勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

#ブックカバーチャレンジ してみました

 昨日から子供たちは午前中だけですが学校に行けるようになりました。朝の家事をすっかり任せていたのであっという間にいなくなってしまうと残されたこちらはおたおたです。でもあまり子供の足を引っ張るわけにもいきません。小規模校で一人一人の役割が山ほどある学校生活にまた慣れていくのには、結構力が必要です。学習以上に大事なことを山ほど経験させてくれ、立派に子供を育ててくれる学校に感謝しなくては。ああそして、ただでさえ得意とは言えない上にすっかり鈍ってしまった家事力を磨き直すのが私の務めですか。やれやれ。

 

 ところでコロナ自粛期間中、多分四月頭くらいから、#〇〇チャレンジ という企画をよく目にするようになりました。SNS上(主にFB)で何かお題を与えられ、友達を巻き込んでみんなが同じことに取り組むことを広げる活動、といえば通じるのでしょうか。私が見たのは動画を撮影して腕立て伏せをする企画と、好きな本を紹介する企画くらいですが、他にもいろいろあるのかもしれません。自分が属するコミュニティには偏りがありますからね。若者のチャレンジは目にすることがないのも無理はありません。

 

 その中で私に回ってきたのはもちろん腕立てではなく本の紹介で #ブックカバーチャレンジ と言われるものです。好きな本の表紙の写真を7日間で一枚ずつ投稿し、友達にバトンを渡していくという企画で、毎日一人にバトンを渡すと7×7×7・・・でバトンが増えていく恐ろしい拡散力です。まあ実際は律義にバトンパスをする人ばかりでなく、投稿は勘弁な人も多く、さもありなんの本好きばかりで回っておりました。私も人に頼みごとをするのが苦手なもので、バトンは回しにはぐずぐずしておりましたよ。なんとか二本つなげただけで良しです。

 

ともあれ、自分の好きな本のカバーを紹介してくれと言われてうずうずしたのは確かです。内容が好きというだけでなく、カバーに魅力のある本を集めました。それに書評はしなくていいとのことで、手持ちを見直して7冊選んでみました。いろいろ追加説明をしなくてもカバーが語るような本で、絵本ばかりでなく、難しい本は避け、それでいて大好きな本。

どの順番で見せる? 本同士のつながりもほしい。そこに投影される自分が見えるように。と、結構真面目に振り返ったのでここにもまとめておこうと思いました。

 

一冊目は

ガラスの地球を救え―二十一世紀の君たちへ (知恵の森文庫)

 

二冊目は

ぼくがここに

 

三冊目は

木 (新潮文庫)

私の手持ちは文庫ではなく単行本なのですが、こちらもいいな。

 

四冊目は

道のむこう

 

五冊目は

 

親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育―子どもの魂の、夢見るような深みから

 

六冊目は

 

ピーターラビット全おはなし集

 

最後の七冊目は

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 

以上のラインナップにしました。

手塚治虫さん→まどみちおさん→幸田文さんと再敬愛の日本の作家さんたちを並べ、

自転車乗りだった心をいつも思い出させてくれる写真集→子供との必死の10年を一番支えてくれた育児書、で20代30代を位置づけ

ビアトリクス・ポターミヒャエル・エンデという生涯憧れ続ける大御所ツートップで締めて頂きました。感動した本、夢中になった本、理解したくてたまらない本など幾らでもある中で、案外シンプルに決まった7冊がこれらでした。ジャンルもバラバラなようでいて、「大きな自然を愛する」というテーマに貫かれていたのが納得の発見でした。自分にとっての大事なものって、結構単純ですね。ブレていなかったのが嬉しかったです。

 

私が生まれる前から人間の文明は進みに進み、知りたいことがほとんどなんでもわかり、飢えに苦しむことも少ない現代社会に暮らせることは恵まれたことなのですが、美しい地球は悲鳴を上げているのではないだろうか。私は他の生き物のことを、動物も植物ももっと大きな自然も、きちんとわかり、共生を望んでもらっているのだろうか。もう少しずっと命をつないでいくのに、この暮らし方でいいのだろうか。もう少し優しくあるために、私に何ができるのだろう。日々考えているそんなことは、好きな本との対話だったのです。

 

最後にあげた『はてしない物語』は有名なファンタジーで自然との対話からはかけ離れているようですが、この本で書かれていることは「やり直し」「相互理解」「勇気を出す」といったことです。私が好きなファンタジー小説はどれも荒唐無稽ではなく案外地に足をついた話です。他の生き物や他のやり方を学び、耐えがたい仕打ちに対面しながらもたくましく生き抜く、そしてほころびを解き、やり直す。どうもそんな話ばかりが好きです。そしてきっとそんな物語の主人公たちの生き方は、今の現実を生きていくのにも必要な力なのです。主人公たちのようにかっこよくはいかないけれど(はてしない物語はかっこ悪い主人公ってところが素晴らしい)、いつだってあきらめない力や真実に近付く努力、いざというときに立ち上がり立ち向かう力はあっていい。現実の試練は物語のようにわかりやすくはないので難しいのですけどね。

 

ところでもう一冊、惜しくも漏れてしまったのは子供の頃から絵を見て遊んでいる、ボロボロにもほどがあるこの本。まだAmazonで取り扱いがあったことに驚きです。

Best Word Book Ever

確かこの本は、小学生の頃に英会話を習っていた関係で梅田紀伊國屋書店で買ってもらったのですが、英語は全く見ずに絵ばかりで何度も何度も楽しんでいました。字の読めない幼児が熱心に本をめくるということを、小学校高学年でもやっていたわけです。ええ、暇人ですから。このリチャード・スキャリーさんの絵がなんとも好きで、フィリピンに居る頃ペラペラな絵本を何冊も見つけてつい買っていました。動物たちが暮らすほのぼの世界ですが、まるで平和ということもなくよくめちゃくちゃな事件が起こります。あまりきっちりしていない大人が好き勝手に暮らしています。

 

読書啓蒙活動なんてこと、私は実は推進してはおらず、本ばかり読んでいるのではなく家事力・生活力・体力を身につけることのほうが余程大事だと本気で思っております。それでも本から得るものは、とにかく楽しさです。退屈知らずのたくましさです。少なくとも休校中に退屈した子がいなかったのは、一緒にいる時間が長くなった親としてもありがたいことでした。退屈する→イライラする→喧嘩する→笑えない、になると辛いですからね。

 

さてどうでしたか。七日間の#ブックカバーチャレンジ報告(とそれ以外の話)。

バトンは余っておりますので、いつでもパスします。これぞと思うブックカバーがあればまた出会いたいものです。