勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

思い入れのある通学路

お題「手作りしました」

 

子供たちの通う学校では毎年11月半ばに学校PTAという日があり、児童・保護者と先生方で土曜日の午前いっぱいを使って何か楽しいことをする企画があります。

 

今まではお弁当作り、郷土のおやつのだら焼き作り、クレソンうどん作り、伝統の栃餅作りをしてきました。全校を班に分けて保護者も一緒に手間暇かけて、でも難しいところは栄養教諭や地域のベテランたちのサポートがついてのクッキングは、全校と保護者が楽しく過ごして胃袋をつかまれる素敵な行事だったのです。

 

けれど今年は調理実習ができず、向かい合って和やかに食べることも許されない前代未聞のご時世です。クッキングではなく工作に変える必要がありました。大体の工作はクラスごとの学級PTAで行っており、リース作りも言っちゃあなんだけどですが、新鮮味がありません。一緒に運動をするのでもよいけれど、接触はできないし親の体力がもちません。人に寄りますが私はもたない側です。

 

という諸事情を加味して考えられたのが

「安全坊やを作ろう」という親子DIY企画でした。

 

安全坊やとは・・・登下校中の子供が飛び出してきそうな箇所に設置される屋外設置の1メートル程度の標識で、飛び出し坊やとも呼ばれます。全国でどれほどどのタイプが普及しているのか調査しておりませんが、三重県はかなり多い気がします。最近はペラッとした量産型も多くなっていますが、木工タイプの方が存在感があり、小学校と子供たちの存在を感じさせてくれる地域盛り上げアイテムの一つではないでしょうか。

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その安全坊やたちが老朽化して外傷が目立つようになってきたので、自分たちで作ろうという企画でした。児童がそれぞれデザインを描き、紙に写してさらに板に写すところまで事前に行っておき、学校PTAの日にみんなでペンキ塗りをしました。

 

デザインに何の制限もなかったので、女の子は坊やではなく女の子を描いていました。男の子も好きなアイテムを持たせたりキャラクターになったり、親子の力作が次々と形をとっていきました。うちは3人分作らなければいけなくて、両親とも美術の才は皆無ですので、子供の画をそのまま、細かいところは省いてなんとかそれらしくすることだけを心掛け、ほとんど子供たちが塗りましたが、家族によっては親の熱い手助けがありピカピカの仕上がりになっているところもあり、家族の個性がいかんなく発揮されました。そしてその様子を、ペンキを出しながら写真で記録してながら先生方がほっこりと見守ってくれていました。

 

晴れてはいたけれど風の強い日で、塗りたてペンキに落ち葉が飛んできたり、塗りたてのペンキが飛沫したりときゃいきゃいの場面が演出されました。ペンキの濡れていないところは防水性が弱くなって傷みやすいということで、絵の周りを白く塗ってから黒で縁取りするという技も教えてもらいました。裏表どちらも同じボリュームで塗らなければならず、乾かずににじんでしまったり失敗したり、午前いっぱい塗り続けて親子共集中力がギリギリでしたが、時間内に全員が塗り上げることができました。協力して楽しみながらの作業は強い力があるのですね。

 

塗りあがった板を形に切るのは次の週にPTA役員さんが集まって切って下さり、設置もほとんど行ってくれました。子供たちみんな自分の家の近くに思い入れの強いピカピカの安全坊やが来て、通学路が一気ににぎやかになりましたよ。ほんとどれも可愛らしくその子らしさが表れていて残しておきたいですが、治安上うちの子のだけ公開です。

スタンプのところは学校名のハンコ(保護者さんのサプライズ手作り)が押してありますの。

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飛び出しそうにない坊やもいて、本来の安全坊やの役割が果たせるのか疑問でしたが、設置後1週間、そばを通るのが愛おしくてうんとゆっくり運転になっております。町内の他の場所を車で通るときも温かく誇らしい気持ちになります。地域の方も早速気付いて声をかけて下さっています。広い地域に点在するアイテムなので、これからもたくさんの方に気付いてもらい、「小学校があること」を意識に浸透することになればなと思います。

 

だんだん新鮮味は薄れていくだろうし、数年すればまたぼろくなってしまって役目を終えるのでしょうが、その頃には子供たちはうんと大きくなっています。大切な今の時代を親子手作りの看板に見守ってもらいながら毎日通学できるとは、なんとも恵まれたことになりました。子供たちも頑張りましたが、支えてくれる大人たちのなんと強いことでしょう。

 

こちらへお越しの際は、是非目を留めて下さいね。もちろんもちろん安全運転で。