勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

風車病を引きずりつつ、事業について

 8月はもっと明るい話題を散りばめたいのに、もうほんと嫌になるくらい、話題は大規模風力発電問題ばかりです。出会う人出会う人ほとんどそのことばかり話しています。当初はまだ知っている人が極わずかでちょっとタブーの気配もありましたが、もう明らかになってきたのでだいぶ気は楽になりました。住民として歓迎する人はほぼおりません。有難い。けれど事業計画は会社と地権者の間で進められるので、住民がどう思おうが計画は進んでいます。何もしなければ山は売られて削られてぐちゃぐちゃになってしまうかもしれないのです。亀成園としては宿泊もあり、改めて飯高の自然環境を見直す夏でもあるのですが、懸念が多すぎて前向きな記事を書く力もなく。こればっかりで情けないけれど、今は立ち向かう時! 

 

 気が付けば8月に入ってから一体どれだけ風力発電計画大問題に労力を割かれている事でしょう。声を上げて意見を集め、内容を学び、成果を共有し、人の輪をつないで毎日が埋まっていきます。勉強会も開きます。幸い私の知る人たちはほとんどが直観的に「反対」なので共に頑張る仲間として動いていますが、動けない人たちの苦しさもあります。何が問題なのかよくわからない人も多いのです。だからもっと多くの外部意見がほしいです。

 下記ページが見られるのは8月30日の意見書提出期限までです。それまでに膨大な膨大な数の意見書を提出して、絶対に無視できない住民の声を四方八方から集めて計画の見直しを求める未来を描いての夏です。

www.miematsusaka-hachisu.rn-j.com

お客様を迎えつつも、まあかなり時間に融通の効くゲストハウスという仕事で、更に雨続きで農作業もなかなかというタイミングが重なりました。望む望まずに関わらず、もう風力発電にはだいぶ詳しくなりました。先日はうちから1時間少しの距離にある別のウィンドファームにも足を運び、現物に近付いてみることもしました。

 事業紹介ページでは「お伊勢参りに合わせて立ち寄ることもできます」とありますが、伊勢参りとエコパワー? まあいろんな人がおりますので。

cosmo.eco-power.co.jp

 

 ・風車による低周波被害が一体どんなものなのか。

 ・風車が実際に建っている場所はどうなっているのか。

 ・頑丈さ、かっこよさ、役に立つ感じなど利点が感じられるか。

 ・山頂までの道はどんな様子か。

 ・生き物の様子はどうか。

 

上記5点を実感することが目的でした。

実際の風力発電機は大きくて、なんだか危うげな建築物でした。回っているものと止まっているものが混在しており、どれだけ信頼できる電力システムなのかしら。低周波については気のせい説もあるかと疑問でしたが、私も随分素直な性格なので、すぐに風車病の症状が出て(頭痛、めまい、吐き気)しまいました。2日ほど気持ち悪さが続いたことは科学的ではないのですが、同じ集落で暮らすのは怖い気がしました。

 

 遠目には山の風景と共存しているように見えなくもないのですが

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 近付くと、もうここは森林には戻らなくなってしまったことがわかります。

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 一基建てるには小学校のグラウンド一個分くらいの敷地がいるそうです。地下はさらにコンクリートでガチガチです。更地にして固めて、もう草も生えなくなってますね。

 実際どれくらいの速度で回っているのか。結構メンテナンスが必要そうだけれど、費用の算段はあるのか。工事用に付けられた道は今にも壊れそうな箇所もチラチラしていたけれど、倒壊や老朽化で修理や撤去が必要になった時に工事費が上乗せされて工事が行われないなんてことにならないだろうか。実物を見ているといろんなことが頭に浮かんできます。

 

 生き物はまるでいないのかと懸念していましたが、ツバメは飛んでいましたし、小鳥の声も聴こえました。獣の足跡はその日は見つけられずでしたが、鹿はいるのかもしれません。木が枯れていることもなかったです。なので生態系の影響ばかりを訴えても「問題ありません」と回答されることは想像がつきました。

 

 やはり現場では考えていた以上のことがリアルに想像できます。そして私たちが見てきた風力発電機は、現在香肌峡で計画されているものの半分程度に過ぎないのです。

 

 今度の計画での発電機は一基の高さ189m、回る羽の直径は120mから150mとか。

 それが25基どころか60基の計画は日本でも最大級です。しかも会社の事業実績に未だ風力発電はありません。まことしやかに再生可能エネルギー事業を掲げていますが、太陽光パネルが行き詰って風力発電計画をあげるものの、成功事例も出せずという実績です。それでも大風呂敷を広げた事業が動いているのは、お金の流れがあるからなのでしょう。そのビジョンが確かなものなのか、将来性はあるのかが肝になりそうです。なんとか穏便に退いてもらえるかのね。

 

 結局どこもそうなのですが、今回この飯高町に目を付けた業者が考えている電力計画は、電気のための計画ではありません。再生可能エネルギーに投資することで、企業イメージを高めたい企業についての投資商品として考えているだけです。なんて薄っぺらい「持続可能」であり「地球環境」なのでしょう。こんなページのPV数に貢献するのも気分良くないですが、相手が何を考えているのかは頭で理解しておく必要があります。なのでなめるように見ました。

 事業ごとに新たに安く合同会社を作って、電力事業もグループ会社です。既存の電力会社からの乗り換えを事業にしており、さてその電力は本当に再生可能エネルギーによる電力なのか確かめる術もありません。イメージ発言は悪い癖なのですが、地球環境のためにCO2をO2に変える森林を破壊するのはおかしな話ではと今どき小学生でも気付きそうなものですが、はてさて。

 過疎地域で所有者が高齢化または不在地主になってしまい、管理しきれなくなった土地を利用して、「未来のためのクリーンエネルギー」を遠く離れた街の人が使うという図は同じです。それがソーラーパネルとして耕作放棄地で景観を乱すことになるのか、山を削って地形や水系を乱すことになるのか。雲泥の違いですが、どちらも田舎の近隣住民にとってはモヤモヤする話です。勿論得する人もいるのですが、何年得が続くやら。いかに事業が自然を傷つけそこで暮らす人を傷つけているのか、机上でしか物事を考えていない人は想像もしません。見えている世界があまりに違うのでそこに文句を放ってはいけないのかもしれません。太陽光パネルのみっともなさも街暮らしでは気付かないこともありますね。建てた後にメンテナンスをどれだけできるのか、信頼できるのか。だって土地は生きていますから。

miraiden.jp

 

 人が生きていくのにも他の生命が生きていくのにもエネルギーが要ります。水も光も食べるものも他にも。人だって電力だけで生きられるわけではありません。電力のためを謳って、しかも電力は曖昧のまま、水系を壊し森林を破壊する残酷な事業。果たしてこれは何のためなのか。ものすごくきな臭い話になるのは望むところではありませんが、国家事業のうさん臭さが見えてきそうで怖いです。

 

 私は飯高の森林と共に生きていきます。でも風車があったらそれは叶いません。風車病になることはもうわかりましたので。最終手段は逃げることですが、その前にできることがたくさんたくさん。力を合わせること。話を聞くこと。たとえ国家が相手だとしても、そこに生きる人々の力はそんなに小さくはないのですから。