勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

里山案内人の立ち位置

何の気なしに生協さんで紹介されていたから注文してみた本が届いたら、思った以上に私にぴったりでした。図鑑とあるけれど、80ページほどの薄い本です。紹介されている生き物も200種類くらいで、虫を中心に鳥や獣、爬虫類両生類などほんのさらっと解説があります。

何が自分に合うって、里山の環境とか生き物の数々について、程よく網羅してあるとことです。多少突っ込んでいるけれど、専門的過ぎなくて、大体知っている感じがとても心地よかったのです。心地よいってめちゃくちゃ大事ですよね。

 

私は昔から読書家で物知りという立ち位置で、生き物などはずっと好きで興味関心分野を広げて知識を溜めることで人生を楽しんでいるのですが、何か専門的な分野があるかと言えばそんなことはないのです。虫も興味深く好きな種類もあるけれど多過ぎてちんぷんかんぷんですし、野鳥の会に入ってはいてもなかなか見分け聞き分けのつく鳥の種類は増えません。草花も四季折々に触れあってはいるものの、パッと名前が出てくるのは多くないし、獣ぐらいですかね、大体知っている分野というのは。なにせ数が少ないですから。

 

ある程度何でも詳しい人というのは、多分きっと話をしていて面白い人なのですが、本人の偽らざる気持ちとしてはずっと、なんとも中途半端でいけないわぁとのコンプレックスを抱えていました。コンプレックスありまくりですからね。

どうせなら虫博士とか、樹木のことならなんでもわかるとか、きのこマニアとか、足跡探し名人とかにどれだけ憧れているか。それに比べて私は、と落ち込むこと数万回。飽きずに落ち込んで人生の時間を無駄にしてきたような気もしますし、たどり着くまでに時間がかかった分、ここから加速できる気もしています。

 

 『里山の生き物図鑑』を読み眺めて思いました。

わたし、こんな案内ならできちゃうやんって。

ある程度網羅して、生き物とか地形とか人との関りとかつながりあっている感じを伝えながら、その先にもつなげていくことって、わたしできちゃう。

 

人と自然をゆるく結びつける仕事ってあるのかなと今更ながら思いついたら、なんとドンピシャなものがあるのですね。

【人と自然を結びつける】インタープリターってどんな仕事?資格はあるの? | Greenfield|グリーンフィールド アウトドア&スポーツ

 

インタープリターの活躍する場所 | 自然教育研究センター

 

インタープリターってちっともピンと来ないし、今後もちっとも知られないままの仕事かもしれません。どうやって稼いでいくのかの筋道もちっとも見えてきません。

でも、時代がもっと動けば求められそうだなとの予感もあり、もう少し突っ込んで網を張っておくのはできることかもしれません。

 

人気者の自然好きコラムニスト兼インタープリターとしての未来

またフックをかけました。

 

雨の中、土壌を想う

私が所属していた大学の自転車クラブが今年で50周年を迎えています。

その記念誌を作るという事で、古今東西の部員から原稿の募集がありました。それを機に、自転車クラブについて徒然思う事の他に、「50にまつわるお題」を自分でつけたものも投稿しました。お題出してもらえなかったけれど、自分で設定もできるのがはてなブロガーっぽいなと初めて思いましたよ。

 

自転車旅行と50のお題なので、「また訪れたい町50選」が素直な路線です。

時系列バラバラに、自転車で行ったところもそうでないところもかき集めて短いエピソードを付けて、結構たくさん書きました。

見てもらう人に共感やリンクがあったり、くすぐるような刺激があったら嬉しいなぁとわくわくしてます。

 

訪れたことのある町で、この人生のうちにもう一度行きたいところを日がなずっと考えるのは、ちょっとゆとりのある時の私にはとても幸せな時間でした。通り過ぎただけでもなんだか心に引っ掛かりのある場所を手繰っていって、ともかく50のピンを付け直したのです。この先それらをくまなく訪れるかはわかりませんが、子供を連れて行きたい場所やまったく違う立場で訪れたい場所など、やっぱり旅が好きだなと思えたことは大きな発見でした。

 

