勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

きみがしらないひみつの三人

少し前の話です。

芸術の秋の終わり頃、小学生の子たちが隣の小学校と一緒に芸術鑑賞をする日がありました。何を観て来たのか帰ってから聞いてびっくり!

『きみがしらないひみつの三人』の劇だったというのです。

本選びのセミプロ(完全なるセルフイメージです)である私にとって絵本の中で10本の指には入るめちゃくちゃ好きな話が劇になっているなんて。そしてそれをうちの子たちが観る機会があるだなんて。なんだかじんとしました。

この演目だと知っていれば、うちにある本を持たせてサインしてもらったのに、惜しいことをしちゃいましたね。

『きみがしらないひみつの三人』はドイツの人気絵本作家、ヘルメ・ハイネによる創作の話なのですが、もしかしてこれは真実の伝承なのかという不思議な説得力があって、ずっと心の中に持っておき、伝えていきたい話です。

 

登場人物は秘密の三人と「きみ」です。

「きみ」が生まれた時にやって来て、身体の中に住みついたひみつの3人は、あたまはかせ、ハートおばさん、いぶくろおじさん

この名付けもいいですね。

脳を整理する担当、気持ちを整えてくれる担当、健康管理の担当

この頼もしい三人が「きみ」の味方として、どんな「きみ」にも三人がいて、生まれたときから一緒です。

生まれたときからずっとずっと、大きくなっていくときも、人生のどんな時も、そして最後までその後までも。この辺りの表現はぜひ実作を読んで欲しいです。

成長を一番近くで支えてくれるけれど、三人のバランスが偏る時もあって、万能ではなく「きみ」によって違うところも面白いです。

 あたま博士は勉強したことや考えたことを整理整頓してくれますが、時々整理するカードを間違えることもあって、そんな時に「きみ」は悪い夢にうなされることがあります。ハートおばさんは悲しみを柔らげてくれたり恋する気持ちを応援してくれたり。お母さんのようだけど、お母さんよりもっと「きみ」だけに寄り添ってくれるとびきりの世話焼き役です。食べ物を栄養に変えるのはいぶくろおじさんの仕事です。処理能力が追いつかなくて寝込んじゃうと「きみ」は病気になるのでめちゃくちゃ身近な存在だけど、ひみつだからなかなかわかりませんね。ひみつのこんな三人が居てくれる。「きみ」にも私にも子どもたち一人ひとりにも。みんなに居るけどそれぞれの三人で。そんな想像は頭にも心にも胃腸にもなんだか温かくて心地よいです。

 

 私の中のひみつの三人は今はかなりいいバランスで居てくれていそうですが、あたまはかせばかりが威張っている時もあったろうし、ハートおばさんが他の二人を押しのけて私を応援してくれているときもあったろうし、いぶくろおじさんが大きくなりすぎているときもあったでしょう。ま、秘密ですけどね。

 

 こんな大好きな大切なお話を劇にしてくれたのは劇団うりんこさんですよ。演目になにやら好きな話が多くてそわそわしてしまいます。東海地方の学校などを巡演してくれているのですね。

上演レパートリートップ

 

『きみがしらないひみつの三人』の詳細ページは下記からです。

このページの下の方にある子どもたちの感想はぜひ一読してみてほしいです。

もちろん大人目線でも、自分も自分の子も守られて祝福された存在なんだってことをこんなイメージで知ることができるのは素敵なこと。

www.urinko.jp

 子どもたちが楽しい劇を観る機会があって本当にありがたいです。何年も続く新型コロ助騒動で劇団さんなども数え切れない苦境があったのだろうと今更ながら感じ入りながら、またオフラインの実演で届けてくれる機会があることに心から感謝します。

 芸術鑑賞もですし、この日は隣の学校と合同だったので、子どもたちはそれぞれ普段は会わない香肌小学校児童とは違った友達もいて、お互いのいい刺激になったようです。

 児童のいつものコミュニティは把握できるくらいの小さなものである方が負担がなくていいのですが、接する人は老若男女バラエティ豊かなほうが学童期の発達には望ましくて(エリクソンだったかな)、いつもと違う友達の存在というのもありがたいのです。お稽古事で会うとか親戚の子とか親同士が友達の子とか、思い返せばあちこちに日常とは異なる人の姿があって、案外そういう存在が日常のバランスをとってくれているのだなと今だから気付くこともあります。私の子どもたちは普段は超小規模校と家族の中でそれぞれが大きな存在として育っていますが、時々隣の学校との交流で少しだけ大きな母数のひとりになったり、家業のゲストハウスで全く見知らぬ人と一期一会の出会いをしてみたり、普段は会わない親戚のお下がり服を愛用していたりといった、よくわからないけど網目のように張り巡らされている優しい世界を生きているのがいいなぁと感じています。

 大切な子供たち、そして自分のそばにいるのは、いつも意識できている人たちばかりというわけでもなくて、案外離れている人たちだったり、又は小さなひみつの三人だったりするのかもしれません。そんな想像や妄想が私や子供たちの人生をほわっとさせてくれるなら、ぜひ活用したいものです。

 

芸術鑑賞は動きが少なくなって、血流滞りがちなので、対策どうぞ。最後は無駄にアフィリエイトでした。