳がせていたら、逃げました。ナマズって少しなら陸でも動けるとは驚きです。
もう食べる気満々だったのであきらめず再び仕掛けました。その二回目で釣れたのは、ニホンイシガメです。それもかなり大きかった。
口に鉤が引っかかっていて取ってあげられずに悩んでいたのですが、いつの間にか自分で取っていたようです。
亀好きな亀成園ではイシガメは大歓迎です。食べるためではなくてね。亀ってのろいイメージだったのに、試しに歩かせてみたら思いの外アクティブで素早かったです。先住のイシガメ用水槽では小さいけれど、喧嘩もしないし可能なら飼う気でいたのに、ちょっとフタを空けているとまたあっという間に逃げられました。ずっと見張っていたら捕まえられたけれど、隠れるのも上手なので私の力ではもう見つかりませんでした。
ナマズも亀も上手に川に戻れたのかな。捕まえといてなんですが、トラブルに遭ってなきゃいいなと無事を祈っています。
次々捕まえたのに次々逃げられちゃって、結局仕掛け釣りの恩恵はなくなってしまいました。それでもいつもの川でいつもは会えない生き物を捕まえた経験は今年の宝物です。人なんて極小数で、数え切れない他の生き物がいる。山、川、森に囲まれて暮らしたい理由はこれに尽きます。もっと生きた知恵を身につけて、身体を動かして手を使って、今度は逃がさない。そのためにきれいな川を守っていかなければ。前向きな暮らし方ですね。