レモンの木があることが亀成園で好きなことの一つです。特にマメに手入れをしているわけではないので、成り具合はちっともよくないけれど、それでも言わずとも実をつけてくれる木があるのは、なんだか豊かな気持ちになります。
日々の食事としては別にレモンはなくとも私は構わないのです。ケーキ作りが趣味の頃は、国産無農薬レモンがあったらどんなにいいかと夢見たものですが、夢が叶う今はもうケーキに親しむ暮らしではないので、まさに宝の持ち腐れですね。でも夢見たレモンが木に成る姿は、それだけで絵になり、晴れやかな気分にさせてくれます。スッと高く伸びた枝の先にポンと成った実の姿、レモン型としか言えない特別な形、黄緑の実が熟してきてレモン色になって、収穫を待ってくれています。
レモンの木はトゲがあり、大きいし鋭いし、容易に枝を握ることはできません。剪定し忘れている自業自得なのだけれど、高いところにある実をもぐのはちょっと覚悟が必要です。うっかり足場が揺れて近くの枝に捕まったら確実に痛いですからね。でも覚悟を決めてもいだら、ご褒美に十分ないい香りです。
一緒にもいだ柚子もかごに入れて、しばらく観賞させてもらいましょう。香りはうんと近付かないとわからないけれど、目に入るだけで爽やかさをふりまいてくれているのがわかりますよ。ハチミツ漬けも塩レモンも魅力的だけど、もう少し今のレモンらしい姿と一緒にいたいです。