今週のお題「卒業」
2011年からほぼリアルタイムで購入購読していた漫画、『銀の匙 Silver Spoon』が先月めでたく15巻で完結となりました。漫画好きな私ではありますが、大人になってから欠かさず買っているのはかなり珍しい、大事な作品です。
亀成園がまだ農的暮らしを始める前から読んでいたので、ひょんなことから農に関わりもまれ悩みながら、自分の強みを発揮してものすごく成長していく主人公の姿は、わりと他人事とは思えません。私もつい五年前までは鶏も飼っていなかったし、肉をさばいたこともなかったし、起業の道に進むことなんて描いてもいなかったですしね。
読んでいない方のためにざっくり言うとこの漫画は、進学中学校から逃げるようにして農業高校に入った真面目な主人公(八軒)が、体力勝負の過酷な環境とたくましい仲間たちに振り回されながら、新鮮なうまい食べ物に感激し、命の巡りを目の当たりにしてショックを受けながらも、そんな自分の経験からやりたいことを見つけ、豚を育てて学生起業をするというすんごい青春ストーリーです。馬術部で頑張る大事な項目もあります。そしてハートフルだけれどギャグ要素が多いのが大事な特徴です。恋愛シーンが少なくて安全なのも好きなところです。そこいつだって重要。
亀成園の私たちは農業高校や大学で過酷な実習をこなして身についたというような、大変うらやましい体験がなく、もっと手探りで進むだけの農との関わりではありますが、畑の新鮮野菜がめちゃくちゃ美味しかったり、家畜や獣をさばくことをゆっくり受け入れていったり、「夢を否定しない」ことが根幹にあるということは、深く深く共感できるのです。
生き物に触れたくなる漫画です。
うまいものに悶えたくなる漫画です。
夢に挑戦していいんだって思える漫画です。
完結させていただきありがとうございました。
高校一年生だった主人公と仲間たち、卒業おめでとう。
今回私が最終巻を読んでほくそ笑んだのは、卵かけご飯のシーンです。
第一巻では主人公がもだえていた卵かけご飯
最後は鬼の形相のお父さんのハートに火を点ける大層な役割を果たしていました。
やっぱり、人がときめくのはTKG!!!
そして私はいつもご飯をくぼませて卵をのせてから後でたらりと醤油派だったのですが、
「先にご飯と醤油を混ぜてから卵をのせると卵の風味が楽しめる」との重要情報も頂きました。嬉しい。
早速試すのが礼儀ですね。
春の陽気で産卵率も上がっているし、しばらくずっと卵かけご飯日和です。
ちなみに著者の荒川弘さんは、『鋼の錬金術師』や『アルスラーン戦記』も描いている、ほんと強くて楽しい方ですね。素晴らしい作品をありがとうございます。