勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

香肌峡ってどこ?

お題「わたしの仕事場」

 

亀成園HPのブログ転載です。

亀成園は三重県松阪市飯高町にあります。自然が多くて川のそばで暮らしていることをなにより気に入っているので、「松阪」より「飯高町」より「香肌峡」という地名を使うことが多いです。飯高町だけでなくお隣の飯南町も合わせた地域を香肌峡というので、見所が増えて私にはとても親しみのある地名です。小学校も香肌というのも大きいです。景勝地としての「香肌峡」の認知度をもっと上げたいなと日々考えておりますが、先日この地域を車で訪れていた方から聞かれました。

 
香肌峡ってどこですか?
 
暮らす人にとっては川を中心としたふるさとの風景全てが香肌峡で、山に囲まれて木々が多く、四季折々の変化を見せてくれるこの広い地域が香肌峡として価値あるところなのですが、訪れた方にとっては証拠を残しにくいということは先に気付いていなければならなかったかもしれません。
 
看板とかないんですか?
 
国道沿いには「ようこそ香肌峡へ」という看板が付けられましたが、さて一体どこが、となると誰も答えることはできません。確かに〇〇展望台とかシンボルの場所があり、そこに寛ぐ場所があり物品販売などがあればもっと人を呼び込みやすくなるのでしょう。けれど観光スポットを点として便利にするにはこの広く美しい地域はもったいないというのが正直な思いです。点ではなく面で、さらに空間、さらに言えば人とのつきあいを楽しんでほしい。自称香肌峡発信隊はそう考えています。
 

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この写真は蓮ダムの展望台から亀成園方面を見下ろしたところですが、ここも香肌峡。ここは櫛田川ではなく蓮川になります。

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お散歩コースのここも香肌峡。唐谷川という支流で、川遊び初心者には特におすすめの場所です。四季を通じて木々の変化が美しいので、お散歩コースにも自信をもってご案内できるところです。

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こちらは櫛田川上流で、ここもやっぱり香肌峡。
 
そして川だけでなく、川沿いのこのあたりの地域はずっと香肌峡なので、川がなくても美しい場所はみんな香肌峡として紹介されます。
 
観光三重のサイトでも香肌峡が紹介されていますが、こちらも写真の場所はバラバラです。道であり景観であり広い地域全体を指していますね。

www.kankomie.or.jp

自称三重県観光ナビゲーターを目指す亀成園母は観光三重のサイトも隈なく見るのですが、スポットとして「飯高駅」や「香肌峡温泉スメール(注:現わんわんパラダイス松阪)」などはわりと上位に出てくるものの、香肌峡でどうしたらいいのかは見当たりません。登山ならいいのですが、ドライブをして立ち寄って満喫できるのはどこなのか、まだまだ整える余地がありそうです。
 
亀成園として一泊二日のモデルコースはとりあえず下記3つです。
①香肌峡、巨木と橋巡り
②香肌峡、芸術と展望
③香肌峡、里山散歩と日帰り登山
 
今後それぞれ紹介していきますのでご興味ありましたらアンテナ張っていて下さいね。お問合せも受付けますよ。秋の紅葉が一段落してひっそりとする里山であり渓谷ですが、冬にしかない美しさもまたあります。お楽しみに」
 
 偶然出会った人の何気ない質問から、また新たな使命ができました。温めていた考えを形にする作業は地道で恐々で時間がかかるものですが、きっちり仕上げることができれば香肌峡ガイドの軸になりそうです。あきらめず楽しんでいきたいものです。

中学生と共演の機会

 2020年は明けても暮れてもコロナで過ぎていきそうで、多くのお祭りやイベントが中止になっています。わいわい会えていた人に会えないという意味では寂しくもあり、イベントが重なる時期は本当にせわしなかったので、なくてもなんとかなってホッとしているというのもあります。子供が多く、地域のイベント毎に関わることが多かったので、今年はどうしたってペースダウンすることになり、神経は休めているようです。あまり重なるとどうしても躁状態になりますからね。助かっているという人も案外いるのではないでしょうか。もちろんずっとないのではなく、次への期待を高めながらです。あまりに出番がなくでも人間空しくなり過ぎてエネルギーがなくなってしまうもの。沢山の人が必要とされるお祭りやイベントはやっぱり大きな価値があるのですね。

