勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

揚げパンの幸せな香り

小中学校の給食は、毎週水曜日がパンの日で、コッペパンや黒糖パン、バーガーパンなど週替わりでいろいろあります。そのうちの二、三ヶ月に一度、あげパンの日があります。パン屋さんから運ばれてきたコッペパン給食センターで素揚げにして、熱いうちにきな粉をまぶして袋に入れていきます。油にパンを入れる人、油からパンを出す人、パンにきな粉をまんべんなくまぶす人、袋に入れて並べる人と、一度に四人がかりで作るメニューは数ある給食献立の中でもあげパンだけです。調理員の手伝いをする私もこの日はやや緊張しつつ、楽しみにしつつ、調理場に入ります。バラバラに仕事をすることが多いので、短時間でもみんなで協力してひとつのメニューを仕上げるのは楽しいものですね。

 

私が小学生の時は、時々あるあげパンの日がちっとも楽しみではありませんでした。大体おかずと合っていなかったし、べちゃっとしてベットリ甘いその頃のあげパンは、楽しみにしている子もいたけれど私には美味しいものでもなかったし、口の周りも机の上も汚れてしまって、普通のパンでいいがなと毎度思っていました。

 

なのに給食センターで一緒に作るあげパンのなんて食欲をそそることでしょう。給食の行程の最初であげパンを仕上げてコンテナに入れておくと、その後他のできた献立を入れに行くときにとびっきりのいい香りが漂います。できたてほかほかのあげパンを運ぶ時のぬくい感じも格別のものです。

 

給食センターでは、全部の配膳が終わった後、食器や器具を洗って片付けしまわないと食事にできないので、食べるときはもう冷めてしまっています。もちろん袋を開けるといい香りがしてくるので十分幸せに浸れるのですが、一度ホワホワの温かいやつをほおばりたいものですね。子供たちの食事はまだ温かいのを食べられたのでしょうか。さっさか配膳を済ませ、挨拶をして、ぬくもりの残るあげパンを味わってくれたことを願います。ちなみにおかずはかぶのポタージュと海藻サラダだったので、本当によく考えられていると感心します。写真がなくて残念ですね。