勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

昔とった杵柄のおかげで

 中学生と一緒に地域の音楽サークルの一員として、学校祭で発表するのも3年目になりました。前年度まではピアノが1人、ドラムが1人、トランペットが1人いて、金管楽器があともう1人、残りは木琴鉄琴やダンス担当だったので、私も金管アンサンブルのトランペット低音として入っていました。

 今年はガラッと変わって生徒全員が金管楽器を吹くことになりました。経験者は1人だけで6人は初心者だったのですが、春から少しずつ練習してどんどん上達していく過程に立ち会うというまたしても得難い体験をさせてもらいましたよ。7人のうち3人がトランペット、あとはホルン、トロンボーンユーフォニアムにチューバが1人ずつという、立派な編成です。よく半年で高いファまで出るわ(トランペット)と妬ましくもなりますが、むしろ賞賛ですね。小さな頃から知っている子の急成長なんて、ご褒美でしかないです。1年生の子たちも最初は全然音が出なかったり、また音が合わなかったり、リズムが取れなかったり、どうなることかと気を揉みましたが、勝手に壁を破っていってくれました。

 ちなみにこの中に長女が居るのですが、小学生の頃はトランペットを細々習っており、昨年度はユーフォニアムに志願し、今年はチューバに転向というどんどんどっしり感を高めている音楽史を持っています。彼女も友達がトランペット高音をさらっと出すのに微妙に複雑な感情を待ちつつも、部全体の音楽レベルが上がっていってそれを低音で支える使命感がたまらなかったらしく、いつも部の進展を嬉々として報告してくれました。ピアノも独学で弾いて伴奏もしているし、音楽、好きなんですね。

絵もスポーツも縁なしだけど、音楽は好き

 ところで地域の金管アンサンブルの構成はトランペット3人にホルン、トロンボーンユーフォニアムが1人ずつです。中学生と地域バンドをそのまま合わせると、トランペット6人、ホルン・トロンボーンユーフォニアムが2人ずつにチューバが1人という編成になります。トランペットは楽譜が3つあるのもあり(1番が高音が多く、2番が1番とハモったり違うメロディーがあったり、3番はハモったりリズム支える感じで、2種類の時もあります)、1〜3を2人ずつでもよかったかもしれませんが、長女にお願いされたのです。

「お母さん、打楽器やってほしいな」と。

 

 そう、今じゃ何年も伸び悩みながらトランペット吹いておりますが、中高生の時はずっとずっと打楽器に夢中だった私です。それも伸び悩みがありましたが、社会人になっても続けようという気でいつも練習していました。打楽器の個人練習はとても地味でひたすらメトロノームに合わせての基礎練や音合わせに時間をかけてひたすらリズムを整えて、合奏で合わせる心地よさを楽しみにずっとタカタカドンドンしながら過ごしていたのです。タカタカドンドンシャーンシャーン。太鼓の仲間、鍵盤の仲間、小物類などどれも扱えるようになってきたのはそれなりの音楽史です。

 とはいえ挫折感が残っていたので、改めてドラムに触るのはちょっと勇気が必要でした。一応できる、でもめちゃくちゃできるわけじゃない。要するに自信がなかったのです。けれど何度か中学校に足を運ぶうちに、1つの曲では1年生の生徒がドラム担当となり、アドバイスしているうちに、ウズウズしてきました。やっぱり叩きたくなりました。身体の奥で火がついたことを感じました。

 

 4曲のうち、2曲がドラムで2曲は鉄琴で参加することになると決定したのはわりとギリギリでした。全体のバランスを補う動きをしようと待ち構えていたもので、様子見に時間がかかってしまいました。そして10月はなかなか練習に参加できなかったです。だから1曲はどうしても心残りはあります。もっともっとカッコよく全体を支えることができたのに、迷いがあって拭いきれなかった。あー、思い出すととっても悔しいです。精一杯やったからよかったとはちっとも思えません。むむむ〜。でも他の曲はめっちゃくちゃ楽しく気持ち良かったです。

 

 中学校での演奏なので、本番では知っている顔がいっぱいです。生徒を前面に出して地域バンドメンバー(6人中保護者3人)は後ろに引っ込む形なので、誰も注目してはいないだろうとは願いながらも緊張するのが常です。共演なのであんまりお粗末なこともできませんし、心地よい緊張感ですね。毎月のように本番があった時代もあるので、本番は好きです。あっという間の半時間、しっかり楽しむことができました。一緒に演奏した仲間たちも生徒たちのレベルアップのおかげで予想以上に楽しんでいました。居合わせて聴いてくれていた方々も楽しんでいてくれたのならなにより嬉しいです。

 

 昔取った杵柄のおかげで、またかけがえの無いない体験が増えました。地域の音楽愛好家というだけでは財産形成には至りませんが、自分たちが中学校に関わることで、生徒や地域の人のちょっとした刺激となり、楽しさが連鎖していくなら、一芸は身に付けておいて悪くないスキルです。小さな学校で吹奏楽部でもないのになかなかすごいことができたのです。音楽に関わり続けていく子も現れたら、もっと喜びはつながりますし、そうでなくても生徒たちが自分を認める一つとして胸に持っていてくれたいいなぁと、今年の秋を噛みしめています。