 

 この三年程、縁あって管楽器好きが集まって、小さなアンサンブルを練習しています。週に一度のゆるりペースですが、先生のトランペットが有名なこともあり、元々子供たちと一緒に文化祭などで演奏していたこともあり、年に数回は出番がありました。今年は出番を増やして介護施設などへの慰問演奏が予定されていました。それらは当然軒並みダメになり、文化祭も地域の祭りも演奏会も一つも本番がなく粛々と練習するのみと心していたのですが、先週一つだけ演奏の機会に恵まれたのです。ひょんなきっかけで9月頃から準備を始め、かなり楽しみにしていた本番は、中学校の文化祭で創作部との合同演奏でした。

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illustAC 鶏とトランペット

 飯高の中学校では部活は限られています。野球部、テニス部、バレー部、そして唯一の文化部である創作部です。運動に縁がなく吹奏楽部をなんとか続けてきた身には創作部は一番親しみを感じていました。決まった活動ではなく手芸をしたり折り紙をしたりでもいいそうなのですが、たまたま音楽の得意な子が在籍していたことから、保護者のいる私たちの金管アンサンブルと合同で演奏できないかという話になりました。中学生が受け持つ楽器はピアノ、ドラム、トランペットと木琴・鉄琴です。いつもアンサンブルで使っている楽譜どれもが使えるわけではなく、ピアノもドラムもそろっている譜面は限られていたのですが、先生が書き換えてくれたこともあり、2曲を合同演奏できることになりました。『世界で一つだけの花』と『やってみよう』です。他に金管アンサンブルだけで『紅蓮華』を演奏しました。かの「鬼滅の刃」の主題歌は、この先どうあってもグループホームなどの慰問演奏で使うことはなくて、練習するだけでお蔵入りになりそうだったので絶好の機会でした。合同練習は片手で数えられるほど。別々で練習を重ね、息を合わせて、テンポの違う3曲を会場の手拍子に合わせてなんとか吹き通し、本番を終えることができました。完璧な演奏とはいかないものの、練習してきた音は出せた手応えです。周りに支えられまくってのつたない音ですね。

 

 この4年は子供たちと一緒にトランペットの練習を細々続けていますが、中学校の時はドラムに夢中だったので、ドラムと共演できることはめちゃくちゃ嬉しかったです。担当の子は小学校4年生から市街地までドラムを習いに行っており、普段はCDで曲を流しながらドラムだけで練習をしているのですが、合奏になっても堂々と叩いてくれて、リズム感やスタミナがうらやましいほどでした。体力のない身でドラムを叩くと腕より先に足がバテテしまうのです。一日中でも叩いていたいのにとても体力がもたなくてすぐヘロヘロになって結局上達しなかった過去にこっそり涙を光らせながら、小学校から知っている子が立派にビートを打ってくれて感激ひとしおでした。

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illustAC ドラムセットを演奏する牛

他のメンバーのピアノもトランペットも回を重ねるごとになめらかになり、嬉しくてちょっと悔しくて。木琴・鉄琴も初めはたどたどしく叩いていたのがどんどん粒がそろっていい音になりました。主張の強い子ではない分、楽器を通して楽しさや喜びが伝わり、いい機会になったのだなと見守ることができました。

 

こちらのメンバーはトランペットが3本に、フレンチホルン、トロンボーンユーフォニウムが一本ずつ、6名の中年壮年世代。中学生を前面に出して後ろで引っ込んでいるくらいがちょうどよいのですが、楽器の特性上前に出ることになり、しかもだんだん演奏が必死になってきてしまい、サポートするよりされる側になってしまったのではないかというのは心残りです。他の生徒や保護者の方々、地域の方々など、はりきる金管アンサンブルの中年壮年より創作部の頑張りを見てくれたかなと是非聞いてみたいものです。墓穴を掘りそうなので面と向かっては聞きづらいのですが、子供たちのかっこいいスナップショットが残されていて欲しいものです。なにせ彼らは動画世代というのか、練習もいつも動画で残されていました。古い者としては録音の音だけでも冷や冷やするのに大きく画面に映されて、毎度身を縮ませていたのもよい経験だったのでしょうか。

