勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

香肌の地名に導かれ

何を隠そう、ホントは隠したいのだけれど、私は皿が好きです。器ものというか、好みの陶磁器を見かけるとあっという間にスイッチが入って、ウィンドウの服以上にときめいてしまいます。それがわかっているので器売り場には頑張って近づかないようにしているのに、魅力的な一枚のカードにグラッとしてしまったのです。よくある間違い、或いは成功へのきっかけか。自分の勘や経験を間違いにしてはいけませんね。グラっときたカードは下記です。

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香肌窯さんというのは名前からして以前から気になってはいました。この地域の渓谷を香肌渓といって、私が居るのは皿に(間違えた)更に上流の奥香肌といい、奥香肌温泉は赤みの硬水で川の水も時々赤いのです。学校の名前も香肌だし、ちょっとした地理オタクにとっての地名は重要で、香肌というのはなかなかお気に入りの地名の一つです。だからきっと良いところであろうと思っていたのですよ。

 

刈り入れ中の茶畑奥にあるアトリエは、しっとりと水の匂いがする素敵なところでした。長年使われていそうなテーブルに程良く仲良く並べられたいかにもここにしかない陶器の数々は、器好きのハートをキュキュッとつかんでいくのに十分です。きっと一人の特別な手から生み出されたであろう様々な形の作品たち、様々な色の釉薬、器に描かれた絵も犬、ウサギ、草花、生活の道具と多岐に及び、それでいてごちゃごちゃした感じを与えない統一感がありました。後から調べてみると旦那様がコネと焼き、奥様が絵付けの担当をされているようです。なるほど遊び心も繊細さも持ち合わせた重層感があるはずです。

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一点モノの器を求めるゆとりがある立場でもないのにやっぱりお持ち帰りを決めてしまったのは、吸い込んだ素敵なアトリエの空気を自分の中にも留めておきたかったからです。もちろん物欲に勝てなかった言い訳ですが、衝動買いではなく投資に近いものだと納得しておく必要がありますもので、モノとの付き合いをまだまだ勉強中の身には良い経験としてえいや、のお持ち帰りでしたよ。

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軽くお話を伺ってみると、香肌窯を営むご夫妻は40年ほど前にこの地に新しく来た移住者の大先輩ということです。別段田舎暮らしを求めていたわけではないようですが、才能がある方はセンスが溢れる素敵な暮らしができるのだなぁと、芸術を求める心の割に恐ろしく絵心のない我が身は、うらやましい気持ちでいっぱいになりましたよ。自分の使うモノを自分の手で作り上げ、気に入った方には買ってもらって暮らしていく。確かな積み重ねがアトリエの気品ある雰囲気を生み出していることを思い、道の上にいる方に会えたことが嬉しかったです。大事な品物は対面で買うことが一番価値がありますね。

 

今回私が手にできたのは上記の、想像力を震わせてくれる器と次女の誕生日プレゼントにする草花の絵がいっぱいのお茶碗の二つですが、もし私にゆとりができたなら、少しずつ入れ替えていけたら至福ですね。わりと近くにある窯元さんを思い切ってつい訪ねてみて、また新しい明るい未来を夢見れそうです。夢じゃ腹は膨れない。けれど夢がなきゃ心が膨らまない。心身のバランスを忘れずに今日も草取りです。