勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

松阪茶グランプリに挑戦

私が三重県飯高町に我が家を持つことを決めた理由の一つに、茶畑があるということがあります。種類を問わずさまざなお茶を好む、根っからの茶道楽人間にとって、自分の茶畑は管理できるかは二の次で、夢の塊でした。案の定管理不行き届きな茶畑としては、こんな持ち主は嫌がってるのかもしれませんが、私は自分が茶畑を持ち、それなりに毎年試行錯誤して自家用のお茶を作っているということに満足と誇りがあります。


あまり知られてはいないようですが、三重県には茶畑が多いです。静岡県、鹿児島県に次ぐ三位の生産高で、三重県の中でも松阪市鈴鹿市四日市市に次ぐ三位のお茶処なのです。松阪市の中で飯高町よりも飯南町のほうが圧倒的に茶畑が多いのは国道166号を通るだけで一目瞭然ですが、飯高町でも自分ちの茶畑を持つ人は結構多いです。お茶をアメリカに輸出した大谷嘉平さんのことは小学校で地元の誇りとして勉強しますし、中学校で給食の時に出てくるお茶は、学校茶畑で収穫された茶葉で作られているそうです。それでもせっせと茶摘みをする子も日々丁寧にお茶を淹れる子も聞いたことありませんが、茶を守り受け継いでいく活動は松阪市も力を入れています。


その取り組みの一つとして、10年ほど前から小学生と保護者ペアによる「松阪茶グランプリ」が開かれているのです。先着50名限定、FAX申し込みによる狭き門を今年は思いきって叩いてみました。

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事前にテキストと、参加賞を兼ねて練習用に小さな急須と湯飲み、松阪茶が送られてきます。なんと豪華な参加賞でしょうね。ちなみに松阪茶はほとんどが煎茶より長い時間蒸し上げて作る深蒸し煎茶ですよ。テストは筆記五十問が第一部、次にお茶の淹れ方テストがあり、最後に利き茶をして総合点でグランプリを決めるものでした。筆記テストと利き茶は親も一緒に小声で相談してもいいという形式で、淹れ方のみ子供だけで挑みます。私はいちおう日本茶検定も受けたことのある身なので、そう難しくもないかなと甘く見ていたら、大間違いでした。


ご当地問題の他にもテキストの重箱の隅をつつくような問題が出るわ出るわ。受けた後は幾つか間違えたかなと悔しい思いをしていたら、答え合わせでノックアウトでした。いやぁ、参りました。利き茶は完璧と思っていたら、かぶせ茶と深蒸し煎茶の違いがちゃんとわからず、普段からもっと高級茶を飲んでおけばと涙の遠吠えです。


それでもずっときちんと勉強して、グランプリを勝ち取る子がいるんだと脱帽できるのはなんだか嬉しい機会でしたよ。50組の親子が小声で相談可というのにテスト中も待ち時間もほんとに静かで、淹れ方テストは親は壁際で黙って見学するのですが、どの子もそれは丁寧に自分の手元と目の前の審査員だけを見て淹れていました。うちの子は茶托を使い忘れてドンと出してしまっていましたが、一期一会の審査員が「美味しかったよ。ごちそうさま」と言ってくれているのが聞こえて、なんていい取り組みなのだろうと感涙でした。


栄えあるグランプリにはトロフィーの他に松阪牛が授与されました。二位には図書券が渡され、読書家の娘は羨ましがっていたので、来年また頑張ってみようかな。入賞には箸にも棒にもかからなかったけれど、参加した子はみんな「松阪茶PR大使」に任命されました。

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主催の方々が挨拶をされるたびに「ペットボトルのお茶ばかりでなく、急須で淹れる機会を持ってほしい」と訴えていたのが印象的でした。自分がずっとお茶好きだとお茶業界の危うさには気付きにくいですが、昨今急須がうちにないというのも珍しくもなくなっているようです。年がら年中麦茶という家庭もあるようだし、パックに入ったお茶も多いから丁寧に茶葉を選ぶこともせず、とりあえずで飲んでいるのでしょうか。私のように食事に合わせて、身体の声を聞いて、時間の余裕とも相談して、あれこれ使い分けている方が余程珍しいのかもしれません。煎茶も玄米茶も焙じ茶も紅茶も好きだから欠かせない欲張りなだけなのですがね。抹茶は滅多にたてませんが、それは今やると人数が多くて大変だからなだけで、子供たちが巣立ったらきっと自分のためには淹れるのでしょう。生きるためにはゆっくりお茶を淹れる必要性なんて薄いのかもしれませんが、どんなアロマテラピーよりも好きなお茶の香りを漂わせ続けたいです。


松阪市ゆるキャラに、お茶と松阪牛を組み合わせた「チャチャモ」を抱えています。ゆるキャラ好きではないけれど最初からなんだか好きだったチャチャモと共に、これからもお茶を丸ごと楽しんでいきます。いつかはグランプリトロフィーを。また課題が増えてしまいました。

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