勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

タンチョウの舞

野鳥の会に入会して確か一年半。ちょうど活動自粛の時期とかぶってしまったので、美しい写真が濃縮された会報も減らされる一方だし、探鳥会という野鳥好きが季節の観察ポイントに集まって望遠鏡を覗いてきゃぁきゃぁ楽しむ会も中止ばかりで1度しか参加できておりません。それでも会員になっているという自覚だけは育ててきました。そして意識を野鳥に向けていると、日々の散歩で野鳥に出会う確率は5倍くらいに上がっているのです。明らかに増えたよな、と思うけれど多分意識の使い方によってそう感じるのですね。元々居てくれたので、こんな生活環境がとても有難いです。

 

野鳥の会に入っていると、野鳥保護活動の情報なんかがよく届きます。ビジネスで成功したらどかんと寄附することを決めていますが、それはまだ先の話です。鳥を守るための活動費を支援する人になるためにもまずは「知ること」かなと気になったキーワードにはアンテナを貼っています。あまりキーワードを増やすと頭がぐちゃぐちゃになって何もできなくなるから注意が必要ですが、少しずつでも人生の中に野鳥の重要性が増えていくのが今はとても楽しいです。

 

基本的に好きな鳥は身近で出会える種類の他は、圧倒的に猛禽類ですが、タンチョウ保護活動のライブ配信があるというので、オンライン参加してみました。釧路からの配信で、視聴者がコメント欄で質問も送れるという、まあこのオンライン社会では当たり前かもしれませんが、野鳥の会ほぼ初心者としてはドキドキのライブ体験でした。

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タンチョウは古来よりアジアに生息する鶴の仲間で、頭頂部が仁丹色なのが特徴です。丹頂鶴とは言わずに「タンチョウ」が正式名称です。餌場を設けてトウモロコシを給餌する保護活動の効果があって、ネイチャーセンター設立時は300羽程だった個体数が、今では1900羽にも増えたそうです。

 

家畜ではなく野鳥なので、給餌して増やすだけでは生態系のバランスを崩しそうで心配もありますが、絶滅の恐れもあった貴重な生き物をここまで保護できたことは、日本野鳥の会としても大きな取り組みで、冬に見られるタンチョウの求愛ダンスを見に全国から訪れる人も多く、活動を続けることが地域活性にもなっているので、なんだかいろいろと興味深いです。随分前ですが、私の母も冬の釧路を訪れてタンチョウを見たそうで、しばらく興奮が続いていました。大きな鳥が目の前でダンスを披露してくれるという体験に心動かされる人はたくさんいて、感動が連鎖していくのは幸せですね。

 

ライブ配信はまだアーカイブに上がっていませんでしたが、2分弱の短いまとめ動画がありました。近頃ここでも雪がチラチラして例年より寒さが続き、へこたれそうですが、北海道の湿原で活き活きと動く鳥たちの姿を見ると、ああ、へこたれていられないって勇気もらいます。


www.youtube.com

 

昼間はネイチャーセンターでエサの時間を待ったり、ダンスをしたりするタンチョウですが、夜間は近くの凍っていない川の中で寝るのだとか。聞くだけで冷えてきますが、水の流れる川の中の方が凍った湿原より暖かいのですって。まあ確かにマイナスではないですが。川に移動するために夕日を浴びて大きな三角形を描きながら飛ぶ姿や、朝霧の中から飛び立つ姿がカメラマンには人気だとか。そういえばそんな写真にも見覚えがありました。

 

ライブ配信では実際の様子の他、一日の様子や保護活動全般についてのレクチャーもあり、すっかり詳しくなれましたよ。私が質問した「求愛ダンスは練習してだんだん上手になるものなのですか?」に対する回答がとても面白かったのでご紹介します。なぜこの質問をしたのかと言えば、亀成園の鶏にしろ、近くのウグイスにせよ、鳴き声が若い個体と成鳥では随分差があるからなのです。ぎこちない感じで鳴き始め、声もなかなか伸びないのがしばらくするとだんだん上手に一丁前になってくることに毎年関心しています。だからタンチョウダンスも初めはぎこちないのがだんだん見事な演舞を披露するようになるのかなと思ったのです。

若いときから成長の変化は報告がないそうですが、ある学者さんが書かれた論文の一つによると、タンチョウは決まったつがいを作る種類の鳥なのですが、熟年カップルになるとダンスが雑になるというのがあるそうです。なんと! つまり新婚ダンスは情熱的で時間をかけて愛を確かめ合うのに対し、老夫婦は適当に短く踊ってそれでヨシと。美しい鶴のイメージが強いタンチョウが、もう一気に身近になりますね。面白い話が聞けてめちゃくちゃ得した気分です。他の生き物を学びながら、ふとしたエピソードでくすりと笑って親しみを増すというあまり高尚ではないような学び方が私は好きです。

 

真面目な保護活動の話はこちら。

www.wbsj.org

タンチョウといい、シマフクロウといい、やはり北海道の鳥は魅力的です。北海道は高校の修学旅行と大学時代のサイクリングで結構思い入れの深い地ですが、冬はまだ訪れたことがありません。親しみ深めた生き物たちに堂々と会いに行くために、しっかり稼いで、寒さにも強くならなくちゃいけませんね。