親子山村留学活動についての出前授業
先日、小学校で児童に向けて、親子山村留学の活動について出前授業をする機会がありました。
児童(3〜6年生)に向けての話なので、今まで市議会の方や行政の方にしてきた話とは異なり、活動に対する思いや未来へのつながりをメインに資料を作り、話をしてきました。
親子山村留学の活動は、学校と地域、移住者の三方よしを目指して行っている活動で
①小学校がなくならないため
②地域活性化のため
③移住者の居場所を作るため
という大義名分を掲げようと思えばいくらでも纏える活動なのですが、実のところそれが目的ではありません。
何よりも今いる児童にとって前向きなものであってほしいと常日頃願っているのです。
移住者が増えて居心地悪くなったな、ではなくて
いろんな出会いがあって楽しい。お互い刺激があって楽しい。
元々いる子も転入して来た子もどちらも安心して楽しい学校生活を送ってほしいと願っています。そんなこと伝える機会はなかなかなかったのですけどね。

親子山村留学活動の芯にある思い
20枚に渡っての、メッセージたっぷりの資料一部を紹介します。

青っぽい鳥と共にやんわりとしたメッセージ
元々親子山村留学の活動を始めたのは、小学校がなくなるかもしれないという危機感でしたが、活動を貫くのは割と前向きな思いなのです。
地域の人への恩返しと恩送り、それにこのままここに居ながら、新しい人を迎えることでの楽しみを受け取ること。それを小学校に関わる人みなで分かち合える良さがあります。
とはいえこの7年、いつだってスムーズに進んでいることなんてありません。
いつも何かで苦労している活動です。
周知活動だったり、機械トラブルだったり、思いのすれ違いだったり何かとね。

偉そうなことは何も言えないです。試行錯誤しかしてない。
でも、だからこそ目の前で話を聞いてくれている、山村留学をきっかけに来てくれた子どもたちは私には大事な存在だってことをこんな形で伝えることができました。
さてこの活動は当然私だけのものではなくて、いろんな人の力を借りています。その中には話を聞いてくれている児童の保護者さんも入っていて、近所の人にも関わってくれている人がいます。みんなは何をしているのかな。
親子山村留学活動で力を入れていること

得意を出し合って、学校を守っていることが伝わるかな
試行錯誤の末、力をいれることもだんだん固まってきました。
まずは見つけてもらわなくちゃどうにもならないけれど、ここで親子の学童期を過ごしたいなと思っても、住むところと親の仕事がなければ現実的には難しいことが多いです。
仕事をリタイアしていて家をドーンと買ってお金を湯水のように使える人には何の障壁もないのかもしれませんが、必死の子育て世代が田舎に引っ越すって、当然さまざまな壁があってしまいます。
自治体を挙げての活動ってわけでもなく、こちらもボランティアでの移住促進活動です。
補助金や援助はほぼどこにもありません。希望者は自分で勇気と金策を出すしかありません。
だからせめて少しでも条件のいい家を探し続けることと、仕事の伝手を持っておくことが求められています。それには顔の広い地域の素敵な人々の助けが不可欠です。
現在、親子山村留学で来てくれた10数家族の家はそうして探し出されてきました。
子どもにとっては、親に連れられて気付けばここに居たって感じかもしれませんが(低学年前での記憶がほとんどない私にはそんなイメージですね)、住む場所や親の仕事場について、誰かの助けがあったという感覚って、もしかして独りよがりな思考になることを助けてくれるかもしれません。恩を着せることは絶対にしないですけどね。じんわり伝わればいいなと。
その後、実際どんな活動をしているか、写真も見せながら一連の流れを知ってもらって
質疑応答の残り時間も気にしながら、サクサクとポイントを押さえていきました。
親子山村留学活動で気をつけていること

