グリーン・ツーリズムインストラクターの学びに飛び込んでみて、越し方行く末をたっぷり脳みそ絞りながら体感しながら味わってみて
ああ、これずっとやってきたことだわとの大きな気付きがありました。
飯高地域でがむしゃらに何年もかけてやってきたことが全部つながってるんだな、そしてそれはこの時代が求めるものなんだなとの発見です。それはまた、小さなところで頑張ってきたことが全部、大いなるものに見守られていたような、不思議な感覚でした。
香肌小学校だけでなく、亀成園の生き方も、地域の大切な冊子『カハダヲタベル』に関わったことも、なんなら子育てのためにこの地に移住して生き延びてきたことそのものが、大きく安心していい流れだったのかなと振り返ると、あれ?なんだこれと震えが止まらない想いがあります。
人生の今まで、いちいち結構勇気のいることを選んで生きてきて、「大丈夫、きっとうまくいく」と一縷の望みを信じて進んできました。なぜだかその時々で、飛び込んで引き受けて頑張らなきゃいけない気がして。ちっとも勝てる保証なんかなくてももがかなきゃ仕方ないようなことをあれこれやってきました。
でもそんなこともしかして全部「だいじょうぶだよー、どーせうまくいくからね」くらいの軽いノリで見守られていたのかもしれません。
うーむ、またステージ変わりそうだな。
という精神的飛躍は置いといて、香肌小学校とグリーン・ツーリズムの話です。
香肌小学校に人々の視線が注がれ、親子山村留学ということで移住してくる家族が増えてくると、あっという間にその話があちこちで広がるようになったのが不思議でした。
増えているとはいえ、めちゃくちゃ頑張って宣伝して対応して伴走して、心地よく過ごしてもらえているのはめちゃくちゃ嬉しくてたまらないとはいえ、全体としては大きな数ではないのです。まだ数組10数人ですよ。全員把握できるほど、各学年も一桁代の数人の学校が、なぜ市にも県にも注目されて、文部科学大臣賞まで頂いているのか、あまりピンとこなかったのです。
評価される秘密がなにかあるなとは思っていました。
下記が最近のニュースです。ローカル紙ゆえ一部情報違いがありますが、優秀な教職員組織として賞を頂いたなんて、先生方の励みになれば嬉しくてたまりません。
昨年度もこんな賞を頂いているのです。これは地域に開放された図書館である「本処かはだ」の関わることですね。
確かに香肌小学校はユニークな公立小学校です。
地域の人が特別な用もなく出入りできる場所があって、児童皆が和気あいあいとしており、年中当たり前に豊富な自然体験ができて、学力もなかなか高いです。
その学校を選んで国内のあちこちから移住する家族が相次いでいるのは、少子高齢化まっしぐらで希望がなかったかもしれない地域にとっては明るい希望なのです。
けれどそれがなぜもっと広い地域や議員さんなどから注目されるのかがなかなかわからなかったのです。
それでグリーン・ツーリズムを学んでみてピンときました。
農山漁村の【課題】は
人口減少、高齢化による担い手不足、地域の伝承継続の危機、景観保全の危機
などもうどこの地域でもそろって待ったなしの危機感です。
【活用できるもの】としては
・地域資源を活かした食や体験活動
・その地域ならではの街並みや建物
・一芸に長けた人々とそのつながり
などになります。
それに対して【都市部のニーズ】は
・量産型でないホンモノの体験がしたい、子供にしてほしい
・豊かな自然や温かい人々に癒されたい
・その地域ならではの旬の美味しいものが食べたい
・「わぁ、こんなことまでできるなんて」という期待以上の感動を味わいたい
地域が活用できるものを最大限に活かして、都市部のニーズを満たせば
その人たちは地域のファンとなりなんなら仲間となって、移住してくることがあります。
そうすると農山漁村としては人口減少や担い手不足、伝統の継承、景観保全など様々な課題を解決する糸口となって
Win-Winの関係であるし、国政としても都市部に人口が集中しているより地方分散になっていかないと、市町村の存続ができないので、後押しをしたい流れです。
