夕暮れにゲストハウスから灯りが漏れている様がとても好きです。少し前に到着されたお客様がすっかり寛いで、部屋で夕餉を囲みながら談笑される雰囲気が漏れ出ているのがとても好きです。
この時のお客様は次の日朝早くに登山を予定されているベテラン山ガールズでした。
亀成園をゲストハウスにしようと思って、お客様のイメージ像として浮かんだ大きな一つが登山者です。大台ケ原に代表される台高山脈は、関西の中でも大峰山脈に比べると知名度は低いものの、コアなファンが多い山々です。大台ケ原や高見山は有名で、登山口までの道もしっかりしておりますが、周りの山は中・上級者以外はなかなか足を踏み入れることも難しいので、それが却って上級者の心をくすぐるようです。険しい分、登り甲斐もあるし、水と緑豊かな山系は季節それぞれの見所にも恵まれています。
登山上級者はとにかく登山が目的なので、高級ホテルは要りません。車中泊や簡易小屋泊、また登山用の小さなテントでも構わないのですが、山に近くて安く泊まれるところは魅力的。登山口までのアプロ-チが早く、山情報を少し持っていて自由度の高い宿は、きっと登山者の気に入ると思いました。
冒頭のお客様はゲストハウス亀成園オープン以来、3度目のご利用となりました。
香肌イレブンマウンテンも含まれる、奥香肌の登山を頻繁に企画されている方が三重県にいて、その企画に参加する関西の山ガールズです。企画の集合場所は朝の5時くらいに登山口の手前だとか。松阪市内からでも1時間以上かかるのですが、亀成園からだとたったの5分です。道の駅などで車中泊される方もおられるようですが、亀成園を利用してくれているお客様は、身体をしっかり休めて山に臨まれるので、地元民としても少し安心です。
なにせ長時間の山歩きは体力勝負です。前夜にいかに体力を蓄えることができるかで、最大の目的である登山の満足度が大きく左右されてしまいます。初級の山に行かれる場合も、レベルを上げて登られる場合も、静かにぐっすり休める場所は確かに必要です。
ゲストハウス亀成園は畳二部屋を自由に使って頂ける古民家で、畳のサイズは大きめなので、多分イメージより広々しております。夜間は車も通らず家電の音もほとんどせず、カエルの声やフクロウの声が聞こえてくるくらいの静かな場所です。
※時々野生動物の出現で番犬が騒ぐこともあります。
そして朝は裏手から鶏の声が響き、夜明けに気持ちよく起きられる仕組みになっています。個人的に夜中に目が覚めてしまって真夜中に鶏が鳴くのにやれやれと思ったことはありますが、お客様が夜更かしして朝寝坊を楽しむ場合も、鶏の声が邪魔になった声はまだ聴いておりません。ゲストハウスと鶏小屋は高低差があり、鳴き声は上に響いていくので、邪魔をしない仕組みなのかもしれません。古民家と睡眠は思っている以上に相性がいいようです。
しっかり体力を蓄えられて、朝早くに元気に登って行かれる山ガールズ。
最近はソロキャンプやソロ登山も人気ですが、単独で登られるのは危険性が高まって心配になるので、地元民としてはおすすめできません。気のいい仲間数人で、気持ちよい体験を共有できたらいいですね。
子供たちを抱えていると今は専らファミリー登山になっておりますが、古民家で楽しそうに前泊されるベテラン山ガールズに接していると、どうにもうらやましくなりました。子育てがひと段落して足腰を鍛えなおしたら、是非山友達を見つけて泊りのお出かけがしたいものです。
「和室女子会+登山」
そんな企画をしてみたいですね。歳を重ねるのが楽しみです。
きっとその時は憧れの新しいアウトドア用調理グッズを持って、その時の自分に似合う新しいこぶりのザックで。