勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

感動貯金、ちょっと引き出し

 ありがたいご縁があって、チャンスに飛びつき、来月下旬に大阪で行われる「三重県移住相談会」に先輩ゲストとして登壇することになりました。農業とまではいかないけれど、農的生活をテーマにした募集になるようで、パネラーとして亀成園にお声がかかりました。松阪市だけでなく、いくつかの市町の担当者が集まって面談も受け付ける会になるようですが、体験談を披露するパネリストは他にいなかったようで、私がたっぷり話していいことになったのです。思わぬ大役で武者震いですね。それでもこれからにつながるいい転機になればと、話すことをあれこれ思い巡らしているところです。

 

 田舎に移住を考えている人が知りたいことはなんなのだろうか。集まる人のどれだけが本気でどれだけが冷やかしかわかりませんが、数多溢れる書籍やブログなどではなく対面での講演で聞く価値があるのはどんなことなのか、改めて考える機会です。

 

 例えば虫の話はどうだろうか。飯高町に暮らして初めて大きなオニヤンマを家の中で捕まえた話はよくても、クモが糸をぶん回してカマキリを捕まえたリアルな捕食話は要らないのかな。つい今日も茶畑でカマキリの卵を見つけて私はとても嬉しかったけれど、喜んでくれる人はいるだろうか。

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虫は聞く人を選びがちだから果樹や摘み草なら好まれがちかもしれないとも考えています。とはいえ私にとってはもう当たり前のことも多い一方、全然わかっちゃいないことも多いのが植物の話題です。

 

 保育園の年長組の息子が今週お天気のいい日、みんなで春の七草探しに行ったそうです。旧暦の正月明けだから本当は2月になってからの春探しだけれど、今年は暖かいおかげかナズナハコベラはたくさん見つかったようで、うちの周りでも喜んで探しています。セリは見つからないと先生が話していたら、子供の一人のおじいちゃんが次の日に持ってきてくれて、みんなで匂いを嗅いだそうです。こんな話はどうかな。つい昨日は末娘が金柑をもいで保育園におすそ分けしました。クラスのみんなで食べてみたそうで、まだ物心つくかつかないうちにもいだ実をかじるという経験ができた子は、なんだかたくましく生きていけそうな気もします。

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梅採りや梅仕事、柿もぎや干し柿作りもいまではだいぶ珍しい家庭仕事になっているので、上手に話せるようになりたいです。もちろん茶畑とお茶作りのこともね。

 

 大袈裟に話すのはなんだか恥ずかしいので、ついあっさり報告してしまいそうになりますが、人に伝えるにはまずは大きな感動がなくちゃいけないなとは思います。私の人生はとかく感動が多いので、照れずに誤魔化さずにまっすぐ響く伝え方ができたなら、肩書きも実績もないような私にも登壇の価値はあるのかもしれません。だから練習しなくちゃね。

 

そうそう、これもまた昨日前庭で竜のヒゲの青い実を見つけました。草の裏にこっそり隠れていたのを見つけちゃったから嬉しくて、宝石の粒々にしか見えない美しさにジーンときて、むふむふ笑いが止まりませんでした。

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 昔友達の家にこの草はあったのに、実を見せてもらったことはありませんでした。でもなんだか印象的で覚えていたのはこのためだったのかもしれません。娘にこっそり教えてあげたら、下校中に自分でたくさん見つけたみたいです。こんなさりげない草花との関わりが、私が田舎で暮らして本当にありがたいと感じていることの一つで、子供心を持ち続けるすべての人に、大きな声で伝えてみたいです。