 

音楽は世代も国境も超える。そんなことを言いながらも実際に超えることはなかなかなくて当たり前なもの。細々と続けていられるだけで充分恵まれているといつも家族に感謝ばかり。それが今回ちゃっかり世代を超えてつながることができました。これからどうなるかはまだわかりませんが、これまで続けていてよかったのだなとこっそりニンマリです。

 

音楽は大事だけれど自分にとって文学には敵わないのです。

山岳<音楽<文学 が嘘偽りのない私の価値観。

アウトドア派に見えて明るく見えるけれど実は引きこもりがちで陰鬱な己の姿を認めたからこそ、ありがたく音楽と向き合うことができます。いつか動画をアップロードできる機会はあるのかないのか。地道にステップを重ねるのみです。

 

 

 

 

いつも言葉に縛られ照らされて

11/1で38歳になりました。他人にはなんてことない日ですが自分にはやっぱり特別なのが誕生日。

ちっともピチピチでもなく醸し出すにも遠く、中途半端な中年半ばに過ぎないのですが、個人的に30の頃自分と約束したことがあってから、ここは大事な年なのです。

 

ずっと言葉に力をもらって生きてきました。身体能力の低い私は言葉を使わなければ何もできないし、言葉を磨くためにのみ人生を進んでいると言っても大袈裟ではありません。アウトドアも食も農も音楽も大事だけれど、読み書き以上に大事なものは何にもなくて完全に最優先事項で、だからやっぱり自分の生きる力は筆の力であって欲しいのです。

 

30の頃、小さな子供を抱えるだけでなにもしていなかった頃は自分が情けなくて仕方なかったです。専業主婦という立場でありながら、主婦業は何一つ得意でなくて、エネルギーの強い子供と向き合うばかりで必死な日々。ぐちゃぐちゃな家でぎゃいのぎゃいのやってる自分を認めることはどう取り繕っても難しかったです。子育ては生半可では務まらないエゲツない仕事とは知っていますし、だからこそ勢いで突っ走れるかもしれない若いうちに先に挑みました。それも自分で決めたこと。そして子供は予想を遥かに上回って可愛すぎるし面白いことがいっぱいだし子供のおかげで得たものはまさに星の数ほどあります。それでもそこに安住するには私の主婦力は低過ぎました。そしてなまじっか学力を上げてしまったために、気を許している友達の社会的立場と自分との雲泥の差に愕然とします。それぞれの人生で、得ているもの選んでいないもの様々で、比べることはアホらしいと重々わかっていても、子育てはいつだってつまずくもので、母を支えてくれるにはあまりに不安定です。子供を自分のトロフィーにする気もなく、でも切り離すこともできず、私ってなんだろうと虚しくなることは一所懸命頑張ったからこその母業秘密の落とし穴です。


今だからこの落とし穴にどっぷりハマったことを誇らしく思いますが、出口の見えないトンネルという例えが苦しさいっぱいなように、先の見えない時は光が欲しくなります。


だから決めたのです。30で必死だった時、トンネルを抜けた先に光があることを信じるために、自分で決めました。35までは覚悟をもってまっすぐ子供と向き合うけれど、その後は自分の仕事を探すことを。そしてなんとなくですが38でそれなりの手応えを得ることを。そう決めたものの当時は38なんてずいぶん先で、子供もかなり大きくなって子育ては随分楽になっている、そんな日は夢のようだと思っていました。だからこそそうなったときに抜け殻にならないよう我が道を照らしたのです。照らさなければ落とし穴に飲み込まれて抜け出せなくなりそうだったから。


そして今、子供の育ち具合は夢のよう。6年生を筆頭にポンポンポンと5歳が最小です。いつも賑やかで喧嘩は多いものの、ここ一年はホント何もせずとも育っている感覚になりました。キリキリ見張らずとも気を配るだけで母の役割が果たせるようになってきました。