関わる人があちこちにまたがる活動なので、気をつけることもその数ありますね。
学校の都合、空き家の都合、それに希望者の事情もあるので、最善と思われる道を一緒に考えて探って、1組1組向き合ってきています。
もちろん次々に来て欲しい思いは強いのですが、ここでの暮らしがその親子にとって本当に望ましいかどうかはわからないのです。
例えば持病があったり、言葉の壁があったり、家族の事情があったりします。
親子山村留学での暮らしは、他の誰かが面倒を見てくれるわけではないのです。
田舎暮らしの適性や公立小学校の枠組みもあって、どんな人でも任せなさいとは言えません。
それでも話を聞いてみることはできますし、その上で現実的にできることを探っています。
小規模特任校なので、引っ越しをせずとも松阪市内であればどこからでも通うことは可能ですが、小学生に日々の遠距離通学を強くお勧めはできないという事情もあります。それでも希望があればもちろん歓迎です。
私たちが提唱しているのは期間の決まっていない山村留学というかほぼお試し移住なので、夏だけとか2週間だけとかではなく何年という単位で留まってほしいと願っていて、実際今までこの地域に来た人は皆何年も過ごす仲間になっています。
※最短で6年生の1年間だけという子もおりました。
何年にも渡る大きな決断と行動なので、一緒に考えて最適を目指していっています。
親子山村留学活動をこれからも
結構固い感じの話もしてしまったので、柔らかい願いも付け加えておきました。
〇〇だったらいいなぁってこと、という題で、自分でも問いを深める機会になればいいです。

個人の力は小さいようで大きくて、大きいようで小さいものです。
思いが共鳴すれば大きな力になります。
この活動が始まってから地域に来てくれた人の中には、草刈りや木の伐採を仕事にできるようになった人がいます。公民館の講座で講師を務めている人もいます。コミュニティ交通の運転士を務めるようになった人もいます。
子どもが安心して学校に行けるようにを一つのきっかけに来てくれた大人が、地域の新しい担い手になっている現実は、夢のような今なのです。
どうしても移住促進の側面が目立ちますが、本当の願いはこの学校を母校とする人たちのこと

長女がここに転入して来てすぐ数日後、「私、この学校を卒業したいなぁ」と言いました。
卒業した時の夢は「将来はこの学校の校長先生になりたい」でした。
現在高校生の彼女の思いがその頃と違っていても、私はその夢が実現不可能にならないための活動をしていきたいと願っています。
結局は個人的な動機ですね。それが他の誰かの個人的な動機と共鳴するといいのです。
子どもたちからの嬉しい言葉
こんなプレゼンをサクサクと駆け足でやって、質問タイムがかなりあったのに、チャイムには間に合わないという盛り上がりでした。
大成功ですね。
児童からの質問としては
「冬のイベントがないのはなぜですか」や「現在、どれくらいの空き家がありますか」
といった現実的なものから
「(活動をする私たちにとっての)この学校の魅力はどんなものですか」
「親子山村留学活動で今一番苦労していることは何ですか」
というしっかり向き合うような質問もありました。ありがたいものです。
質疑の時だったかプレゼンの途中だったかこんがらがってしまったのですが
親子山村留学活動はホームページを充実させていることで、世界中どこからでも問い合わせることができ、実際に海外からの問い合わせもあるという話をしていたら、子どもたちの目が輝いていました。外国の方からというより海外在住の日本の方が帰国する時、という問い合わせが2、3件ありました。現に最初の留学生はそうした流れでしたし、これからも可能性はあります。
その関連で児童に「外国からの子どもも来てほしい? どこの国からがいい?」
と何気なく尋ねてみたら、ものすごくワクワクした雰囲気になりました。
大きな声で「中国!」という子がいて、「韓国!」という声もありました。
海外の人の受け入れについては、軽々しく言えない空気のある現在ですが、子どもたちのまっすぐな思いに胸を打たれる体験になりました。
さてそんな動きのあった、山間の小さな小学校です。
キラキラした想いのある児童にまた仲間が増えてくれることを見守っています。

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