これも素敵なお題です。
他の方の投稿を見ていると1冊の紹介がほとんどですが、いやぁ、そうはいかないでしょ。
1冊だけ選ぶなら100冊選ぶ方が楽です。
自分の思い出と子供たちのそれぞれのお気に入りもあるし、遊びもいれたいですから。
でも100冊は長くなりすぎるので断腸の想いで10冊選んでみます。
今年一番のドキドキかもしれません。
絵本と言えばやっぱりこれ、というのが誰にもあるのでしょう。
いつもいつでもこれとは言い切れなくとも、やっぱりこれは欠かせません。
田舎の丘の上に建てられた頑丈なちいさいおうちは家族の人たちの成長を見守りながら幸せに暮らしていましたが、周りが開発されて街になってしまって。
ウルトラCの解決策はあるのか。
やっぱり田舎で風に吹かれて暮らしたいよね、人も家も、という気持ちの原点がここにあるのかもしれません。そりゃぁ大事な一冊です。
同じ作者でこちらも格別に好きです。
乗り物絵本に入るのかな。この他にもケーブルカーや機関車など、擬人化されながら乗り物そのものの姿が描かれており、しょうぼうじどうしゃじぷたなどに通じるものがあります。
この除雪車は本当に働き者で、可愛らしさもありつつ見事に強い所に憧れますよ。
自分の役目をしっかり果たすとか、自分の世界を貫くという心は絵本から学びました。不遇の時期があっても腐らずに己の道を行く、そんな精神力を育むのにぴったりなのが『ウエズレ―の国』かな。
はみ出し者にされていたはずが、自分で楽しみを見つけ作り上げ、いつの間にか多くの人に影響を与えていく様が、堅苦しいストーリーでなくどこまでも面白く描かれています。自分で考えて挑戦して楽しむことを夢見させてくれます。
ここからは動物絵本が続きます。
幼いころから何度読んではしっとりとしてきたでしょう。アナグマに一目置く感覚は完全にこの絵本で培われました。
アナグマさんが亡くなってから森の仲間たちは彼との思い出を語り合います。こんなことして遊んだ。こうして元気付けてくれた。いろんな人と個々の関係性を大事にして、天寿を全うした後にちょっと思い出してもらえたら嬉しいなと心がけて生きているのはこの絵本のおかげですね。
次もまた古典です。
初めて飛べるようになったこすずめが、塀の外に飛び出してしまいます。疲れたから休みたくなるけれど他の鳥の巣には入れてもらえず、もう力尽きるときに現れるのは。
ステレオタイプではありますが、飛び出すことの楽しさと帰る場所の大切さが見事に詰まっていて、どんな時代のどんな子供にもゆっくり読んであげたい物語です。
ここまで外国の絵本でした。私にとって本は世界を広げるものなので、翻訳文化の強い日本出版界が本当に有難いです。絵本業界は外国絵本の紹介を通じて発展してきて、たくさんの良質な絵本に触れた子供たちが育って今を支えています。
日本の名作もまた素晴らしく、絵の雰囲気が全然違いますね。耳から入る言葉と豊かなイメージの世界にたくさん触れておくことが子供にとってなによりの栄養となるので、古今東西読んでもらう機会があったらいいですね。
これ、泣かずに読めたことが1回しかない私の琴線ですが、こんなの残してもらっていてなんて幸せなのだろうと作者様、編集者様など感謝感激です。
悪役として描かれることの多いキツネという生き物ですが、日本ではわりと親しみ深く伝えられることも多いです。その中でもこのキツネはとびきりです。
悪っぽくしているのにめちゃくちゃいい兄貴分。
グッとくるポイントしかない素敵な最高なかけがえのない、キツネです。
涙をこらえて次です。
基本的に私は物語の言葉を呑んで生きているタイプですが、探し絵とか絵巻物も時々とりいれて絵から話を作ることも好きです。
恐竜進化の絵巻とめちゃくちゃ悩みましたが、馬場のぼるさんに敬意を表して、絵巻のお勧めは11ぴきのねこにしました。
ずっと続く道(多少障害あり)をねこたちが走っていくわけですが、サイドストーリーもたっぷりあって、手元に置いて時々楽しむ大型絵本です。柔らかいタッチのシンプルな絵なのにちょっとした線で表情がしっかり描かれているので、見飽きないし想像力掻き立てられるし、面白い絵描きさんの力を見せつけられてうっとりします。
めちゃくちゃ細かいところまでしっかり描きながらメッセージを伝え続けた絵本作家さんの一人にかこさとしさんがいるわけですが、わりと初期の『かわ』も絵巻っぽくて何度も見返す絵本の一つです。
山の上流の細い湧き水が流れ流れてどんどん下って、川の周りに自然や人の暮らしがあって、街まで続いてさらに海へ。
シンプルなイメージをここまで描き込めるのはどれほどの想いがあってのことなのか。古い本ですが、いまだに子供たちと共有する作品です。
自分が絵が描けない分、探し絵要素のある絵本は特に惹かれます。表現っていろいろあってよくて、自分にできることはほんの一部ですが、もっといろいろ好きでいることはできます。
安野光雅さんもまた好きな作家さんで、旅の絵本や数学の本などあれもこれも選びたいけれど、1冊決めるならこれになります。
タイトルがいいですよね、『もりのえほん』
やはり好きな本と言うのは自分にとって本質的に大事なものを包み込んでくれているのだと並べてみて納得します。
この絵本は森の一見静かな景色の中に、いろいろな生き物が隠れているという設定で、獣も鳥も虫たちもフラットに散りばめられています。本当に大切な一冊です。
さぁ、10冊目最後はかがくいひろしさんを推したいです。どんな赤ちゃんも夢中になるだるまさんシリーズはうちもめちゃくちゃお世話になり、そこからかがくいひろしさんを一通り手に取って、あれもこれも面白くて大好きな中、ひょうきんな3人組が織りなす『がまんのケーキ』に決めました。
約束と思いやりと欲望と言い訳と。
優しくありながらおおらかに楽しく生きていくことを示してくれます。
絞り出した10冊は古典といえるほどの作品が大半でした。新進気鋭の作家さんたちも応援するものの、やはり子供の頃から親しんでいる作品に軍配が上がりがちですね。
私の子供たちは大人になった時にくどうのりこさんの「ピヨピヨ」シリーズや「バムとケロ」なんかをおすすめの一冊として挙げるのでしょうか。やまんばの娘であるまゆの絵本や、鈴木まもるさんの鳥絵本なんかも入るといいなぁと遠い未来も楽しみになります。
私の大事はどうにも動物と森とそして安らぐ場所とわずかなつながりになるわけですが、子供たちの大事はきっとまた違いますからね。とにかく美しいことかもしれないし、悲しみが上位に来る可能性だってもちろんあります。うん、楽しみしかない。
どうしても1冊に絞れなかった大事なセレクトを最後に。
自分の一部は間違いなくアーノルド・ローベルに育てられた気がします。
今年一番のドキドキをこれにてクリアです。
選んでみると納得の、安心の、なんだか幸せなリストになりました。
絶版にならなさそうなタイトルばかりですが、永きに渡って守られているのは絵本好きな人々とそれなりに平和な社会おかげですね。
あ、忘れてたの思い出してしまったけれど、またの機会に。
浸りたい絵本が、読みふけりたい物語が多過ぎる。