勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

宮ノ谷歩き。冬編

春に道が整備されて行きやすくなった、水と緑の天国である宮ノ谷に先々週再び訪れました。このときは地域の頼もしいお兄さんたちのガイド付きで、飯南飯高地域の小学生に呼びかけられたイベントでの参加です。子供に優しい地域でノリのいい子供がいるって本当に恵まれた機会が多くてラッキーです。

 

参加者の多くは20キロ以上川を下った地域から上がって来るので、大きなバスで集合なのですが、うちは宮ノ谷に一番近い子供のいるうちです。一番近い家ではないけれど、子供がいるうちならここ。というわけで現地集合現地解散の気易い参加でしたよ。飯高飯南で暮らしていても上流まで訪れたことのない人は案外多いので、うちはこの立地をもっと活かしてガイドまでできるようにならなければいけません。前回はわからなかったこともしっかり聞いて吸収する気満々で行きました。

 

晴れた冬の日、靴下は二枚履きで、トップスも空気を温めるように重ね着して、風を通さないアウターにして、全員分の服装をかき集めるのに手間かかりましたが、歩けばすぐに暖かさを感じるくらいの丁度良い山日和でした。

 

細い道を一列で歩いていくのが前提で、梯子や橋が多く、子供が気を抜いたら危険ということで歩きながらのお喋りはストップされていたため黙々と水音や木の葉の音、みんなの足音を聞きながらの山歩きでした。

 

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親子参加で子供は大人に基本的にはさまれて歩く形だったため、途中固まってチャンバラを始めたり橋を揺らしたりふざけたりもなく、優秀なハイカーたちでしたよ。人数の多い学校の遠足ではそうはいかないけれど、ある程度慣れた大人にはさまれてなら、未経験の小さな子供でも十分山歩きができるお手本のような団体でした。それとも参加者の子供たちがよかったのかな。いずれにせよ安心して親子でトレッキングができるのは有難い体験です。

 

前回わからなかった鷲の岩というのもバッチリ教えてもらいました。前はどこに鷲の岩があるのか川の中をギロギロ見ていたのですが、ぐんと上を見上げるのがポイントでした。あら、確かに。

 

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熊野にある鷲の岩と向きが対称でセットになっているそうです。ここのは右側のですね。三重の山好きには当たり前のようなことも、まだまだ知らない私は感心でいっぱいでした。一対の大鷲が熊野と宮ノ谷に分かれて大台山地を守っている。なんだか骨太神話につながりそうですね。

 

立ち止まると急に冷えてくるので、時々写真を撮ったり全員そろっているかの確認小休止以外はサクサクずっと歩いていたら、あっという間に目的地に着きました。

 

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冬の滝は水量は少なくて迫力には欠けてしまうけれど、そこまでの道が滑りにくくて歩き易い利点は十分にあるし、深呼吸をしたら身体の中が寒さでキュッと締まる感じ、私は好きなんです。この日なんかはまだまだだけど、もっと寒い冬の日に寒さに立ち向かうように外を歩き自分の身体と向き合うことが、年々癖になってきています。もちろんそれは後でしっかり温まることを信じてなきゃできませんが、ブルルと震えながらもニヤける強さがあると、冬って楽しくなりますね。

 

この日のご褒美は滝道との分岐になっている三叉の川原で作ってもらった豚汁でした。正確には猪汁ですね。飯南の料理人でもある猟師さんから回ってきた肉は、部位様々で、飯高のとっとき味噌によく絡まって美味しかったです。里芋や根菜は道の駅で、見慣れた上質なコンニャクも入っており、飯高飯南をぎゅっと煮込んだ旨味温もりでした。イベントの裏側を支える人の顔がすぐに出てくる程に、地元のつながりを強く感じます。写真を撮る前に空っぽになっておりました。小さな子がこぼすといけないしね、と言い訳しながらも。

 

 

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うちの四歳の末娘は、お父さんに背負われたりお姉ちゃんに運ばれたりしながらも、往復をかなり歩いて行程をこなしたので、地元の山岳ガイドのおじさんが大喜びでした。いずれ世界に名だたる登山家女性になる、なんて未来は母には描けないけれど、子供の姿から希望を抱くのは健全な社会ですね。沢山の期待を背負いながらも、飄々と我が道を進める育ちをしてほしいと願っています。

 

山歩きにせよ非日常の旅にせよ、親にある程度の余裕がないと小さな子は単に足手まといになってしまいますが、私は幼児がいることで冒険レベルを下げてもらうことができるので、一緒に頑張ってみるのが好きですよ。そのうち私が一番足手まといになることはわかりきっておりますから。それでもたまには連れて行ってもらうためには、今ちょっと世話を焼くのがいいかな。名だたる冒険家とまではいかなくともたくましく生きていってくれることは、しっかり期待しています。

 

二回目の宮ノ谷ハイキングは多少膝が震えたくらいで無事にこなすことができました。翌日以降の筋肉痛もなく、心地よい疲れと満足感が残りました。ペース配分してもらえて感謝です。

 

宮ノ谷歩きはずっと水をそばに感じながら目的地まで行けるところが特に好きです。ハイマツの小道なんかは好きですが、標高の高い山でガレガレになった道は本当に怖くて苦手なのです。川が遠くに離れると不安が募る私はつくづく水と森の生き物なのだと思います。水があるから岩の裂け目から大木まで育って、トロ場に魚の気配を感じてどこからでも鳥の声が聴こえ、たくさんの生き物がいるのが嬉しくて、何度でも訪れたくなるのです。流れがあり植生豊かだから、ここの姿は時が経つと変わっていくことが想像できて、今を大切にしたくなるです。悠久なようで進化の早い山。蓮ダムのほんのちょっと奥の素敵な場所。今度は私が案内したいですね。