そして一年ちょっと前から私の頭はビジネスモード。社会経験のなさに半端ないコンプレックスを抱えながらも、起業したい、家庭の次は社会にと強く思ったのは、自分の決めた道があったからです。何にも縛られずに自由に生きているつもりで、案外強く自分の言葉に縛られている様は滑稽なのですが、やっぱり言葉には力があるのかな。適当に散らかさずに覚悟を決めて照らした言葉が自分の道を作るなら、受け止めていきたいです。


38でいっぱしの仕事をする。そのスタートが今。何ができるのかまだスライム状態ですが、決めたからには何かできるはずです。


「大人になったら田舎で暮らす」とか「子供を産むなら四人以上」とか「たくさんの自然素材が見える家で子育てしたい」とか漠然としながらも自分で目標を立てたことは大体その通りになったきました。今度はちょっと漠然度が低くて縛り過ぎるかもしれませんが、誰かに迷惑をかけるわけでもありません。ただそうなるように動いていくのみです。


こっそり拳に力を入れて、とにかく小さくとも社会を担う人になっていきたいです。まあ大切な子供たちから気を放すことのないよう少しずつなのですが。それでも5年後に踏み出してよかったなと子供に誇れる自分でいたいから。


 

 

県内修学旅行

先週末、長女が小学校の修学旅行に行ってきました。開催すら危ぶまれたのに行き先を変えてGo To トラベルも使って、価値ある修学旅行になったようです。例年は京都・奈良でしっかり歴史の勉強を深めるのが狙いなのですが、県外移動を控えたため新たに計画して、保護者の了解を取り(あっさり承諾)、10月に入ってからは本人ばかりでなく家族全員体調を崩さないよう日々検温して、無事に開催の運びとなりました。旅行中も誰も体調を崩すことなくクラスターに出くわすこともなく、一安心です。

 

飯高町は何十年も「飯高連合」として修学旅行は地域の学校が合同で行き、交流を深める狙いもあります。社会見学や学校間の交流などで今までも行き来はあったのですが、一泊二日を共に過ごすことはやはり子供たちには特別で、小学校から中学校への進学もスムーズになります。中学校は二校が一緒になるのもあって、合同の修学旅行が無事開催されたのは子供たちにとって本当にありがたいことでした。

 

行き先は伊勢志摩鳥羽という三重県の目玉観光地。飯高を朝出発して、伊勢神宮参拝、鳥羽水族館ミキモト真珠島を回り鳥羽で一泊。二日目は英虞湾周遊クルーズ、賢島サミエール(伊勢志摩サミット記念館)、志摩スペイン村に横山展望台を回るという豪華なハードなコースをこなしてきたようです。修学旅行といえばキャッキャと夜更かししてしまうイメージがありましたがあっさり寝てしまったようで、睡眠不足が最大の弱点の長女に無理がなかったようで安心しました。

 

真面目で記憶力の優れた長女は事前にたくさん調べ学習をしておりました。学校でも家でも検索して書いてまとめて、おみやげ物まで決めてから旅行に行きそうなほど、計画の好きな子です。たくさんたくさん印象に残っていることはあるのだろうけど、ちらっと聞いてみたら伊勢で食べたてこね寿司が美味しかったとのこと。

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伊勢のてこね寿司。AC写真より

伊勢神宮参拝は大雨だったようですが、ホッと一息ついた最初の食事が気に入るものであったのは幸運なことです。これから何度も訪れるであろう伊勢神宮ですが、きっといつもこの日を思い出すのだろうなと微笑ましくなりました。山での自給暮らしから海辺の旅行で普段とは違う海の幸を堪能したはずなのですが、米好きを貫きました。

 

 雨でも大丈夫な鳥羽水族館は平日だったこともあり、比較的ゆっくり回れたようで、ほくほくとジュゴンのぬいぐるみを連れて帰ってきました。あまりに立派で回るのに三日かかりそうで訪れる機会を失っている鳥羽水族館。でも話を聞いていると生き物好きの血が騒ぎ、ちょっとでも行きたくなりました。日本一エサ代のかかる飼育動物であるジュゴンに貢献したいですよ。豪華な生き物もいたものですね。

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AC写真より。鳥羽水族館の顔

 