さて、個人的に昔の旅を振り返り、未来につなげていく今回のリストアップだったわけですが、いくつかピンを指すのを躊躇う場所がありました。

私が現役で日本の山々を走り回っていたのは20年近く前のことです。19歳から23歳くらいの間に随分あちこちを小汚く走っていました。春も夏も秋も冬も。しんどくて何も覚えていない場所も多いけれど、忘れがたい美しい場所も沢山訪れました。

現在、美しかった場所がみなそのまま残っているかといえば、そうではありません。あまり直視したくない厳しい現実として、再生可能エネルギー開発により失われてしまった風景が多くあるのです。

 

20歳の夏を駆け抜けていた北海道や東北、特に秋田はピンポイントで訪れたいところもありますが、時間をかけて走り抜けるのはなんだかとても怖いです。四国の山々も険しくて何もなくて、それでも人の暮らしがあるところが好きだったのに、大規模開発されていたらと思うとどうにも怖い。冬の能登半島もいつ開発されるかわからないし、丹後も間に合うでしょうか。取り戻せなくなってほしくはない。でもどうなるか、自分はあまりに非力で嫌んなっちゃいます。でもいいなぁと感じた場所を想うことはやめたくない。私にとって現代の生きづらさは人間関係とか経済状態よりも、ただただ国土崩壊にあります。

 

そんな中でもより一層身がきゅっと縮まりそうになるのは、かの熱海です。4回生の冬だったかな。伊豆半島を一人で走っていて、その時の終着点が熱海の坂を上った駅でした。それまで侘しいような雪も降る場所を走っていて、最後に晴れた熱海の町を見下ろして、あまりの観光地に驚きながらもここにも人の営みがあっていいなと思ったのです。昭和の中頃のようにウキウキの新婚旅行で来ることはないにしても、いつか町内会の慰安旅行とかで来ることもあるのかなと未来につなげていた場所なのです。けれど、今そこは昨年の土石流の傷が癒えないままだといいます。険しい坂をどんな勢いで泥水が押し流れてしまったのか。原因は盛り土や雨量よりももっと深いところにあります。

 

土や水の流れに逆らってしまった開発による、自然からの揺り戻し。圧倒的な力で押し流すことが自然が選択したこと。身が縮まりながらも今の人々が学ばなければならないことが熱海にあります。

 

そんなことが丁寧に書かれている、土の中の環境を整えることを仕事にされている方からの大いなるメッセージが入った本をご紹介します。ほぼ出来立てほやほやの本です。

作者は地球守というNPO法人で、環境再生土木の施工をしながら各地の環境改善をコツコツ重ねて、仲間を増やして指導されて、近代工法に警鐘を唱える方です。

熱海の土石流に疑問を持った京都の小学生からの質問に答える形で書かれた本書は、概念と理論と実践がバランスよく、図解も多く、ていねいな土と水と森の解説書でした。

 

菌糸のことと水脈のこと。鎮守の森が担ってきた役割。健康な里山と里海のつながり。

豊かな国土が守られてきたのには確固たる理由があって、それを見失ってしまったからこそ災害が頻発してしまっている。警鐘を鳴らしながらも温かく優しいトーンでの解説は、深く心に入ってきてくれます。

 

あとがきの中で、作者さんは

”美しいもの、息づく大地に身を置いていたい、感じていたい。そんな思いから山旅を始めたはずなのに、ここ十数年は災害被災地周辺の荒れた山々に頻繁に足を向けるようになりました” と綴っておられます。土中が乾燥してしまって立ち枯れの起こるようになった山や、災害跡地の再生などの活動をされておられます。それは本意ではないけれども使命として行われています。国土がどこも健康な土壌であってほしい。人々にもっと土の中のことまで知って考えて実践してほしい。厳しい現実に向き合いながらも絶望せずに環境再生を続けるご活動に頭が下がります。

 

もっと詳しく学びたい方は、最新刊の前身であるこちらもどうぞ。目に見えない土壌に意識を向けて、何かしたいと思ったら小さなことからでも始められます。

 

NPO法人 地球守さんについてもっと詳しくはこちらから。実践の学びのチャンスがあるかもしれません。

chikyumori.org

今私のできることは何なのだろうということを考えるのは、災害や災害の可能性に絶望しているよりよほど建設的です。庭を掘ってみる。落ち葉や枝を集めてみる。山を歩いて土を見てみる。そうやって地球に少しずつ親しめたらいいですね。

