勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

Z世代を理解する話

 10月半ばのことなので、時間が空いてしまいましたが、松阪商工会議所主催のセミナーで「Z世代」という言葉を見かけて、講師の方が会いに行っておこうと思う方だったので、参加してきました。

ビジネスセミナー(Z世代の顧客獲得編)のご案内(主催:松阪市産業支援センター) | 松阪商工会議所

世情に疎く、ユーキャンの流行語大賞もチェックできていない私としてはZ世代って何?ドラゴンボールZのこと?と思ったことを先に告白しておきます。ジャンプ黄金期を謳歌していた世代ですのでね。

 改めて「Z世代とは」で検索したら、まあそれはそれはいろんな記事が上がってきます。いくつか目を通しましたが、今のところ確かにわかりやすかったのはこちらかな。

souken.shikigaku.jp

曰く、Z世代とは90年代後半から2012年くらいに生まれた世代で、デジタルネイティブ。それもスマホネイティブが特徴で、日本では人口として少ないけれど(10%程度)世界では実に25%がこの世代にあたるために注目されているとのこと。

 

ふーん、うちの子たちもデジタルネイティブなのね。そうでもないけど例外もいるのが多様性のZ世代っぽくて良いかもです。世界の4分の1がもうデジタルネイティブで、古い価値観とはガラッと違った考え方で動いていると思うと、個人的にはすごく面白いなぁと感じます。それはきっと子供たちや亀成園を通して若者たちとの接点が少しはあり、楽しんでいるからですね。

未来を作る彼らをわかりたいね

 スマホの普及によりとにかく圧倒的な情報量があり、メディアとの接点が個々バラバラである彼らには、古い価値観の押し付けは無意味です。X世代ならみんなが同じ時間に同じテレビ番組を見て、同じ歌や漫画にハマって、世代共通語を持っているのが当たり前でした。私はX世代寄りのY世代に入るようですが、時代の象徴みたいなのはまあ引きずってますね。封建主義は捨て去っていますが、会社に入った頃は新人としての役割もありましたし、飲み会を盛り上げるとか元気よく挨拶をしてさりげなく上司や先輩をヨイショすることに抵抗もありません。そうやって潤滑油があると便利だなとわかっているからなのですが、慣習に理由がないと引き継がれていくことはもうないです。

 

 セミナーを通して学んだ、Z世代が共通してなんとなく感じていることとしては

・理由無いことなんてやる意味ないじゃん。特に仕事場で。

・相談する相手は目の前の人じゃなくていいわ。検索すりゃいいし。

・決まった価値観押し付けられると萎える~

・選択肢はあるし、固執しなくていいよな。

・上世代の手柄話とか過去の話とか興味ないわぁ

 

とこんなようなこと。わぁ、確かにです。固い言葉を使えば「同調圧力拒否」とか「社畜徹底拒否」となって、それめちゃくちゃわかるし良い時代になったなぁと心から頷くのですが、もし自分が上司だったとして知らずに押し付けてしまうことがないとは、絶対言い切れずに知らなきゃ悩みまくるだろうなと思うので、話を聞いておいて本当に助かりました。

 現在亀成園は園主と私のみで回す小さな自営業です。地域で関わる人も同世代からむしろもっと上が多いですし、田舎なこともあって古い価値観で充分やっていけるのですが、子どもたちのこともあり、またゲストに若い世代がだんだん増えてきたこともあり、私は彼らに失礼なことをしちゃいたくないのです。数ある情報の中からわざわざ亀成園を発見して訪ねて来てくれ、話をしてくれる若い人たちに、居心地のいい場所であれと願っています。元々ゲストハウスを開くときから「世界中の若者が安心して過ごせる場所」というコンセプトがありました。外国からの旅人や、日本に参加して応援してくれる人々にも、失礼のない人でいたいです。異文化の違いはわりと学んできていますが、世代の違いはまだ勉強できていなかったです。今腹落ちさせておくことで、これから出会う人たちのためになったらなぁと望みがふくらみました。

 

