勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

大きな火、遠い火

既に夏休みが終わった地域も多いようですが、ここはまだ夏休み。遊びの最後の仕上げにかかっております。といっても遠出はせずとも近所でね。

 

亀成園では2020年から農家民宿亀成ハウス(仮称)をオープンさせる予定ですが、それに先立ち多少の改築工事をしなければならず、今週着工でした。増税前にやってしまわなければなりませんしね。無造作に離れに放り込んでいたものを整理整頓清掃するのはたいした労働で、あれやこれや頭を悩ませているところです。

 

その一環として、どうにも余った木材や溜めていた米袋(30キロ分入る紙製)などを、一挙燃やすことにしました。おうちキャンプファイヤーです。娘の自由工作に使った竹の切れ端も節を取って燃やします。壊れた植木鉢、納屋に放ったらかして置いたままの昔の箪笥など、意を決して処分することにした時に自分で燃やせるのは、粗大ゴミで捨てるよりも気分が上がります。街中では許されない好きに燃やす行為ですが、大きな火を目の当たりにするのは人間にとって大切なことだと思うのです。

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この古民家の離れにあった五右衛門風呂の釜の中で燃やすので地面が真っ黒になることはありません。一度火が起こったらポンポン放り込んでいけばいいので、すぐに盛り上がれて楽しいです。あまり深く考えずにファイヤーしてしまったので、山茶花が一部焦げてしまい、可哀想なことをしました。途中止められなくなって、次の日気付きました。そりゃ焦げるかな。

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火遊びはやはり危険。でも危なさをわかっておかないのはもっと危険。だから子供たちとの火遊びはたっぷりと。強者の論理っぽいけれど私はそう考えています。それに熱いものに触ることの少ない子供は熱いものに触れてもすぐに反応ができずに大きな火傷につながってしまうようですが、火に慣れているとすぐに反射して手放すことができるので小さな火傷で済みます。結局は重傷にならないというのは火に限らず人が学ぶ大事なことだと思うのです。勝手に扱うには危険が大きいけれど、火と仲良しでいてほしい。管理の行き届く範囲で大きな火を燃やせるのはとても恵まれたことです。

 

この日は夜も天気が良かったので、キャンプファイアーと並行して星空観察もしました。前日に休校している小学校で星ソムリエをお招きしてもらって行われた星空観察会では、曇り空のためなかなかきれいな星空が見えませんでした。雲の合間を狙って木星土星を見つけ、大きな天体望遠鏡で見られただけでもよかったのかな。抽選で宇宙食も当たったし、会には感謝ですが、もっと見たかったなとくすぶっていたので、夜外に出て空を見上げて驚きでした。

 

暗い暗い山の中の夜空はまさに降るような膨大な星の数。あんまり瞬き過ぎていて有名な星や星座を見つけるだけなら街の空の方が簡単に思えるくらいです。ソムリエさんがいたら地面に寝転んで天然プラネタリウムを眺めていたら、レーザーポインターで星を指していろんなことを教えてもらえるのに、無知な自分がもどかしかったです。きっとあれははくちょう座、ベガとアルタイルはあれだろう。下の方に見えるのはさそり座らしい。こんな有名な星座にも迷ってしまうのです。それでもきれいな星たちでした。見事な天の川でした。流れ星も見れ、山の麓に無防備に転がる私たちを見守ってくれていたなら感謝です。

 

近くで炊いてる火よりももっともっと大きな火が、気の遠くなるような時を経て、星の光としてここに届きます。小さくて淋しげな、それでも美しい星の火は、かつてどんなに燃え盛っていたのでしょう。宇宙は暗くて広過ぎてほとんどが死の世界ですが、点々と燃える大きな火があることが救いです。

 

冬の空もきれいだけど、寝転がるには地面が冷たいから、夏の星空観察が気楽で好きです。来年の夏に亀成ハウス(仮称)を訪れてくれる人々に星好きがいればいいのにな。この恵まれた暗い空(星空としては超A級)のことをもっと宣伝しなければいけませんね。