勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

亀成園の年末所感2019

2019年もカウントダウンです。毎年大晦日で一気におせち作りをすることにしているため、もうてんやわんやなのですが、亀成園にとっての一年の振り返りはしておきたく筆をとっています。

 

まず卵ですが、今年前半にそこそこ頑張って営業活動をした成果があり、おかげさまで後半は在庫を抱えて困ることもなく売り切ることができています。元々数は少ないので売れる流れができればよかったのです。飯高地域の美味しさを詰め込んだ安心の平飼い卵で、六個入り一パック三百円のお手頃価格のため、知人に会う時の手土産に購入してくださる方もあり、地道にファンと話題を広げています。一パック八百円の烏骨鶏卵は健康のため自分を気遣う世代に好評です。予約して買い占めて下さるお客様もいるため数が少ないのが悩みでしたが、ついここ二ヶ月くらいは去年生まれの雌鳥が産卵期のピークを迎えているのか今までにない勢いで産んでくれています。

 

百羽以下の小さな養鶏で、いつも数は限られているため卵商売だけでは口にのりすることはできませんが、卵があるおかげで亀成園の存在価値が認められてきたのは大きな事実です。

 

そんなこともあり、今後亀成園は卵の他の事業も手がけねばと、この一年農家民宿への道を探っておりました。観光の希望地が日本の都市部や観光地だけでなく田舎にも広がる中、農家民宿の需要は高まっています。多岐の役所への申請が必要で、許可を取るためには改装も必要なので思い立ってすぐにできる家ではありませんでした。2019年の前半は香肌小学校の親子山村留学実行委員長として関心と時間を取られていたためなかなか進まなかったのですが、夏以降徐々に準備をしています。

 

親子山村留学も今年は残念ながら成果がなく、関係者一同なかなか喜びを共有できずジリジリしております。このまま小学校は消滅してしまうのかと懸念すればくじけそうにもなりますが、土台作りは時間がかかるもの、待つからこそ光は強いと信じて、活動を継続していかねばなりません。香肌小学校を必要とする親子は絶対にいるので、きちんと情報が届き、認知され、思案あってまずコンタクトしてもらうためにも、この地での民泊が望まれます。

 

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今年は米作りも始めたため、田植え期と稲刈り期は忙しかったです。初めての体験を詰め込んで力を注ぎ、でもだからこそやっと自分たちの米を口にすることができ、全体の自給率は七十五%くらいに上がりました。芋類も順調だったので、生きる実感を積み重ねた農的成果でした。

 

ここまでが亀成園の主にお父ちゃんの2019年でした。PTA会長も引き受け、草刈りや季節の単発仕事もあり、罠猟も年を通して行い、漁協の仕事も入るようになったため本当に目まぐるしい一年でした。よくこなしたものだと驚きです。

 

私はといえば、週二回はパートに出、週一程度学校のボランティアがあり、親子でトランペットの練習に通い、四人の子供の諸行事に頭をこんがらがせていた日々でした。それでも六月まではのんびり暮らしていたのです。なにせ息子が一年生になるショックが大きくて、あまり力が残っていなかったもので。けれどどうも彼は大丈夫そうだと思い出した夏から、縁あって県主催の「農山漁村起業家養成講座」というのを受けることになったのです。

 

これは曽根原先生という山梨の過疎地域を開墾されて一大ビジネスを仕掛けているスモールビジネスのスペシャリストが、全国で農山漁村起業家を育てている講座の一つです。

 

 

日本の田舎は宝の山 (日経ビジネス人文庫)

日本の田舎は宝の山 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

 

 

講師として全都道府県に出向いた実績があるなんて雲上人のようですが、三重県でも十一年前から毎年起業家が養成され、受講者が各地で活躍しているそうなのです。伊勢の和紅茶を手掛けたとか、SUPを用いた美容ツーリズムとか、なんだか素敵だなと思っていた三重県の活動の陰にはちゃんと県の仕事があったのです。

 

飯高では香肌峡でのカヌーやトレッキングのガイドやPRをして、今年地域メディアの寵児だったi sierraという団体の代表が昨年の農山漁村起業家養成講座の受講者でした。元々この講座を紹介してくれたのをはじめ、先輩として飯高活性化仲間として何度となく葉っぱをかけて下さいました。

 

i-sierra.com

 

なにせ私はあわよくば謎の不労所得で生涯呑気に無名の文化人として生きていきたいと思っておりました。だが悲しいかな、謎の不労所得なんてものはありません。これから生きて子供たちの手本となるにはつべこべ言わず働かねばなりません。起業するなんて遠い他者の運命と思っていたけれど、細々働くのに向いているとも思えません。えいやで学び始めたビジネスというテーマは、難しいけれど楽しいチャレンジだったのです。

 

幾つになってもファンタジーを愛読していた私が、スモールビジネスや自己宣伝力の本を手にするようになり、この半年で頭の中がガラッと変わったような気がします。講座は七月末から一月末の期間でまだ終わってないのですが、年が明ければ卒業に向けての発表準備になります。それがこなせれば講座は修了となり、晴れて自分のビジネスプラン実現に向けて動いていかねばなりません。あきらめなければ私も起業できるのです。足元から一歩一歩、大好きな飯高の観光を盛り上げる仕事をしていく決意です。

 

そんなこんなで今年度中は生活も仕事もまだ大きな変化は少なくて、とにかく準備と自分の内なる変革に費やされた2019年でした。種は巻かれて土の中でたっぷり栄養源を探っているところです。2020年にすぐに実らずとも、時間をかけて地盤を整えてきた自分たちの力とありがたいご縁を信じて、迷わず挑んでいきたいです。

 

今年度私のブログを見て下さった皆様、ありがとうございました。細々と自由に呑気に書き続けてきただけですが、大切なネタが沢山溜まってきました。ブログの一番の読者は書き手自身だと言いますね。私もそうやって自己満足をしてきた身ですが、もう少し発信力を高めたいなどの野望も育てています。気負い過ぎては自滅するし、今夜は煩悩を払う大晦日なので、そろそろお口チャックですが、なんだか武者震いの年末所感ですよ。寒波襲来対策をして、どうぞよい年をお迎え下さい。