はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由」
10にまつわるお題投稿の3つ目はこちら。
自給率7割で小さな農園暮らしをたっぷり楽しむ亀成園ですが、豊かな自然環境の中で安心して循環する暮らし方の肝となるのは、鶏の存在です。そうでなくても循環は可能かもしれませんが、鶏がいるだけでどれだけ楽で学びが多いか。その理由を10個挙げる機会にしてみます。一緒に暮らしてくれている鶏たちに愛と感謝を込めて。
【鶏がいていいこと10】
1.亀成園の卵はとんでもなく美味しい!
2.春に出会えるヒヨコはとても可愛い。
3.産卵率の変化からも季節感を感じられる。
4.鶏社会から人間社会が学べる。
5.生ごみがほっとんど出ない。
6.地域循環の中にいることが強くわかる。
7.ゲストハウスの売りを特別な卵ご飯にすることができる。
8.絞める体験を提供することができる。
9.天敵の存在を身近に感じることができる。
10.なんだか早起きできるようになった。
思いつくままにざっと挙げるとこんな感じです。卵の美味しさやヒヨコの可愛さ以外はちょっとわかりにくいので、ひとつずつ解説していきますね。
※亀成園についてはじめましての方は、HPありますのでこちらも参考にして下さい。
ゲストハウスのページは別ですが、リンクもしています。
まずは基本のところから
1.亀成園の卵はとんでもなく美味しい!
看板商品である卵2種は、園主の手間暇のおかげで、とんでもなく幸せを運ぶ卵です。
優しい味という表現を使うことが多いです。生で食べても火を通しても、押し付けがましさもなく雑味も少ない、ホッとする味です。
卵の味は鶏の環境や餌によって大きく変わります。調味料ほとんどなしでも笑みがこぼれる卵を、日常的に食べられる幸せがここにあります。
2.春に出会えるヒヨコはとても可愛い。
鶏が頻繁に卵を産む期間は2年ほどです。それ以降は時々産むのですが、すっかり勢いが衰えてしまいます。卵屋として回していくには、毎年新しい若い鶏を手に入れる必要があります。
既に育った若鶏を購入することもできます。ヒヨコから飼うのは、産まない期間も育てなければいけないということで効率良くはありません。けれど子供時代にどう過ごすかも大事だと考えていることもあり、亀成園ではヒヨコから育てています。
そしてヒヨコってほんとにもふもふで可愛いので、春は養鶏家の幸せな季節ですね。
運ばれたてのヒヨコたちです。頭の赤印は雄の印に付けられています。寝て食べて動いて、元気に大きくなっていきます。
3.産卵率の変化からも季節感を感じられる。
鶏って毎朝卵を産んでくれると思っていました。
量販されている卵は産卵率9割と言われています。10日に9個ということですね。
ところが平飼いの場合は気温の変化にさらされるのもあって、いい時でも7,8割だし、真夏や真冬や風の強い日、そして羽の抜け替わるときなどガクンと産まなくなるときが度々あります。
卵を売りたい身としては、そしてお客さんとしてもこれは困りますね。9割出してくれたらいいのに、とも思います。がその一方で、鶏の卵って工場生産じゃないんだと一番強く感じさせられるのがこの「産卵率の大変化」です。
かつて庭で鶏を飼うのが当たり前だったころはみな知っていたようです。
冬の時期の卵はとても貴重だったので「寒卵は濃い」などとも言われます。
一番卵が多いのはいつの季節だと思いますか?
4.鶏社会から人間社会が学べる。
これは亀成園のにわとりふれあい体験に来てくれたお客様によくお話することの一つです。子供たちはにわとりたちを追いかけて捕まえて触って草を食べさせて、という体験そのもので大満足ですが、大人は飽きるのが早いので(笑)、疑問に答えるプラスあれこれとエピソードをお話すると、喜んでもらえます。トークが売りの亀成園です♪
ざっくりと言えば、鶏たちもメスだけのときと、オスがいるときではちょっと様子が違います。メス同士、オス同士で格付けがあります。養鶏家が判断するいいオスはどんなオスか。メスに関してはデリケートな話になってしまいますが、ただ産めばいいというものでもありません。
種類の違う鶏たちや年度の違う鶏たちなど特色の異なる群れがあるので、実際に見てもらいながらの四方山話から学ぶことはわりと良い機会です。
5.生ごみがほっとんど出ない。
こちらはかなりわかりやすいですね。
家庭ごみの中で一番なんだかなぁと思うのは生ごみという方も少なくないと思います。水分の多い生ごみは、焼却する時に一番燃えにくくて余計なエネルギーが要ると聞いてからは、なるべく生ごみは出したくないと思って、野菜は皮ごと食べるし食べ残しもほとんどありませんが、ゼロにはなりません。私もかつては畑もないところに住んでいたのですが、プランターの土にしようと生ごみたい肥に挑戦していたことがありますが、水分が抜けないと臭いがきつくて、虫が湧いたりして、難しかったです。