 

この夏も雨が続き、台風もやってきています。風力発電開発やメガソーラーによる災害がないことを祈るばかりです。実際に起こってからの反省では辛すぎるので、沢山の人が先に気付くことができたらいいのですが。水がしみこむ豊かな大地で暮らしていきたいですね。

林業のこと、ほんの少し

豊かな森林生態系を100年先、もっと先まで残していくための課題にぶつかっています。資本の浅知恵に惑わされずに、どこまでも学びが必要だと思って、森林インストラクターの勉強を続けています。過去問など全然解答できるようにならないし、ぶち砕けそうで悩ましいところですが、テキストを読めば読むほど知りたかったこと、確信を得たかったことがズラズラと書かれていて、感激するのです。なぜ山を守らなければいけないのか。山間部の役目は、現状は、未来への道は。

 

思えば一年前に飯高町で大規模風力発電の計画が降ってきて、ものすごく違和感を感じながらも、なぜ山を守らなきゃいけないのかを論理的に説明することが難しくてすごくもどかしく悔しい思いをしました。

堂々と語れるようになるためには難関を突破することが肝要ですが、忘れたくないことのアウトプットくらいはしておいてもいいかな。

森を守れば、森が山を守ってくれる

 山村は国土面積の5割を占めていますが、人口はわずか3パーセントに過ぎません。そして過疎高齢化により集落が立ち行かなくなっているところが多く、10年先まで人の暮らす場所が保っていられるかも危ぶまれるような地域であるのが事実です。

 けれど、現状、日本の森林は戦後に植林されまくった針葉樹が50年かかって伐り時になっていて、資源として成熟期を迎えています。林業従事者としては「出したいのに出せない。儲からない」悩みを抱えていますが、ポテンシャルは十分なのです。

 山村が自立できる持続化事業があれば、地方創生が次世代につながっていきます。元々息の長い仕事である林業が地域の基盤にあれば、浮き沈みの多い時代の流れの中でも、多少安心して暮らすことができる人々の支えになります。今のままでは難しいことは山積みでも、可能性はとても高いのです。

 

農林水産省のページで山村をめぐる現状についてまとめたページを教えてもらいました。

https://www.maff.go.jp/j/nousin/tiiki/sanson/s_about/pdf/zyoukyou.pdf

その中で山村の果たす役割を現したのがこちらです。

森林には大きく8つの機能があります。

①土砂災害防止/土壌保全(表面浸食防止、表層崩壊防止)

②水源涵養(洪水緩和、水資源貯留、水質浄化)

③保健/レクリエーション

④地球環境保全二酸化炭素吸収など)

⑤物質生産(木材やきのこなど)

生物多様性保全(遺伝子保全、生物種保全、生態系保全

⑦快適環境形成(気候緩和、大気浄化、快適生活環境形成)

⑧文化(教育の場、祭りや伝統文化、芸術など)

 

このうち、森林があるからこそ経済が大きく守られている機能が①~④です。

私はいままでどちらかというと、自然環境を守るというときは、⑥の生物多様性保全が最重要で、⑧の文化的機能を次に重要視してきたので、自然保護の立場って、自然が好きな人以外には説得力が低いような気がしていました。感情に訴える以外にどうすれば森林や山の重要さが伝わるのか腑に落ちていませんでした。

 

けれど、国土保全に使うべきお金や、水の貯留や浄化に使うべきお金を、森林があるだけで担ってくれているとは、目からうろこでした。財政力の低い山村と言われていますし、経済的な立場は弱いと思いこんでいたから、開発やむなしとの声もあるのでしょうが、ちょっと待ったを言えるときも近いです(まだ資格がないから言えない)。

 

土と水を守り、世界に誇る緑豊かな国土を現実のものにしてきたのは、森を守ってきた先人達です。日本の山はずっと今ほど森林率が高かったわけではありません。木を燃料として当たり前に使っていた時代は、伐り出すのが当たり前で、うっかりするとすぐはげ山になってしまうので、入山を禁止して守ってきた背景がありました。

 