 みながスマホネイティブだと言っても、「各アプリが宇宙のようなもの」と講師の方が伝えてくれました。昔はテレビのチャンネルも少なくて、大阪では皆が6チャンネルでアニメを観て、8チャンネルでバラエティを観て、CMソングをパロディ化するのは当たり前というくらいメディアは平面的でした。月刊誌(コロコロやリボン)や週刊誌(ジャンプやマガジン)もクラスで回し読みされたりいち早く手に入れるのがステイタスだったり、とにかく皆が同じ情報を欲しがっていました。ルーズソックスで細眉でした。それが今はテレビで共通の話題があるわけでなく、YouTubeを観ていてもそれぞれジャンルがあり偏りがあり、インスタやっていれば深くつながっているというわけでもなく、ライングループも一時期ほど当たり前でもなくなり、この世代はこれっていうツールなんてありません。同じアプリでも観ている情報、得ている情報は違って当たり前で、確かにそうなんですがすんなり理解するのは抵抗がありますね。同世代で集まって盛り上がる鉄板ネタがないの?みんながポカリスエットCMの真似してたわけではないの?どこから切り崩せばいいの?と思うと五里霧中です。

 けれど情報が圧倒的に多い中で、自分なりに選択してコミュニティを作ったり世界とつながったりすることが当たり前な若者たちは、ある意味とても素直なのです。

 昆虫に興味を持ったら昆虫の情報ばかり集めて昆虫好きな友達だけでいいし、ダンスが好きならいくらでも動画で学べるしコミュニティもあるし、ダンス漬けでいられます。音楽の伸びが早いというのも、インプットできる情報が多いことと大いに関係があります。スマホネイティブだから推し活もできるわけだし、好きなもので自分の周りを武装しておけば、失礼な他人に必要以上に関わらずに済みますよね。

 

 消費行動がモノからコトに変わっているというのもよく言われることです。何を持っているかではもう満足せず飽和しているので、どんなコトをしたかの体験重視だとか。お、なんだか得意分野に近付いているかもしれません。多様な個性が当たり前に存在するのが前提になると、みんなが同じことをして、同じものを求めていては何にも突破できません。ニッチに!マニアックに!行動するかどうかも人それぞれですが、本気の大人に会いたい若者もいるのです。

 ということを聞いて、学びになったと共に安心もしたセミナーでした。楽しそうにしてくれる若者たちの表情に嘘はないんだな。選ばれ続けるかは自分次第だけど、これからも失礼のないことには気を付けながら、自分の好きなことを追求していけば、面白い若者たちに出会えて、学ばせてもらえて、与え合う事もできるだろうと、楽しい未来が透けて見えました。

 

 Z世代には入らないやや古びた若者かもしれませんが、セミナー前日にたくさんの大学の後輩たちと会う機会がありました。後輩だけでなく先輩も大先輩も集まる大きな記念イベントでめまぐるしかったものですが、その中でけっこうびっくりするくらいの数の、亀成園に訪れてくれたことがある後輩たちがいて、楽しく挨拶をすることができたのです。営業精神を忘れない私は記念誌にゲストハウス亀成園のPR記事を載せ、ロゴマークの入ったサコッシュ(ポーチみたいなもの)を首から下げていたら、亀成園に反応してくれる子もいて、ありがたいつながりを感じたのです。自転車部のOGとしてはもうろくに自転車に乗っていないので大きな顔はできない身の上ですが、生き方・暮らし方、場所作りとして、縁がつながって後輩たちに知られる土俵に乗れているのはとてもありがたいことです。一週間して、その後輩たちの数人が稲刈りの手伝いにも来てくれました。初めての子もリピートも居て、とても楽しく過ごした経験もまた貴重です。彼らが亀成園を訪れてくれるのは、先輩からの圧力に逆らえないためではなくて(どんな鬼先輩だ)、自分の興味と合致するからです。世界のどこにだって自転車と仲間と一緒に旅することが容易な子たちがわざわざここに来てくれるのは、ここで得たい体験があるからなのでしょう。私は堂々と迎えて、居心地よさをさりげなく整えていたらいい。

 縁がいつまで続くのかはわかりません。つながっていても途切れてもどちらでもいい。でも個性的を地でいく私が信念もってチャレンジし続けて作っている場所なので、Z世代の誰かには必ず届き、連鎖していく。そんなことを深く感じました。

 

 今日が30代最後の日になります。30代もまたとても楽しく活発に過ごしてきました。子育てステージを駆け抜けて田舎暮らしステージ、地域活性化ステージを全力投球で。明日から40代にステージアップし、人生の秋に入っていくのかな。実り豊かである予感がしています。40代なんて100歳時代の中ではめちゃくちゃ若手ですが、20~30ずつ上とも下とも交流が同じくらいできる貴重な時期です。それだけでは今がそのまんまなので、もっと大きな豊かさが待っているでしょう。出会ってきた人、これから出会う人みなに心から感謝して、これからの夢に突進していきたです。