勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

生きているだけで価値がある

山を守るためにイヌワシを探したいという想いを抱いて数か月。

インスタでハッシュタグ イヌワシをフォローしたのが今月に入ってから。

こうすると毎日イヌワシ画像が見られるようになりました。

そしてイヌワシ保護協会のホームページを熟読したのが今日のこと。

タイムラグはあるものの、確実にイヌワシに近付いています。もしかしてこれが推しに対する想いなのか、といらぬ思考に邪魔されながらも。

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会長さんの想いや理事の方々の経歴などにも大変興味深く惹かれました。

まだ本物は見たことがないし、野鳥の会も初心者のままだけど、入会して実際にお会いしたくなりました。イヌワシはもちろんそこに強い思いを抱き活動する人々にも。

 

どのページも熱かったし、貴重な写真がたくさんですが、特にぐっときたのはブリーディングのコーナーです。

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日々鶏の卵を採卵して販売している身には、一年間で卵を一つないし二つというイヌワシの卵の貴重さには驚きました。それも秋からのエサ不足で繁殖できない年も多いのだと。イヌワシは広いテリトリーを持つ鳥の王者なだけにペアを見つけるのも大変です。奇跡の出会いとはこのことかというくらいの確率でしょう。そしてつがいになったとしても、二羽とものイヌワシが充分狩をし餌を確保し、更に自然繁殖して子育てができる環境がなければいけないのです。ゴールイン後のシビアな世界。

 

森林の開けたところで狩をするイヌワシにとって、密な山は向きません。日当たりがよく、野ウサギの多い山がベストです。でも最近は野ウサギを主食にしているイヌワシは激減していて、主な食料はアオダイショウだとか。HPに詳しかったです。

 

食物連鎖の上にいる生き物は、確かに獰猛なために野蛮なイメージを持たれることも多いです。けれども実は彼らのおかげで食物連鎖全体のバランスが保たれているのだし、強いようでいて環境の変化に適応しにくいのも王者のほうなのです。

 

私は昔からわかりやすく強い生き物が大好きで、哺乳類ならトラとか熊とかオオカミ、海獣なら圧倒的にオルカ、鳥ならワシタカにフクロウ、昆虫ならカマキリと決まっていました。魚類のサメや爬虫類のワニは目が怖いからビビりますが、存在は好きです。両生類の頂点は何か詳しくないですが、オオサンショウウオはなんだか大好きです。

 

自分がそんなに強くもないのに(しぶといことは知っています)なぜこんな強い生き物ばかりに惹かれるのか疑問もありましたが、最近やっと腑に落ちました。強い生き物がいるから生態系ピラミッドが成りたつからです。生き物まるごと愛するには、王者が超重要なのです。だから素直に、王者推しになるのです。

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王者たちは手あたり次第捕食しているわけではありません。オオカミなど遊び狩をすることもありますし、オルカも食い散らかすことが知られていますが、それはまた他の小さな捕食者に回っていきます。熊など狩ができない時期が続くとやせ細ってなんとも可哀そうな姿になります。生きていくために捕食する。それがバランスをとることです。

 

だから、王者たちはもう、生きているだけで素晴らしい。それをストンと理解したら涙が出ました。

 

本当はどの生き物もそうですし、私だってそうなのですが、まだ自己肯定感アップトレーニングの途中なので、なかなか実感することができません。実感したら新しいものが見えそうですが、もう少し時間がかかります。だから王者の姿を見て、想像して思うのです。「あなたは生きているだけで素晴らしい。堂々と生きていてください。あなた、そしてご先祖たち、ご子々孫々たちが過ごすこの世界が素晴らしい。同じ世界に生きていてくれてありがとう」と。

 

高貴なものの存在に対して思う気持ちを、まだ見ぬイヌワシさんたちに対して抱いています。あの山のどこかに居てくれたらもうそれだけで、ただただありがたいです。山そのものが神の領域である感覚をおぼえるようになりました。知ってはいましたが、もっとずっしりと。

 

私は元々鳥の中ではシマフクロウが一番好きでした。北海道にいる、ミミズクじゃないのに耳を持つ大きなフクロウは、アイヌでは神様の存在の中でもなかなかの役割を担っていました。

 

北海道も風力発電の開発により、シマフクロウバードストライクがあるそうです。引き裂かれそうな絶望で身体が震えてきます。なんなんだろな、開発って。本当に今の人類のためになっているのかな。まあそんな神を犯すようなことは歴史上繰り返されてきて、それでも人類はしぶとく生き延びているのだから、開発や発展が即悪というわけでもないだろうし、あまり自分たちを否定するのもよろしくないのですが、猛禽類バードストライクだけは、私にとっては動揺を止められない案件なことをより深く実感しています。

 

ただ生きていて欲しい。

未来を生き延びてほしい。

尊い存在として、高く上空を羽ばたいてほしい。

 

そんな存在に実際に会えたとき、私もやっと「生きているだけで価値がある」って心から思える希望があるのです。支配されるというより、守られている感覚を生き物の王者たちに抱くことで、私も頑張ろう、生き物たちと生き物たちの暮らす環境を守っていこうと思います。守るというよりももういかに未来につなげていくかですね。私のできることは言語化してピーチクさえずることばかりだとしても、自分に価値を感じられるかな。推しのためにできることは、なんだってやりたい!猛禽類に恋をして、考え方がすっかり若々しくなりました。重い腰を上げて、少しでも山の高いところに近づいていかなくちゃね。

 

 

イヌワシ関連でかっこいい画像が気に入っている過去記事はこちら。イヌワシじゃない話も長いけど、イヌワシへの想いを募らせ中です。

kamenarien.hatenadiary.com