名古屋大学の高野先生が書かれた本にも山村の歴史など、とてもとても興味深く書かれていますし、この辺りの飯高地域の山も昔は枝一つ落ちていなかったそうです。みんな木を燃やして燃料にしていたのですね。

↓この本、サブタイトルはなんかなぁと思うけどめちゃくちゃ深いです。移住促進の最初のころにお話を聞く機会があった先生の本なので、大事な一冊です。

 

林業のお仕事のことも私はまだちっともわかっておらず、日々山に入り、植えたり整えたり伐採したりその前に道をつけたりというイメージしかありません。

自分の山で管理の仕事をする林業家さん、人の山を任される林業家さん、企業の山を現場管理する林業家さん、組合としての仕事をする人たち。

林業は技術力が必要で、気の長い仕事だから、誰もがすぐ即戦力になれるわけでもないし、現場で危険もある仕事なので、「You,林業やりなよ」なんて簡単にハッパかけられはしません。結構頭も使うと思います。ほんと、尊敬ですよ。

 

林業経験もなく、関係者でもないけれど、林業が活気付いてほしい思いは高まるばかりです。自分とこの農園は機械を入れないやり方で楽しくもがいていますが、かっこいい機械が嫌いなわけではないし、機械の力で盛り上がるのならいいやんとも思います。

スマート林業で動画検索するのもちょっと楽しいですよ。


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北欧の森林は日本のように険しくないからだいぶ勝手は違いますが、イメージがあるからこそアイデアが沸いたらいいですね。


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森の法律との接点

森林インストラクターの勉強をちまちま進めてひと月半が経ちました。

テキストは400ページ以上の分厚い難しいものですし、過去問もちっとも歯が立たないし、なかなか進まないなぁとは思いながらの苦しい期間です。うん、真面目に勉強するってそれだけですごいよね。なかなか習慣にできるものじゃないよね。それでも大きな目標があることで、確実にそこに向かっていくことで、近隣の樹木を見る目が少し変わってきました。林業の方にもますます尊敬の目を向けるようになったり、良い感じにのせられています。単純素直万歳ですね。

 

樹木や生き物、生態系や土壌、きのこといった分野は元々興味があるし、ちっとも正しく覚えられやしないけど是非とも知りたい、わかりたいところなので、当たり前に熱が入ります。動物の問題ばかり増やしてくれないものかなと無駄に願ってみたり。それに対して、必ず出題されるけれど、ちっとも興味がなくて、正解できる気がしなかったのが森林や林業に関する法律分野だったのです。

森林が好きでも、森林に関する法律なんて無関係だと思っていました。

令和3年度 森林・林業白書 概要:林野庁

 

でも、テキストを見ているとなんだか聞き覚えがある言葉も出てきたのです。あれ、私、なんでこんな話を知っているのかと思ったら

 

風力発電の話で林業家の人や調べもの得意な人が話していたのですね。

開発に必要な許可をどこが出すとか

県でできること、市町村でできること、地権者に委ねられることとか。

 

まさか、こんなところでつながってくるとはびっくりでした。

それでもまだ、ちっとも頭に入っていないことには、がっくりですが。

 

 

国の方針としても、今までは産業としての林業促進のために森林に関わる法律が定められていたそうですが、最近流れが変わって、森と共にありながら成長・活性化していく地域や国であるようにシフトチェンジしていくようです。うーん、まだなんのこっちゃなのですが、ただ国力=経済力で、儲かる林業を目指していた政策を改めて、森林と共存しながらカーボンニュートラルを意図した政策に変わったということでしょうか。

 

カーボンニュートラルという言葉の捉え方や使い方はまだ腫れ物に触るような感触がありますね。そのせいで再生可能エネルギー推進という名の自然破壊行為者たちが大きな顔をしているのですから。真っすぐ考えるとカーボンを減らすことができるのは森林の作用だけなので、カーボンニュートラルの皮をかぶった自然破壊がまかり通らないようにな規制はほしいものだと思います。

そう思うんなら私もちょっとは勉強して、森林に関する法律のあれやこれやを頭に入れて、語るに足るぐらいにならなくちゃいけませんね。ああ、道はまっすぐ遠いです。

 

