勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

おいしいものでつながっていくメッセージ

幸運にもちょっとした知り合いで、なんだか安らぐ空気の好ましい方が、己の情熱込めて力を合わせて上映会を企画してくれた縁があり、珍しく旦那様と共に映画鑑賞してきました。

合衆国のカリフォルニア州で大大大人気のレストランを運営し、スローフード革命家とも呼ばれるアリス・ウォータースさんが2023年度に来日し、島根や京都などを回られた旅の一部を1時間のドキュメンタリーにした映画です。

tiget.net

アリスさんのレストランではその日毎に使う農産物を生産者さんから直接仕入れすることに徹底して、シンプルな調理法で旬や地産地消にこだわっています。それがファストフードが席巻してきた社会で衝撃の大成功だったのだとか。

 

身体は食べたもので作られていて、食べ物は大地とつながっていて、その土地の旬が一番身体に合っている。そんなことはもはや考えるまでもないと思っていましたが、多分それは私がかなり前から興味があって実践してきたからですね。15年に渡って手間ひまかけて自給的暮らしを実践してきたのがスタンダードではありません。多くの人にとっては日々の暮らしが地産地消というわけでもないのか、と改めて気付く機会になりました。こういう啓蒙活動って私はすぐにサボってしまうので、ずっと続けてこられている活動家の彼女は使命を果たしている人です。

 

映画の内容としては

アリスさんと日本の料理人や農家さん、宿の方などが交流して、それぞれがインタビューに応えていたり、島根県海士町の学校給食現場からの映像もありました。

海士町は地域おこし界隈ではとても有名なところです。私は今年の2月まで知らなかった不届き者ですが、いい話聞けます。

naimonowanai.town.ama.shimane.jp

アリスさんの感想でもありましたが、丁寧に暮らす人が多く、四季折々の旬の食材が豊富な日本は確かにスローフード向きの土壌です。

ファストフードは多いけれど、日常的に支配されていない人々もまだまだおりますし、一般人のお料理レベルが高いので、素材を大事にしたり食事を大事にしたりのハードルが比較的低くなるのでしょうか。もちろん皆が皆ではなく、食事作りに時間がかけられない人が多いことも知った上ですが、子の食事で大丈夫かなと立ち止まった人が救われやすい文化ではあります。

日本の各地を回って、食事や生産者、旬を大切にする人々と心地よく食事を囲むことを繰り返して、アリスさんの在日体験はとても有意義だったとのことでした。

この本の紹介文は下記が詳しいです。

greenz.jp

 

スローフードという概念は私にはしっくりきてない部分も多々あって、私の食事全部がスローフードではありません。なにせ私は量がないとひもじくて耐えられない対応なので、時たま出かけての外食ではファストフードありがとうの身であります。慣れないところで既視感あって確実に空腹に効くお店がなくてはホイホイ出かけられないのではないかと懸念しますし、学生時代のマクドバイト経験もあるので、ファストフード文化に意を唱える者には成れません。

その上であっても、亀成園の卵ってやつはどうにもスローフードの概念にバッチリ当てはまっていて、人と人をつなぐ役割を果たしているなぁと感心しました。

近場で集まったものを餌にして、湧き水を飲んで育ったにわとりの卵が直売所で売られています。気に入った方は友達におすそ分けしてくれることが多く、飯高町から近隣へ、ご親族へだんだんと広がっていってる卵です。黄身の色が鮮やかに黄色くて白身が盛り上がっていて力強く、食べたときに感じる優しい味の記憶が人から人へじわじわ広がっている素材です。これはご満足されるだろうなとほくそ笑むことができます。

 

この上映会の目的の一つは、集まった人々から「おいしい解決策」を募ることでもあり、「あなたのおいしい解決策を教えて下さい」というアンケートがありました。

解決というには何か問題があるのだろうけど、それは記載していなかったので、個々が問題を提示しての解決策を求めていたのかな。

下記書籍などにヒントがあるかもしれません。

オーガニックという用語も農に関わる人にとっては手放しで支持できる価値観ではありませんが、消費者にとってはもはやなくてはならない概念なのかもしれません。

アリスさんは生産者を応援する人で、革命家とも言われるほど政治や教育にも食への主張を訴え続けている人です。彼女に救われてきた人たちの一部でも、生産者になっていけば、そして大企業と敵対するのではなく影響し合っていくのであれば、もしかして世界から食の危機は緩和されていくのかもしれません。

 

壮大な雰囲気の映画上映会でしたので、引きずられて壮大なことを考えちゃいましたが、一人一人が無理しなくてもいいです。「この食べ物はどこから来たのかな。どんな人とつながっているのかな」ということを時々考えてみるだけでいいのですね。

おりしも今は畑の野菜が乏しい春の時期です。野菜買わなきゃいけないので、どこでどんな人に育てられた野菜なのかを意識して、気持ちよく購入していますよ。