勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

ベンチは誰が作ったの

林業の町では小学生の職業体験も、がっつり林業をさせてもらえることもあるようです。

 

高学年の課題なので、うちはまだお呼びでなく、前の五、六年生が木の間伐をしたり林業レポートを書いていたことくらいしか知りませんでした。どうせ林業体験をするなら木工もさせてもらえんかなと軽く見ていた私は、まだまだこの町の力をわかっちゃいませんでした。

 

なんとなく林業の現場を見学して、出てきた木材でおそろいのラックを作って、なんていうレベルではなかったのです。それは松阪市内にあるウッドピアという木工教室で、申し込めば毎週のようにできるのです。自分のためのラックや椅子では地域のためにはあまりなりません。

 

ある時学校を訪れて、いい香りのしそうな素敵なベンチがあると思ったら、それが五、六年生の作品だというのです。ヒノキを間伐したものを製材してもらってからみんなで作ったらしく、三つのうちの一つだとか。もう一つは休校になっている更に奥の小学校に置いてあり、残りは道の駅に置いてあると聞いていたところ、先日ようやく道の駅飯高駅で再発見しましたよ。温泉の入り口すぐに置いてありました。

 

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ベンチのそばの柱に林業体験の写真が沢山貼られていて、林業の方たちから熱心に話を聞いていたり、大きな丸太をみんなで運んだり、ドリルやドライバーで製作している様子などです。ヘルメットをかぶってゴーグルをしているから顔はわからないようになっているけれど、わかりますとも、地域の保護者にはね。我が子でなくとも知っている子供たちの貴重な体験に、なんだか目頭が熱くなりました。

 

ちょうど私が縁側に置きたいベンチそのものなのです。いずれ自分で作りたいと野望を抱いてはおりますが、この子供たちの程立派にできそうにはありません。もちろんこのベンチだって、子供たちだけで作れたわけではありません。大も小も手を貸して見守ってくれた地域の方々がいてこその作品です。だから、自分たちだけで使うものでなく、地域の誰もに役に立つ可能性のあるベンチを作ったことが余計に素敵なのですね。

 

温泉前のベンチでしばしの感慨。新しい学年が始まったばかりの子供たちにどんな体験が待っているかはまだ全然わかりませんが、こんな風に、地域の大人の力を存分に貸してもらって、更に他の人々の役にも立つ大きな体験ができるのでしょうか。コミュニティスクール制度が始まって三年目です。熱意の火を灯し続けるのは本当に大変だけれど、中だるみしないようちょっとでも後押しできるよう、この感動を刻みつけておきたいです。