【覚書】

・森林計画制度

農林水産大臣が15年スパンで全国森林計画を立てる

都道府県知事が10年スパンで地域森林計画を立てる

市町村長も10年で市町村森林整備計画を立てる

森林所有者などが5年スパンで森林経営計画を立てる

 森林の伐採及び伐採後の造林の届け出が必要

 

・森林法

 林地開発制度の対象となる森林が定められている

 土砂の採掘や林地以外への転用など、1haを超える開発行為には許可手続きが必要

 

 森林法に基づいて保安林のこともよく出る

 

その他、自然公園法、自然環境保全法、鳥獣保護管理法、鳥獣被害防止特措法、種の保存法外来生物法、自然再生推進法、地球温暖化推進法などが森林に関わる法律として挙げられています。

 

羅列するだけで眠気を誘って仕方がないですが、そこに関わるのは自然環境や多様な生物、そして(里山での)暮らしのことなので、我が人生に関係ありまくりなのです。少し眠ってからまた学び直そう。うん。身体の声を聞くことが必ずしも自分のためになるわけではないことは理解しつつ、無理が効くと過信しないほうがいいのも事実。びえーん、真面目な優等生になりたいよー。子供のお手本になりたいよー。

理想の母を追い求めて15年近く。7割でよしとは思っています。

経ヶ峰の風車に対して思うことなど

飯高町での大規模風力発電計画は、まだちっとも終わってなくて続いていて、事業者にとっては八方塞がりなはずが、しぶとく粘る気満々なことがわかっています。

もういい加減面倒くさいのが本音ですし、これからどうなるのかと不安のまま時が過ぎていくのは大変心の健康に悪いので、こんな非人道的な計画に振り回されることから本当に解放してほしいです。でも私の苦しさなんてまだ序の口で、もうずっと前から振り回されてドロドロした想いを抱えている人が大勢おられます。

 

その一つが津市の経ヶ峰という市民憩いの山で計画されている「平木阿波ウインドファーム」「平木阿波第二ウインドファーム」事業です。山を愛する住民やそれにつながる人々からの切実な訴えがあり、計画は縮小されつつもしれっと続いているという状況です。なんなのよ、一体!

この計画についてははてなブログで「経ヶ峰を愛する会」という特設ページがあります。

dianaru1026.hatenablog.com

 

後から追うとどこを見ていいのかわからなくなってしまいますが、直近からですかね。山の様子の写真や山の歴史なども示されていて、本当に愛があります。

 

さてさて

大規模な開発計画に際しては、環境に著しい影響がある場合はその開発に対して行政、市民、専門家などから意見を述べて無茶な計画がそのまま進まないように、環境アセスメントという手続きが必要です。

 

環境省のページから引用すると

環境アセスメントとは、開発事業の内容を決めるに当たって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査、予測、評価を行い、その結果を公表して一般の方々、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。”

環境省 環境影響評価情報支援ネットワーク

 

私の頭脳は、本当に身についていることや興味のあること以外は、ところてんのように押し出されて抜けていく程度です。何度繰り返し見ても調べてもちっとも頭に定着しない分野でいやんなっちまいますが、人に伝えるには更に調べ直してかみ砕かなくちゃいけませんね。

よりよい事業のために必要なはずですが、いかんせんややこしいのがこの制度。市民にとっての砦となるはずが、業者の抜け道ともなるもろ刃ではありながら、風力発電開発もこの手続きを踏みます。

環境影響評価に対する「配慮書」→「方法書」→「準備書」→「評価書」という段階で手続きは進められていきます。飯高の風力発電計画に対しては「配慮書」の段階で、市井の人々からの意見書を必死で集め(2007通!)、注目度を集め、勝手には計画を進ませない姿勢を見せ続けているのです。

 

この動きに注目が集まれば、もっと「再エネなのに山を削って風力?」の疑問を感じてくれる人が当たり前になれば、流れが変わってくるかもしれませんが、現段階では事業者たちは「配慮して縮小して進めますー。やめませんー」との態度で地元を振り回し続けてへっちゃらなのです。

 

脱線しがちですが、今やるべきことは

津市の経ヶ峰の風力発電計画の準備書に対して、6/23までにきちんと意見書を出すことです。

 

