勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

にぎやかな麦の歌

木枯らしが吹く頃になりました。山暮らしは季節の移り変わりがトントンしていて、観察を怠るとすぐに置いてきぼりになりそうです。山なりだった柿が人がとったか猿がとったかでだんだん姿を消していき、現在は見事な紅葉の少し手前というところ。柿の代わりにみかんなど柑橘類が色を濃くしており、足元では野菊がそこかしこに見られ、まだまだ彩り豊かな秋景色です。ススキやセイタカアワダチソウがモワモワと穂を開いている姿はアレルギー性鼻炎の私には恐怖なのですが、それもまた風物詩ですね。 さてこんな季節の大事な仕事として、麦まきがあります。大好きな先輩移住家族に誘ってもらっての麦作りももう四年目です。麦栽培自体はもう十年程になるのでしょうか。我が家よりもう少し山寄りの休耕地をお借りして、農薬なし化学肥料なしで毎年作っています。そうして採れた小麦は全粒粉入りの黒うどん(乾麺)となり、お分けしたくないほどお気に入りの麺です。でもふるさと納税にも登録しておりますのでよろしければお試し下さい。 https://www.furusato-tax.jp/product/detail/24204/4646680 

 
麦まきはトラクターで土をおこしたところにまいていくやり方なので、雨の多かった今年はなかなか日和がなく、いつまけるかずっとハラハラしておりました。10月半ばから空いている日はいつでも麦まきができるように更なる予定を入れないようにしていたのに、時間ばかりが過ぎましたよ。そしてやっと晴れが続き、どちらの家族も空いていたのが11月初めの連休最終日で、子供たちも一緒に畑仕事ができました。労働力としても子育てとしても良い結果になったのは回り回ってお天道さまの思し召しだったのかもしれません。 
 
麦をまく深さもまだ試行錯誤中で、あまり深いとよくないらしいとも聞いたので、トラクターが通った溝と通ってない高いところのどちらもに筋まきしていきます。とにかく先にトラクターが入り、後で四本のすじをまく順序です。人手が足りないとまくのがとても追いつかないのに今回は大人四人に働ける子供が四人もいたので、常にトラクター待ちでした。広い畑なのでそうのんびりしていられないとはいえ、時間にも気持ちにも余裕があったので、子供たちが次々トラクターの運転体験をし、うらやましい光景でしたよ。 

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私も一往復だけ乗りましたが、真っ直ぐ進めるだけでも緊張するし、ゆっくりとは言え、クラッチの使い方も後ろの刃の上げ下げもよくわからず、役立たずのままでした。マニュアル免許を持っていることは畑ではたいした価値ではありません。
 お手伝いとしてトラクターに乗るということは、子供たちの今にとってはただの楽しい体験なのです。広々とした寒い畑で麦まきをすることも、休みの日の当たり前の一つであって、淡々と労働して疲れてよく眠るのが家族が一番協力する休日なのです。しかし母は思うのです。こうやって当たり前に体験した子供の頃のトラクターは身体のどこかに刻み付けられて、ずっとブルブルと力を与えてくれるといいなと。もし叶うなら、みんな運転上手になってくれたらいいなとも思います。

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 忘れてちゃいけない、麦まきの後は鶏糞まきもしました。我が家の鶏たちの鶏糞と土が混じったサラサラパウダーは、化学肥料なしの畑にとてもよく効きます。バケツで運んで花咲か爺さんのようにまいてまいて、麦畑のより多くの実りを願います。畑の中で、鶏糞を事前にまいておいた所と麦まきをしてから鶏糞を効かせる所と分け、いつ肥料を入れるのがいいか対称実験をします。畑仕事は毎年決まった仕事と実験の繰り返しですね。
 まだ麦まきの終わらない畑もあるし、踏んだり草取りしたり長期的な仕事ですね。でもとにかく半分は種を撒きました。それも仲良く楽しく。温かい期待を込めて、冬を乗り切りたいですね。