2016年5月に開催された伊勢志摩サミットの頃は、私たちはまだ三重県におりませんでした。6月に引っ越してきたのでニアミスだったのですけれどね。当時の様子や三重の熱気など何も知らなかったのに、長女はこの機会にずいぶん学んだようです。4年前と今では首脳の顔ぶれもガラッと変わっているし、先進国の在り方が根底から覆されようとしている現状ですが、とことん政治の話題には弱い私では教えられないことを学んでくれたのでしょうか。また折に触れて聞いてみたいと密かに楽しみにしています。

 

スペイン村は晴れた週末のお得デーと重なってしまい、密の避けられないようなすごい人混みで、乗り物は一つしか乗れなかったそうです。県民としては喜ばしい盛況っぷりですが、再度訪問せねばいけない課題が増えてしまいました。お菓子のお土産だけたっぷりと買ったようで本人は満足しておりますが。そうそう、この修学旅行では旅行の日だけ現地で使えるクーポン券が配られており、お買い物の勉強もしたようです。お釣りの出ない1000円クーポンと小銭を組み合わせてどれだけお得な買い物ができるのか。普段買い物する場所もない田舎暮らしの身なので、二日間であれもこれも帰るのはずいぶん楽しかったようで、妹弟たちの羨望の眼差しを浴びました。

 

最後に訪れた横山展望台は、晴れ女の本領発揮でバスガイドさんもうなる最高の展望だったとか。

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英虞湾を一望。AC写真より

絶妙に曇り女である私は展望台で最高の眺望、というものにあまり縁がなくうらやましい限りです。世界に誇る三重の海の眺めがいつか彼女を支えてくれる一枚の画になることがあるのでしょうか。小学生にとっては展望はさほど重要ではなく、元気の余った男の子たちは展望台アプローチの坂を行ったり来たり走り回っていたそうですけどね。

 

三重好きな母として、同行してもいない長女の県内修学旅行を勝手に振り返ってみました。ああ、余程ついて行きたかった。けれど母のやかましい色眼鏡のない目で美しい伊勢志摩鳥羽に出会えるとは、最高の機会だったのでしょう。関係者のみなさま、6年生たち、鳥羽シーサイドホテルさま、その他、長女を見守ってくれたすべてにこっそり感謝しています。

オープンスクールと安全坊や作り告知

子供達の通う松阪市立香肌小学校では、親子山村留学の説明会も兼ねて、一昨年からこの時期にオープンスクールの日を設けています。興味を持ってもらった方にはやっぱり一度足を運んでもらいたいものです。ちょっと引っ掛かっている方のきっかけにするにも良い機会かと試行錯誤の三年目。今回はチラシをだいぶ勉強して、伝わりやすいものに一新しました。ドドん!

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親子山村留学の目的は、のびのび子育てをすることです。子供が毎日を過ごす環境は人生に大きな影響を与えるもの。与えられた環境に満足できているならそれで十分肯定的に生きていけますが、もし変えられる、選べるなら、こんな場所もあることを先ずは知ってほしいと願っています。


この日は午前中学校で過ごし、午後は住宅見学もできます。お昼は亀成園のゲストハウスに来て頂き、田舎暮らしの本当のところを存分に尋ねてもらうことができますよ。


学校見学はお申し出が有れば随時可能だし、平日なら児童の様子を見てもらうこともできるのですが、やはり通常授業の日に訪問できる親子は限られるし、学校側もちょっと慌ただしくなります。うまいこといけばクラスに参加することもできなくはないのでしょうが、授業内容にもよるし、お約束が難しいところです。なので土曜日で、児童も保護者もいる学校の様子を見学してもらえる日として、年一度の全校行事の日が改めてオープンスクールの日に当てられています。元々全校と保護者そろって何か楽しいことをする日でした。一昨年は香肌名物のクレソンを練り込んだうどん作り、昨年度は田舎の伝統のおやつである栃餅作りをしました。見学の方にも一緒に味わってもらいました。どちらも大変美味しくできた思い出の味ですよ。

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今年はコロナウィルス感染拡大防止のため、年間を通して調理実習ができません。美味しさを共有することができないのは残念ですが、趣向を変えて、木工体験をすることになっています。