郵送先は

514-1252 津市稲葉町687 株式会社グリーンパワーインベストメント 津事務所

タイトルは

「(仮称)平木阿波ウィンドファーム事業及び(仮称)平木阿波第二ウィンドファーム事業に係る環境影響評価準備書」に対する意見書

 

日付、名前、住所を記載して

 

日本語で意見を述べましょう。

 

といってもやっぱり難しいですね。もっと専門的なことがスラスラ言えたなら、はいはいと作成を引き受けるのに、届かない声だとわかっている手紙を出すのはなかなかハードです。

それでも私なら何て言うかな。

「御社が風力発電所を計画されている経ヶ峰は津市民にとって、憩いの山だと聞きます。街暮らしの人がわりと手軽に癒しや探求のために親しむ山は、開発の対象としては不適当です。山の環境が変わると生物多様性のバランスも大きく崩れることにつながります。幻の鳥とも言われるヤイロチョウが渡る山であることも知られており、後世に残すべきは不安定な電力供給所ではなくて、人々の憩いの場であり多様な生き物の生息場です。この段階での撤退は勇気ある決断になりますが、時代の変化を汲み取って、どうぞご英断を下されますことを願っています」

 

うーん、どうかな。こんなのでいいのかな。

固い意見ではないし、一蹴されることは間違いなさそうだけど、一番想いが込められる言葉で出してみます。

指くわえて怒っていてもどうなるわけでもありません。自然にパワーをもらいながらなんとか生きている一人のヒトとして、頑張って言葉を発することぐらいは、しなくちゃなのです。良い機会をありがとうございます。

 

 

 

 

 

森の案内人への太い道

今年度はビジネスも学校関係もその他地域のいろいろもずっしり力を入れなきゃいけない正念場の年なのですが、

田んぼと畑や自然との関りももっと丁寧に力を入れる時なのですが

 

もう一つ挑戦を決めてウェイトをかけていることがあります。

それが、森林インストラクターへの急峻な挑戦です。

香肌峡で暮らして6年ほど、日々豊かな山河に囲まれていることが私の喜びなのですが、まだまだ森林について知らないことが多すぎて、ずっともどかしく感じていました。こんなに木々の種類が多い地域で暮らして、生物多様性の面白さに触れながら、私はちっとも森を知らない。

里山の案内人として、これではどうにもいけない。

そんな気持ちが爆発しました。

 

よし、森林インストラクターの資格をとろう。集中して勉強しよう。

三重県には森林インストラクターの連続支援講座というものがあったのです。

2022年度5月~9月 森林インストラクター資格試験合格支援講座(全9回)参加者募集中 – 三重県環境学習情報 センター

 

5月~9月のうち2週間ごとの日曜日をまるまる使って、四日市環境学習センターまで通うのは、私にとってもなかなか制約が多くて大変であるし、家族にとっても負担の大きいことなのですが、一度火のついた母を止める力は誰にもありません。

 

というわけで、4月に情報開示即申し込みをして、オリエンテーションを受けて、つい昨日第一回目の一日講義があったのです。

 

なんとなく森林インストラクターっていいな。学ぶ範囲が多くて面白そうだし、飯高の良さをもっともっともっともっと知れそうだし、資格者になれたら地域の役にも立てそう。未来の教育にも活かせるし、絶対にいいやん!

と気軽に考えてしまったのですが、この試験、めっちゃ難しいことがヒシヒシとわかってきました。

文字量のめちゃくちゃ多い400ページ以上のテキストを学びこんでの記述試験は、いい加減な勉強量では太刀打ちできそうもありません。

と、早速追い込まれてはおりますが、内容はめちゃくちゃ好きなのです。

・樹木の見分け方

・森林の生態系

・森林の動物、鳥、昆虫

・森林の活用

・森林の保全

・山村と農林業

・野外活動について

・山の安全

・森の文化史

などなどです。もっと細かいです。

でも、全部知りたかったことばかりで、知ればこの先活きることばかり。

そして私が今いる環境や興味を持ってきたことが全部つながる。

 

不思議なご縁です。

 

一発合格できなくても3年、5年かけて挑戦できるそうなので、じっくり取り組むか、燃え尽きる覚悟で集中するか。そんな苦しみもこの先出てきそうで、ブログ書くよりテキストに向き合った方がよさそうではありますが