それを目指して提唱され、30年の月日をかけて磨かれてきたのがグリーン・ツーリズムであります。
都市部の修学旅行はもうほとんど農家体験になってきていると言いますし(※ここは田舎なので長女は楽しくディズニーランドに行きました)
インバウンド旅行も地方の農家民宿などを積極的に活用しての受け入れが推進されており、地方の経済活性化やともすれば人材獲得に大きな役割を担っています。
ああ、この時代のそんな大きな流れの中で、香肌小学校の親子山村留学活動が軌道に乗っていることが評価されているのだと合点がいきました。
香肌小学校の取り組みとして親子山村留学生に人気があるのは
・年間通じての畑体験が、調理実習や道の駅出荷など様々な活動につながっていること
・たくさんの活動を教えてくれる地域の人がその道のプロであること
・子供の体験を親も気軽に参加できて感動を共有できること
こんなかんじですかね。そしてまた活動は学校全体で行われることが多く、異年齢交流が学校内でも、また地域の人々との間でもあるのが評判です。
全ての活動がプロの指導ではないのですが、まさにホンモノである林業体験などが学校林で行えるのは確かにすごいことです。そこで伐り出した材をキャンプファイヤーに活用することや、田んぼ体験をしたお米や放流活動に参加したアマゴも実際味わえるということも、都会からの移住者感激ポイントになっています。
四季折々様々な自然体験や旬のものへの感動が、子供の公立小学校を通じて全部味わえるという、香肌小学校のグリーン・ツーリズム合致感にようやく気付きました。
「その道のプロ」とか「都会ではお金を払わねきゃできない」とか「親もやりたい」なんて感想が聴こえる度に、私個人は違和感があったのです。
なぜってもう既に、地域の人であってお客さんではなかったのですね。
顔を出した活動は押しなべてスタッフのつもりでの参加なので、慣れない子供たちにも楽しく活動してもらって、地域の人とつなぐことが役割でした。それがうまくいけば一番楽しかったのも事実ですが、体験したい欲はなくて安全に次につなげようとばかり思って活動してきました。
めっちゃ優秀なグリーン・ツーリズムインストラクターやったのかもしれません。
香肌小学校の親子山村留学活動は、グリーン・ツーリズムの目指すところであり都会の親子にとって最高の感動共有を提供している活動なのです。
地域に若手の人たちが移住してきてくれたおかげで、実際に担い手も増えています。
訳あって空いてしまった家の活用もちょっとずつできているし、移住者による地域経済の活性や交流の活発化など、思っていた以上に前向きな話題があちこちあります。
なにより嬉しいのは、実際に若い家族が移住してくれることで、地元の人たちの表情がなんだか明るくなったことです。
「もうこんな不便なとこ誰も住まんわなあ。子供らも帰ってこやへんし、孫らももう顔見せんようになって。コロナもあるし」と下向きだった人たちが
「なんやこんなとこに来たがる人がよーけおるんやな。そりゃ私昔からおって、ここで育ってきたええとこやに」と誇りを取り戻している感じすらあるのです。
そんな連鎖、嬉しくないはずがありません。
香肌小学校では今週もまた2人の児童の体験入学があります。
土曜日は松阪市の地域の元気応援事業で助成金を目指してのプレゼンテーションもあります。動きをやめない活動はこれからもしっかり成果を出して盛り上がっていく活動です。
わたしの大きな願いは、この飯高町の上流地域での豊かな自然と共にある里山暮らしが100年、1000年先まで続いていくことです。
バラバラにある全ての行動はそこを目指しています。
地域継続のためには人がいる、仕事がいる、子供らが笑って暮らしていることが大事です。
私はきっと大きななにかに見守られて、使命として地域活性の活動をあれこれ続けているのです。
だいじょうぶ、どーせみんなうまくいく!
時代の流れに乗って軽やかに、感動いっぱいに。
素敵な地域に、学校に、人々に関わらせてもらって本当にありがとうございます。
そして自分がやってきたことに筋が通ったことにも、大きく感謝感激しています。