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三重県ではどの家庭からの通学路にも建てられている安全坊やが校区全体で古くなってきたので、これを機に新調しようという企画です。こちらは時間も早いし(9時から)作っても使えないかもしれないのでオープンスクールのご参加は10時からでいいのですが、香肌小の親子が何かを作るときの様子はちょっと面白いので見学の価値があるかもしれません。申し合わせたことはないのですが、どの保護者も子供の出来を気にすることなく、子供そっちのけでかつ和気あいあいと取り組みます。その伸び伸びした様子こそ、親子に必要な空気なのかもしれません。


作った安全坊やは持ち帰ってもらっても良いそうですが、保管が難しいやら持ち帰って用途がない場合は学校でストックしておきます。もし幾多の課題を乗り越えて、親子山村留学の希望が叶って新しく仲間になれたのなら、かけがえのない必要な物になりますね。

オープンスクールのお申し込みは香肌小学校のHPから。香肌峡の紅葉はわりと長いので、道中もきっとご満足頂けます。

https://www.kahada-es.com/


ちなみに次の日(11/22)は亀成園でお米の会も開催しますので、先着1組のご宿泊も歓迎ですよ。今なら間に合う! 


高校生まで見守れる役得

 松阪市の山間部、香肌峡と呼ばれる地域は飯高町飯南町の二つの町があり、3つの保育園、4つの小学校、2つの中学校に1つの高校があります。かつては小学校は10以上あり、どの地域も子供がぞろぞろとしており、秋に実る柿を猿が狙う間もなかったと言います。長く地域に住む還暦以上の方が子供時代の話をされるときは本当に楽しそうで、何はなくともにぎやかだった頃の様子が伝わります。現在はどこの学校もあっという間に小規模になってしまい、定員割れで存続の危機がチラつきます。それはもう日本全体の話で、昔を取り戻すことはできず、今精一杯子供たちにいい道を探ることしかできません。やっぱり大きな学校がいいと信じる人もいるし、どれだけ学校が小さくなろうとも、地域にとって学校を残すことがどれだけ大事なことなのか、100%伝えるのはまだできそうにありません。もどかしいです。学校に関わることができれば、香肌峡にある学校がどれほど園児・児童・生徒と関係者、地域の大人双方にとって恵まれた環境であるのかわかるのですが、自ら関わりの機会を設ける人はなかなかいないのが現実です。人と人が一つ一つつながっていく、その絆が糸となり縄となり橋となっていくことに、ようやく気付くようになりました。

 

 と前置きをしたところで、普段園児1名と児童3名を抱える香肌峡でも上流のほうにいる亀成園夫妻が、飯南高校に訪れた話です。

飯南高校は

「高校生が地域に貢献し、地域を活性化させる学校」 として「日本で一番」

を掲げ、過疎・少子化が特に進むど田舎地域にあって、日本の課題の最先端を逆手にとって骨太に頑張っている高校です。ひたすら勉強を詰め込んでいた私の頃とは違い、社会に出て通用する力をつけるためのキャリア教育に力を入れ、生徒を育てています。

キャリア教育 | 学校の特色 | 三重県立飯南高等学校公式ページ

 

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飯南高校並木道

香肌峡としてはだいぶ下流なので、上流人としては自然豊かとまでは言えませんが、市街地とは一線を画した環境です。緑に囲まれた学校で過ごす3年間は高校生に何をもたらすのでしょうか。

キャリア教育のメインは3年時に行われる飯南ゼミと言われるもので、自分でテーマを決めて1年かけて発表の準備をします。テーマは何でも良いのですが、自分で決めたことをあきらめずにまとめきり、大勢に発表する機会というのが全校に課されているのはなかなかのチャレンジだと思います。その準備段階として、2年時前期にもインターンシップに訪れて、その体験をまとめ発表する機会があります。そして今年の夏のインターンシップ先の一つに亀成園があったことから、発表の見学に訪れたのです。

