勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

香肌小学校の山村留学チャレンジ

香肌小学校では児童の減少を食い止め、地域の過疎化になんとか歯止めをかけるため、この春から山村留学制度を設けてアピールし、県内外からこの素晴らしい小さな学校に通学してもらう児童を募集しています。

 

親子山村留学という形をとっているため子供だけを預かることはできませんが、児童期に親子で新しい環境に飛び込むことは一生涯の宝になると信じて、即移住でなくとも興味を持ってくれた親子が安心して暮らせる仮の住居を用意して、仕事の紹介もできるようにして、強運をつかむ親子を待っています。

 

3月末に勉強会も行われ、その様子が先週の中日新聞にも紹介してもらいました。

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いなべ市で行われていた山村留学制度は学校の統合によりもうなくなってしまいましたが、ホタルで有名な小さな集落の小さな学校に通学し、卒業できたのは強運な幸せな家族であったと思います。ハードな登山や学校全体でスキーに行く機会もあったようで、正直うらやましいですね。

 

田舎の学校も街の学校もどんどん統合されて大きくなっていっています。チームスポーツのように大きな集団の中でこそ育まれる力というのも当然あるのでしょうが、大きな集団では育たない力や逆に奪われてしまう力もあると思うのです。小さな学校の児童は影に隠れてサボることはできません。クラスで派閥に分かれて競い合うこともできません。「みんな持ってるから買って」というおねだり手段を使うこともできません。いつも気にかけられ応援されてしまうのがプレッシャーなこともあるでしょう。学校全体を運営することを求められる高学年の負担も小さくはないです。勉強だけしていればよいというわけにはいかないので、無駄な時間と思う人もいるかもしれません。

 

とんでもないです。

 

小さな学校とはいえ全体を考えて行事を企画して運営する経験は、組織が大きいとみんなができることではありません。長女は今年度五年生で児童会役員になりましたが、六年生や先生たちと協力して、今まで楽しんできた行事を今度は自分達が主体となって進めていくことを楽しんでいます。係の仕事や全体の仕事をするためには確かに時間が要ります。けれどその時間を捻出する力を鍛えるのは人生を通じて有力なことは間違いありません。子供が身につける力を見てみたいです。

 

上記の新聞記事によると、「統合を防ぐため」という記載があります。私の思いとしてはどちらの学校もなくさないために、まずは小さな方が頑張る、というイメージです。飯高飯南地域は四つの小学校と二つの中学校に一つの高校があります。上流から下流にいくほど児童・生徒数は増えていくのですが、それでもどこもスカスカのきわどい学校です。もしこれらをまとめてしまったら、しばらくは「友達百人できるかな」と喜んでいられるかもしれません。けれど上流から順にどんどん人はいなくなっていき、その学校もまたすぼまっていく流れにハマってしまうのです。だから安易に統合するのは恐ろしく、踏ん張らなくてはいけません。上流が盛り上がればきっと人の流れが変わります。何度か移住ブームで頑張ってきたのにどうにも抗えず、悔しい思いをしている人がいっぱいおります。私だってそのうち子供たちみんなが出て行ってあきらめてしまうことになるかもしれません。

 

でも今は頑張れます。子供たちの友達が一人、また一人と増えていく未来を描くことができます。この学校いいよ、この地域いいよ、一緒に成長しようよと呼びかけることができます。おかげさまで行政も意識して力を入れてくれており、商工会も意識と結束を高め、飯高飯南地域全体で移住促進に前向きになっている現在です。これはチャンスですよ。香肌小学校の門戸を叩いて、仲間になってくれる家族を心から待っています。