香肌小学校校区は子供の体験活動だけでなく、大人が参加する公民館活動というのもやたら充実しております。全国どこの街も田舎も地域での活動というのはあって、企画する人・指導する人・参加する人の息が合えば、どこでだって楽しくつながる活動になると思いますが、飯高町での地域活動はいつも来易く楽しくて、思いの外いい体験させてもらっています。運が良いことで。
先日参加したのは「ふところ餅作り」でした。
ふところ餅は米粉をついて甘みと小麦粉を加えて作るコロンとしたおやつで、野良仕事の際にふところに入れて持ってったことからの呼び名だそうです。作ってしばらくは冷めても硬くならないのが上出来なやつで、ほっこりした美味しさに満ちています。ほっこりの力が強いのか、「ふところ餅」と呼んでいるのに「ほところもちぃ」と聞こえます。思わず頬がゆるむとは、小憎いおやつですね。信州やらでも販売しているようですが、私は飯高町の道の駅で売っていたのを初めて食べて、なんとも言えない幸せな美味しさのファンだったので、教えてもらえるとは朗報とばかりに参加してきたのです。四人の子供のうち、一番真面目で器用な次女を連れて行きました。
郷土食おやつであるふところ餅は、材料はシンプルですが、作るのに時間のかかるおやつです。
米粉と塩を混ぜたものをちぎり、シュンシュンした蒸し器に餅米少しと一緒に入れて蒸します。
それから餅つき機(田舎では各家庭にある。欲しいような、手を出してはいけないような)でグルングルンつきながら、途中で黒砂糖を足します。
なかなか混ざらないので少し手を貸しながら根気よくつきます。ポロポロ崩れていたのがだんだん丸くなって色も均等になってきます。ぐるぐる回りながら動くこの塊は、丸まりながらもピロンと足みたいなのが出ていて、なんだか昔イメージした優しい宇宙人みたいで可愛い存在でした。
それから全体が硬くならないように小麦粉を加えて更に混ぜてつき、焦らずじっくりつき続け、まーるくまとまって柔らかそうになったら餅つき機から出して、整形します。
慣れた人は一気に台の端から端まで伸ばせるようですが、初心者たちはちょっとずつ。柔らかいけれど硬さのしっかりした餅生地は均等に伸ばすのも結構難しいです。パン作りに慣れた人なんかはこういうの得意みたいですね。手でできることの深さ面白さを感じます。私は手はあまり動かずに心で感じることが得意分野なので、恥ずかしげもなくいい加減な整形っぷりでしたが。
これだけたっぷりバットに入れたところで講座は終了です。ここから更に一、二時間乾かせてから餅切り包丁(なければ普通の包丁)で一口大に切ったら、やっと完成です。
沢山できて余ったら冷凍したらいい、と言われましたが、分け合って食べたらあっという間でしたよ。我慢我慢して一日置いておいたのを軽く焼いたらこれまたほんわり美味しかったので、やはりもっと大量に作りたいものです。
今回のレシピは黒砂糖だったので、身体に優しい大好きな甘みでしたが、サツマイモを入れるもよし、ヨモギやお茶を入れるもよしの応用の効くおやつです。暑い季節には作らないというし、元々はクズ米を粉にして使うために作られたというし、美味しさだけでなく生活と工夫の歴史がいっぱい詰まったおやつです。受け継いでいく一人になれるのかな。腕には不安しかないけれど、このほっこりを絶やさないためにできることはやっていきたいなと思います。
講座の企画者、指導者、参加者の皆さまありがとうございました。好評につき定期講座になることを念じております。