 生徒の進路は就職・進学どちらもサポートされているので、インターンシップばかりでなく、大学のオープンキャンパスに訪れてもいいし、アルバイト経験をまとめてもいいし、コロナウイルス下にあり県外を気軽に訪問できる事態ではなかったのもあり、家業の手伝いをしてみて大きな経験を積んだ生徒もおりました。亀成園を訪れた生徒が何を得たのかを見守りに行ったのですが、10名近くの5分ずつのいろいろな発表を聞けて、この地域の高校生を新たに捉える思わぬ良い機会となりました。

 

 発表する班は偏りを防ぐためにバラバラに分けられているので、インターンシップ生を複数名受け入れたところは教室が分かれての発表です。この日は亀成園だけでなく地域の他の企業からも見学者があったので、生徒たちには一層非日常体験だったことでしょう。一人ずつ持ち時間は5分。事前にレクチャーはあるとはいえ、慣れない資料作りをこなして本番のプレゼンは、大人でもそうそう機会がありません。もちろん日常茶飯事の人もおりますが大多数の人々にとってはね。私が高校生の頃の発表と言えばごく短い英語のスピーチか班での実験発表か文系クラスでの作文発表くらいでした。秀でてもおらず大事故でもなく無難に過ぎていった記憶しかありませんが、先生以外の大人がいる前での発表の機会はほとんどなかったので、飯南高校生はずいぶんがんばったことと感心します。資料作りの課題、プレゼンの課題などは相応にありました。前置きが長くなりすぎて、肝心の自分の体験までたどり着かなかったり、色合いなどかっこよく作り過ぎて発表としてなんだか見えにくくなってしまっていたり、とりあえず書いてみたもののよくわかっていなかったのがわかってしまったり、精一杯に棒読みしてしまって伝わりにくくなってしまったり。どれも一度は通る道です。ものすごくよくわかり、気恥ずかしい思いを秘めながら見守っていました。

 

 インターンシップに訪れたからといって、地域の企業とずっと関わるわけではなく、生徒にとってはせいぜい仕方のない通過点であるのでしょう。本気で憧れて一直線にその会社に人生を捧げるわけではありません。受け入れる側も採用活動をしているわけではないのです。それでも学校とは違う地域の別の場所に、見守る大人が居ることは高校生にとってどこか安心感があるだろうし、大人にとっては視野を広げて責任感を育てる絶好の機会です。うまくいえないのですが、例えば双方にとって体感温度が一度上がるようなことだと思うのです。その一度はもしかしたら空しさを取り払うギリギリの一度になるのかもしれません。

 

 高校時代に描いていた生き方とは大きく軸をずらしてしまった亀成園の在り方は、今の高校生にとってすぐに役に立つ社会人の在り方ではありません。紆余曲折を経ての暮らしだからこそ頑張り続けられるのであって、私とていきなり自給自足で暮らしていこうという若者が育つことを望んではおりません。何度も壁にぶち当たり、人間関係を磨き、旅を重ね、苦労を重ね、それからにすればいいとババ臭いことを願っています。それでも社会に出る前に色々な人に出会うことは人生に必要なことで、いろいろの一つになれればいいなとも願っています。

 

 インターンシップに来てくれた生徒の発表では

・薪割が大変だった

・鶏が可愛かった

・ダムが印象的だった

というシンプルだけれど自分で体得した感想が聞けました。

 

亀成園が最近会社理念として見据え直した文言は

「百姓の知恵を百年先の未来へ」です。

素材と環境を活かし、知恵として未来へつなげていく役割があると自覚しました。

微力ながらも高校生を見守る機会を頂けたのは有難いことです。

じわじわと一緒に成長していければ本望であるし、いつでも温度が上がる体験ができて、人を迎えられる場所として整えていきたいです。

 

それにしても、園児から小・中学生に高校生まで同時に関心を持てるなんて、ずいぶん得な役目です。保護者として地域の人として、なんだか変わった人として。これもきっと清流と鶏のおかげです。持続可能な社会を築いていくために次世代育成は不可欠。鶏たちがつないでくれる縁に最大限感謝して、焦らずほほえんでいたいものです。

 