書きたい気持ちが次々湧いてくるのは火がついているからです。

インストラクターの視点で森を見られたらどんなに楽しいのでしょう。

 

第一回目の講義は主に樹木についてでした。

20年前に森林インストラクターの資格を取られ、中学校の教員をされていて子供たちに実際レクチャーをしてこられた先生の姿がとても眩しかったです。

 

この木は地元で見た、藤原岳で見た、北海道で見た、広島で見た、ヘルシンキで見た。

木材としていい。木工でよく使う。ルーペで観察するとよくわかる。

 

豊かな経験の中から、ややこしく試験に出そうな種目の見分け方をたくさん解説してくれました。

 

と言っても私はまだ樹木のことをほとんどわかっていない状態でした。

ポカンとしてこっくり眠りそうになりながらカっと目を開き

テキストを見て、サブテキストの画像も見て、図鑑をくりまくり

脳に眠っていた記憶などもバンバン開けて

なんとか興味を持続させることができました。えらいこっちゃ。

 

見分けのポイントはやはり葉っぱのようです。

私がたまたま以前購入していた図鑑は↑でした。それまでほとんど役立てていなかったので、いいものだったのねこれ、と改めて気付きました。

 

そして今朝改めていつもの散歩道を歩くと

なんと沢山の種類の樹木があることでしょう。

そして葉っぱから見分けることができそうだというわくわくたるや。

 

全然まだそこに行きついてはいないけれど、

さも行きつけたかのような気分になると、引き寄せられていくということを聞きました。まさに今がその実践の時です。

 

「私が晴れて森林インストラクターの資格をとれたあと、この道を歩いたら」

あの木は○○、この木は□□、そっちは△□、あそこにあるのが〇△

日当たりのいいところ、水が近いところ、標高、人との関り

実が付く時期はいついつで、臭いを嗅ぎたいのはどれどれで

食べて美味しいのは〇□!

 

うん、めっちゃ楽しいですね。

そして、人の役にも立てそうですね。

林業のゆるやかな発信にもつながりそうです。

 

以前も書きましたが、

「道がどれだけ遠くても、高いところにあっても、見えていたら必ず着く」のがサイクリストの感覚です。

サイクリストとしてはのろのろリストでしたが、弱音吐きまくリストでしたが

今のこの道は拳握って駆け抜けたいです。

 

数年後の未来にはフォーカスしながら、今の不出来とか試験の難しさはそこまで意識しないで、コツコツ向かっていきます。

 

さて講座には共に学ぶ他の仲間もいます。

既に森林のこと、林業のことなど詳しそうで彼らからの質問もとてもためになります。

まだまだこれからわかってくる、個性豊かに違いない仲間とどんな信頼関係が築けるかも、また楽しみですね。

 

ちなみに講座が開かれている場所は、三重県環境学習センターというところです。

興味深い講座が多く開かれており、ずっと行ってみたかったけれど2時間近くかかるという遠さから飛び込めてなかった場所です。ここまでの運転もまた、私の糧になっていきますよ。

www.eco-mie.com

 

 

 

タンチョウの舞

野鳥の会に入会して確か一年半。ちょうど活動自粛の時期とかぶってしまったので、美しい写真が濃縮された会報も減らされる一方だし、探鳥会という野鳥好きが季節の観察ポイントに集まって望遠鏡を覗いてきゃぁきゃぁ楽しむ会も中止ばかりで1度しか参加できておりません。それでも会員になっているという自覚だけは育ててきました。そして意識を野鳥に向けていると、日々の散歩で野鳥に出会う確率は5倍くらいに上がっているのです。明らかに増えたよな、と思うけれど多分意識の使い方によってそう感じるのですね。元々居てくれたので、こんな生活環境がとても有難いです。

 

野鳥の会に入っていると、野鳥保護活動の情報なんかがよく届きます。ビジネスで成功したらどかんと寄附することを決めていますが、それはまだ先の話です。鳥を守るための活動費を支援する人になるためにもまずは「知ること」かなと気になったキーワードにはアンテナを貼っています。あまりキーワードを増やすと頭がぐちゃぐちゃになって何もできなくなるから注意が必要ですが、少しずつでも人生の中に野鳥の重要性が増えていくのが今はとても楽しいです。

 

基本的に好きな鳥は身近で出会える種類の他は、圧倒的に猛禽類ですが、タンチョウ保護活動のライブ配信があるというので、オンライン参加してみました。釧路からの配信で、視聴者がコメント欄で質問も送れるという、まあこのオンライン社会では当たり前かもしれませんが、野鳥の会ほぼ初心者としてはドキドキのライブ体験でした。

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祝!こちらがCanvaデザイン100作目になりました!

