勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

川魚と親しむ香肌峡

先日のアマゴの稚魚放流に引き続き、鮎の試し釣りを見学する機会がありました。川のそばで暮らしたいと描いたのは、川の音を聞いて川に飛び込んで川の生き物たちに親しみを感じて、とぼんやりだったのですが、漁業協同組合の人たちとご縁があったことから、釣りの楽しみが近くなってきました。ただ川辺でのんびりするといいよ、というよりも川魚美味しいよ、というほうが引力がありますね。そんな思いで亀成園HPに書いた記事を転載します。前記事とほんの一部重複がありますが、合わせて川に誘惑されてほしいです。

 

kamenarien.hatenadiary.com

 

 
 
ゲストハウス亀成園が「香肌峡で泊る、歩く、蘇る」を謳っているのにはわけがあります。地名を入れるには飯高町でもいいし、もっと広く大台山系でもいいのだけれど、「香肌峡」に重きをおいたのは、川のそばで過ごす時間を味わってほしかったからにほかなりません。亀成園の園主と園長が移住先をこの場所に選んだのは、幾多の偶然が重なったからなのですが、きれいな川のそばで暮らしたいとの思いが強くあったのは大きな要因の一つです。三重県松阪市の西部山間地域である飯高町飯南町を流れる櫛田川は、ダムができて以来地元民の評価は低下し、三重県の他地域ににある宮川や銚子川ほど有名な川ではありませんが、いえいえどうして清流なのです。日本中を旅してきた私がここで暮らしたいなと思ったきれいな川なのです。とりわけ上流域は魚が透けて見えるのは当たり前、青いような緑のような美しい色を湛えた川で、日本の誇る川の一つに違いない、そんな思いがあります。香肌峡で過ごして発見して、心がスーッと蘇るような経験をしてほしい。ゲストハウス亀成園が人と川のつなぐ場所になればいいと願っています。
 
人と川がつながれるには、川で泳いだり川で涼んだりももちろんですが、川が育んだ魚を釣って食べるのが一番ダイレクトではないでしょうか。新鮮な川魚を流域でいただく。地元民には珍しいことでもないのですが、きっとこれは贅沢な旅です。
 
櫛田川漁業協同組合の管理下で、毎年アマゴとアユの放流が行われ、香肌峡は釣り人を待っています。
 
 
 
 
アマゴの稚魚を放流した直後の写真です。黒い点々が大きく見える稚魚が大きく育っていくと、赤い斑点の目立つアマゴになります。稚魚放流も漁業協同組合により毎年行われており、そのうちの一回は小学校の児童による環境保全教育として行われます。学校から徒歩で行ける川原で一人一つずつのバケツにたっぷり入った稚魚をゆっくり放ち、きれいな川を守っていくから大きく育ってね、と約束します。
 
アマゴ漁は3月上旬から9月まで解禁されており、釣り人たちに親しまれています。でも知名度が低いためか、他の流域に比べると釣り客はうんと少ないです。レジャーの形が分かれに分かれて、釣り人というのが減っているのかもしれません。押し寄せて川が保全できなくなっても困るのですが、せっかく放流している魚が鵜(ウ)や鷺(サギ)のエサになるだけはなんだか惜しい気がしますね。ちょっとずつ香肌峡で釣りを好む人が増えたらいいのにと願っています。釣りは朝が早く、ほぼ単独行動で、道具は手入れすれば永続的に使えて魚が手に入る、大変健康的な時間の過ごし方です。
 
今週末は鮎漁も解禁です。
 
 
 
解禁に先駆けて、鮎の試し釣り(もちろん、後で傷つけずに放します)を見せてもらいましたが、腹びれが白くぴかぴか光る美しい魚です。きれいな川で、柔らかい苔を好むこの魚は渓流釣りの上級者に好まれますね。おとり鮎を狙いの場所に入れてなわばりの鮎を誘う友釣りは、本当に楽しそうです。私はまだ経験もなくセンスもなさそうでおとり鮎を申し訳なくも無駄にしてしまいそうですが、上級者の見事な釣り道具さばきを眺めるのは気持ちのいいものです。昔の香肌峡は夏前になると川から鮎の香りがしたそうです。スイカのような夏の香り、夏の味。はらわたまでさっぱり食べられる草食の魚は、清流だけの恩恵ですね。
 
 
 
 
 
亀成園の園主も今年は子供たちと一緒に鮎釣りに挑戦です。なのでまだご案内できるレベルではないのですが、素人がやってみるからこそ、その後お伝えできること、伝えたいことが山盛りになりそうです。
 
アマゴでなくても鮎でなくても釣りの喜びは味わえます。大味な小魚であっても、新鮮なうちに素揚げにして塩をふれば、なによりのご馳走です。ゲストハウスに泊って釣りをしてすぐ食べる。夏の旅はそんな豊かな時間を描いてみませんか。