ところが鶏がいると、出ないのです。食べてくれるのです。好き嫌いなく味が変でも気にしない鶏たちは、台所の救世主です。里芋やタマネギの皮は流石に食べにくいですが、鶏舎の床にまかれて早くに土になり鶏糞堆肥になるので、それも大丈夫なほど。
魚の骨なんか大喜びですし、虫食いの野菜も、虫の湧いた米など(たまにニワトリさんにといただくことがあります)も、おまかせあれ。
農薬のかかった果物の皮などは与えることはしませんが、基本的に野菜は自給ですし、鶏に与えられなさそうなテカテカしかものを買うことはありません。自分たちの食べ物と鶏がつながっていて、鶏糞堆肥がまた自分たちの食べ物につながる。小さな循環農業が成り立っています。
6.地域循環の中にいることが強くわかる。
これは鶏のエサに関してです。亀成園では新米の時期になって出てくる屑米(小さくて粒がそろわない米の破片。必ず出てきます)30キロを持ち込んでいただくと、卵1パックと交換するようにしています。古くなった米なども引き取ることができます。昔は米粉にして団子にしていたそうですが、粉ひき屋さんがなくなって処分に困っていた屑米が卵に変わるので、みなさん快く持ち込んでくれます。おかげで鶏たちのエサのベースは地域の米で賄うことができます。
亀成園規模でなくても、鶏を数羽飼い始めると、近所の人が処分に困った食材を持って来てくれるという話を聞くことも多いです。トウがたったり固くなったりしなびてしまった野菜とか、出荷できないデキの野菜など。周りで農に関わることやっている人がいると、必ず余りはあります。土にすき込むことが多いですが、鶏がいるのなら食べてくれたら嬉しいなと思うのが人情ですね。定食屋さんの刻みキャベツがやってくることもありますよ。Win-Winな人付き合いを鶏が仲介してくれているというのはいい話です。
7.ゲストハウスの売りを特別な卵ご飯にすることができる。
だいぶ長くなってきましたのでここからはテンポよく。
ゲストハウス亀成園は、朝食体験付き宿泊が基本です。自炊してもらうのですが、材料をこちらから提供するスタイルで、目玉食材は卵かけご飯の材料です。米と卵ですね。
鶏の声を聞きながら目覚めて、香肌峡の米を炊いて、前日採れた卵をかける。飯高のとっとき味噌の味噌玉も一緒に。
呼吸している卵、として感動してくれたゲストもいらっしゃいます。
8.絞める体験を提供することができる。
ちょっとヘビーな話ですが、生き物はみな命を終える時があります。そしてうまくいけば食材になります。亀成園でも鶏を数年で交代していかなければいけないので、長生きしたら処分対象になるのが養鶏の当たり前の話です。
大事に飼っていた可愛い子たちを絞めるのはいつだって心がグラグラしますが、やらなければいけないことです。罠猟師もしている園主は解体も上手です。
それをご希望のお客様に共に行ってもらうことができますよ。今年は何組も来られました。想いは人それぞれですが、命と向き合う体験を提供できる場所はそんなにあるものでもないので、遠方からでも足を運んでくれる人はおられます。
9.天敵の存在を身近に感じることができる。
鶏はとても弱い生き物です。自然豊かな場所で飼っていると、狙ってくる獣が多く居ります。だから鶏舎は丈夫にしておかなければなりません。そして番犬の存在が欠かせません。それでもやってきます。とりわけ秋以降の満月の晩などに。
養鶏家としては天敵の存在は困ったものですが、生物多様性を感じることがなにより好きな私にはこれも大切な機会です。やられては元も子もない中で、どう守るのか。天敵はどんな時にどんな動きをしてくるのか。
回収が遅れた卵をヘビが飲み込もうとしていたときは全身がぞわぞわしましたが、脅威が身近にあることを感じられるというのは、ぼんやりと安全な場所で生きているよりも、生きることを大切にできる気がします。里山暮らしのダークな側面も、またよし。
10.なんだか早起きできるようになった。
最後に生活リズムのこと。
そういえば私もかつては朝がとても弱かったのです。いまでも夜明け前に起きて夕暮れと共に寝るというようなリズムではありませんが、夜更かし遅寝が当たり前だった頃と比べて一日が充実していると感じることが多いのは、早く起きるようになったからかもしれません。
ストレスのほとんどない暮らしをしているから可能な気持ちよい早起き(といっても6時くらいです)に、コケコッコーの響きが重なります。ああ、彼らも一日を始めたなぁ、今日も美味しい卵がたくさんあるかなぁと期待しながらの朝は(期待が裏切られることもあるとはいえ)、控えめに言ってとても健康的ですね。
長々と4000字に達したな鶏と暮らすメリット10選!
深堀して聞いてみたいことがあれば、どうぞ亀成園に足を運んで下さいね。
話だけでなく、卵も大事ですね。
他の養鶏家さんたちはどう思っているのか。それもまた興味が尽きません。