勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

糸掛け曼荼羅体験ワークショップをしてみたら

不器用でめんどくさがり屋のくせに手を動かして物を作ることがけっこう好きな身には、「糸掛け曼荼羅」という代物は大変ありがたい主題です。

初めてやってみたのは1年半程前で、それ以来何度か機会を持っておりますが、人々のおうち時間が増えたこともあり、糸掛け曼荼羅ブームはこの1年で急速に広がりを見せています。たくさんのたくさんの画像がWebでも出回っていて、うっとりすると同時に一体これはなんなのだろうという疑問が湧いてきます。基本的なことは日本糸掛け曼荼羅協会のHPに実直に記載されています。アートであり数学であり資格とするのにもふさわしい奥の深い世界であることがわかりやすく書かれているので、私がごちゃごちゃ言うより余程ためになりますね。

 

www.itomandala.com

 

画像検索でも本当にたくさん出てきますが、個人的に好きなのは木目が美しいこちらのギャラリー。いつまで公開されているかわかりませんが、イメージをふくらませるのにぴったりです。

morinotsuki.com

 

 基本的には板に釘を打って、法則に従って糸を順番にかけていって美しい模様を作ることを目的に作られた作品たちです。厚紙に切り込みを入れて作ったり、透明なアクリル板で作られることもありますし、板も化粧板やベニヤ板、板に和紙を貼ったりとバリエーション豊富ですが、とにもかくにも土台を整えての糸掛けです。細かく糸を重ねることと幾何学要素が合わさることで、驚くほどの美しい作品になります。円(とは限らないのですが、代表して円)を描いてぐるぐる回りながら作品を仕上げていくので、涅槃図の曼荼羅という言葉が使われるようになっているようです。なにやらエキゾチックな宗教めいた印象を与えておりますが、元々はシュタイナー教育の算数を発端としています。12の数を数えるのに、2ずつ、3ずつ、4ずつと3パターンの糸掛けを2年生でするそうですよ。

 

シュタイナー教育で生徒がこなす美しい課題に切ない憧れを抱いて止まない私なので、どうしても自分でも作りたくなりました。キットを買った方がうまくいくのですが、木材があり釘もあり糸もあったので、無謀にもやってみました。いびつさはあるものの、自分の手が生み出したことに驚きの喜びがあり、娘たちも気に入ってくれました。何度も作って、これはもっといろんな人と楽しみたいなと思って、亀成園でも体験メニューとしてできるようにしています。お粗末なものですが、有難いことに先日お申し込みがあり、10名程で楽しんでもらったので、改めて思ったことを残してみます。

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 体験としてやってみる糸掛け曼荼羅の魅力を挙げてみます。

・手を動かしだせば思ったよりスムーズにできる楽しさ

・糸が形に、模様になっていく面白さ

・色の選び方や色重ねによってくすぐられるおしゃれ心

・数字と静かに向き合うことで心が落ち着くこと

・「このきれいなものを自分が作ったんだ」という深い満足感

 

こんなところでしょうか。

作業中は手作業を疎かにしてはいけないので、普通の女子会(もちろん男子参加も歓迎です)よりもうんと静かです。全くしゃべるの厳禁というわけでもなく、教えてもらったり自画自賛、他画他賛(造語です)は構わないのですが、集中して糸掛けを進めていくのはそれだけで楽しいので、口を動かさなくても気にならないのです。

手助けをするのに距離が離れすぎていたらやりにくいことはありますが、大盛り上がりでしゃべらなくても皆満足できるところに何気なく大きな価値があるのではと思っております。

 

作業中はこんなかんじ。

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集中すること。素材と向き合うこと。満足すること。

目と手と頭をしっかりつなげてきれいなものを作ることは、いくつになっても人が喜びとすることです。

小さな子は難易度を下げてじっくりと。

器用な人、慣れた人は難易度を幾らでも上げて挑戦して。

細かいものが見えなくなってきたら太い糸で。

心に闇や課題があるときはそれを具現化して次に進むために、綺麗じゃなくてもいい。

 

糸掛け曼荼羅は絵が描けなくても作品になります。古人が着物を重ねてきたように色の組み合わせを考えることができます。滑らかな木材に触れ、柔らかな糸に触れ、ピンとして金属の力を借ります。この3つの素材がまた可能性に満ちていて好ましいのです。

 

子供の頃に糸掛け曼荼羅やストリングアート(釘を打って糸をかけて描く絵)に触れたら、何が琴線に響くのか、人によっていろいろ差がありそうなので、見てみたいですね。シュタイナー学校関係者の楽しみの一つではないでしょうか。

・ものすごく素数に興味を持つ子

・大作に挑戦したがる子、逆に小さな物を沢山作りたがる子

・ありとあらゆる色合いに興味を持つ子、逆に単色を貫く子

・釘打ちにばかり熱中する子

・作品の展示にものすごくこだわる子

・もしかして何も響かず投げ出す子

 

繰り返しますが私は不器用で絵を描くことにはコンプレックスもあるので、めちゃくちゃ精巧な作品に仕上げることにはそんなに熱がありません。浸食忘れるほど没頭するまでもいかないし、ものすごく質にこだわるわけでもありません。けれど素数は好きで、活かせることは嬉しいです。そして色の世界を楽しんでどんなかんじか言葉にすることが好きです。さらに板に釘を打つ時や糸を掛けるときの集中力は、快感になります。

 

人によって楽しみ方の幅がそれぞれで、門戸が広いのが糸掛け曼荼羅。いろんな人に試してもらって、体験者のニッチな喜びをもっと集めていきたいものです。

 

そして飯高町はあらゆる木材がそろうといっても言い過ぎではない程の林業の町。もっと興味を持つ人が出てきたら、是非美しい木を仕入れて、木材の違いを感じる作品作りもしてみたいです。桜の木板で春色曼荼羅、欅の明るい板で夏色曼荼羅、楓の赤茶色に秋色曼荼羅、そして黒っぽい板で真っ白な冬色曼荼羅、なんか整ったら素敵ですね。

 

可能性に満ちた曼荼羅体験を進めていくのに、どうぞお力添えて下さいな。

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 ミニサイズもできて、始めやすくなっています。

 楽天市場なら基本セットが便利です。

 

 

↓参考までに、一昨年の夏の過去記事です。その前にももう一本初めての糸掛曼荼羅がありますが、自作品が赤裸々過ぎるので、きれいなイメージを抱くのには娘作品で彩られたこちらを参考に。数の考え方は今とはちょっと異なっています。

kamenarien.hatenadiary.com