勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

やっぱり実が愛しい

春の一時に日本に欠かせない花にもかかわらず、わずか一週間の開花以外はそんなに立ち止まられることも少ない桜の木です。もちろん見事なサクランボを付ける種類はとてもとても大事にされているのでしょうが、街路樹の桜の木はほとんどが素通りです。私の故郷は北摂で、桜並木道沿いに暮らしていたのですが、花の時期とセミ捕りの時期以外は落ち葉掃きや毛虫の落下に悩まされていました。なんともったいない、かつての私は余るほどのサクランボの使い途をちっとも知らなかったのです。

 

初夏の桜は立ち止まってよく見ると、小さなカラフルなサクランボでいっぱいです。そりゃあんなに花を咲かせていたのだから実も付こうものですが、余裕を持って見上げてみるまでなかなか気付きませんでした。

 

好奇心と食欲でほとんどができている我が家の子供たちは、このサクランボをかじることを覚えました。ツツジの蜜が終わって口寂しくなっていたようです。長女の丹念な実験によると、一番美味しいのは紫色が黒くなって、黒くなりきる寸前の色の実ということらしく、桜の木の下で目を皿にしてチェックアンド採集に励んでいます。

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サクランボは何故か犬も好物で、熱心に嗅いで探しては自分でおやつにしています。こんな小さな実を食べるのは鳥たちだと思い込んでいましたが、木の周りには種入りの獣の糞も多く、この時期の重要な食料になっていることがわかります。ヒトが花を楽しむために植えて育てた桜が、二ヶ月遅れて動物たちの楽しみになっているとは、これも共生の形の一つなのかもしれませんね。

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さて、鳥たち獣たち及び我が子たちにとってはそのままで美味しいサクランボであるようですが、私にはちょっと苦い味です。苦味好きとしては情けない話なれど、ぎゅっと力のありそうな実をかじってみて、酵母にしてみることにしました。

 

キレイな瓶にさっと洗ったサクランボ適当量を入れて、いっぱいまで水を注いで、ちょっと砂糖を加えてしっかりフタをします。ブクブクと泡が出てくるので何日か置くと、それだけで「サクラ酵母水」の出来上がりです。

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フタを開けるといい香りでつい飲みたくなりますが、これをパン作りやパンケーキ作りに利用します。さらに何日か置くともっと発酵が進んで果実酒の香りがします。ああ、ついグビッといかないように早く使わなくては。利用法がもっとあればと新しい課題ができましたよ。

 

ちょっとだけ薄めて飲んでみたら、さっぱり美味しかった。まだ成ってないかな。季節の楽しみは駆け足駆け足。

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