卵くらべ

若鳥たちが卵を産み始めました。平飼いの鶏が卵を産むのは生後半年から2年半くらいの間。まだ半年に満たない若鳥たちと2年半を過ぎた鶏ばかりで9月は本当に産卵数が落ち込んでいたのが、ようやく希望が持てるようになりました。需要があるのに供給できないなんて、チャンスを無駄にするも甚だしいです。とはいえ卵を産むのはかわいい鶏たち。成長を待たなければいけないし、環境を整えてやらねばならないし、年間安定して産むわけでもないのを考慮にいれておかなくちゃいけません。美味しい卵を手に入れるのは楽じゃない。やきもきがまたいい経験になるのでしょう。
 
さてあまりに卵が足りず、卵が食べたくてたまらなくなったので、数年ぶりにスーパーで卵を購入するに至りました。我が家はいつも売り物からはじかれた卵を食べていて、いつも豊富にあるわけではないけれど、渇望することもなかったのです。鶏たちを恨まずにおるために、食べ比べをしてみようと買ってきたら、ちょうど早めの初卵が出てきたのです。初卵とは若い雌鶏が初めて産む卵で、小さかったり形が不思議だったりしますが、エネルギーの詰まった貴重な卵です。
 
初卵も市販の卵もあることなんて滅多にありません。売れない烏骨鶏卵もありました。いつものおひさまたまごと合わせて4つの卵を、同時に割ってみたのがこちら

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たまごくらべ
左の明らかに色が濃いのが①市販の卵です。上側の黄身が大きいのが②烏骨鶏卵(商品名は「香肌の真珠卵」、右の大きいのが③亀成園の赤玉(商品名は「いいたかのおひさまたまご」、下側のが④の初卵です。
 
亀成園が卵の特徴として掲げているものに
・黄身が黄色い
白身が盛り上がっている
・黄身も白身も力強くて混ぜにくい
・臭みがない
・完全国産(ほとんど地域産)の餌で安心
 
箇条書きにすると以上5つがあります。とはいえ普段は自分のところの卵ばかり(殻にヒビが入って売りに回せないものなど)食べているので、他の卵と比べる機会はなかなかありません。お客様の声から「思ったより黄色くてびっくりした」「生卵食べられなかったけどこの卵はツルっと飲むように食べられた」「ケーキに使うとすごくふくらんで美味しくできる」など嬉しい声をいただくので品質に自信は持っておりますが、自分の感覚でも調査してみたかったのです。
 
混ざってしまってわかりにくいのですが、よく見ると③と④の周りに白身の強い層がくっきり弾力を持っているのがわかります。②の烏骨鶏卵と④の初卵は殻は同じくらいの大きさでした。烏骨鶏卵は一般の卵よりかなり小さいです。それなのに割ってみると黄身が大きいのが明らかです。
 
 本来なら2つずつ、殻の状態から丁寧に比べるべきだったのですが、うっかりこの写真だけになってしまいましたが、それでも発見の宝庫でした。やはり亀成園の卵は黄色くてぷりぷりしておりました。そしてうんと混ざりにくかったです。
 
 味覚や嗅覚にそんなに自信のない私は味や臭いの大きな違いまで判別することはできませんでした。もともと卵好きですし、普通に売られているのは有難い限りです。けれどやっぱり亀成園の卵はきれいだなと感じたのもまた事実。数が限られていてたくさんの方にお届けするのが難しいのが本当に残念なのですが、やっぱり食べてみてほしいです。
 
 生卵で、卵焼きで、ゆで卵で、目玉焼きで。そんなシンプルな卵料理を再発見するには絶好の素材です。発見は脳を蘇らせます。
 
 
若鳥たちがどんどん成鳥に変わっていってどんどん産み出したら、卵集めが大変になって売り先に困るかもしれません。うん、きっとそうなりますので、その時をお楽しみに。そう遠くない未来ですよ。
 
卵がたくさんあるようになったら、ゲストハウス亀成園で、卵料理体験イベントを開きたいなと考え中です。貴重な卵をご自宅にお取り寄せするのもいいですが、何人か集まって一緒に楽しんで作って食べて、お土産付きなら人が来てくれるかしら。コロナ警戒態勢がそろそろ緩和されるようになったら、一緒に仲良く卵でほっこりしたいですね。