タンチョウは古来よりアジアに生息する鶴の仲間で、頭頂部が仁丹色なのが特徴です。丹頂鶴とは言わずに「タンチョウ」が正式名称です。餌場を設けてトウモロコシを給餌する保護活動の効果があって、ネイチャーセンター設立時は300羽程だった個体数が、今では1900羽にも増えたそうです。

 

家畜ではなく野鳥なので、給餌して増やすだけでは生態系のバランスを崩しそうで心配もありますが、絶滅の恐れもあった貴重な生き物をここまで保護できたことは、日本野鳥の会としても大きな取り組みで、冬に見られるタンチョウの求愛ダンスを見に全国から訪れる人も多く、活動を続けることが地域活性にもなっているので、なんだかいろいろと興味深いです。随分前ですが、私の母も冬の釧路を訪れてタンチョウを見たそうで、しばらく興奮が続いていました。大きな鳥が目の前でダンスを披露してくれるという体験に心動かされる人はたくさんいて、感動が連鎖していくのは幸せですね。

 

ライブ配信はまだアーカイブに上がっていませんでしたが、2分弱の短いまとめ動画がありました。近頃ここでも雪がチラチラして例年より寒さが続き、へこたれそうですが、北海道の湿原で活き活きと動く鳥たちの姿を見ると、ああ、へこたれていられないって勇気もらいます。


www.youtube.com

 

昼間はネイチャーセンターでエサの時間を待ったり、ダンスをしたりするタンチョウですが、夜間は近くの凍っていない川の中で寝るのだとか。聞くだけで冷えてきますが、水の流れる川の中の方が凍った湿原より暖かいのですって。まあ確かにマイナスではないですが。川に移動するために夕日を浴びて大きな三角形を描きながら飛ぶ姿や、朝霧の中から飛び立つ姿がカメラマンには人気だとか。そういえばそんな写真にも見覚えがありました。

 

ライブ配信では実際の様子の他、一日の様子や保護活動全般についてのレクチャーもあり、すっかり詳しくなれましたよ。私が質問した「求愛ダンスは練習してだんだん上手になるものなのですか?」に対する回答がとても面白かったのでご紹介します。なぜこの質問をしたのかと言えば、亀成園の鶏にしろ、近くのウグイスにせよ、鳴き声が若い個体と成鳥では随分差があるからなのです。ぎこちない感じで鳴き始め、声もなかなか伸びないのがしばらくするとだんだん上手に一丁前になってくることに毎年関心しています。だからタンチョウダンスも初めはぎこちないのがだんだん見事な演舞を披露するようになるのかなと思ったのです。

若いときから成長の変化は報告がないそうですが、ある学者さんが書かれた論文の一つによると、タンチョウは決まったつがいを作る種類の鳥なのですが、熟年カップルになるとダンスが雑になるというのがあるそうです。なんと! つまり新婚ダンスは情熱的で時間をかけて愛を確かめ合うのに対し、老夫婦は適当に短く踊ってそれでヨシと。美しい鶴のイメージが強いタンチョウが、もう一気に身近になりますね。面白い話が聞けてめちゃくちゃ得した気分です。他の生き物を学びながら、ふとしたエピソードでくすりと笑って親しみを増すというあまり高尚ではないような学び方が私は好きです。

 

真面目な保護活動の話はこちら。

www.wbsj.org

タンチョウといい、シマフクロウといい、やはり北海道の鳥は魅力的です。北海道は高校の修学旅行と大学時代のサイクリングで結構思い入れの深い地ですが、冬はまだ訪れたことがありません。親しみ深めた生き物たちに堂々と会いに行くために、しっかり稼いで、寒さにも強くならなくちゃいけませんね。