勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

ご近所アドベンチャー

この時期は農閑期なので比較的忙しくないとはいえ、田舎で農的暮らしをしていると敷地内でもやらねばならぬことはいろいろあります。それでも天気も体調も良くてイベントも練習もない休日は、子供たちを連れて近くの山に出かけたくなります。ここは山に囲まれた谷あいなので、ちょっと登るとあっという間に息切れ簡単な登山ができます。うちの裏山でも未開拓な場所はまだいっぱいだし、近所で行ってみたいところには事欠きません。その中で、余り装備も必要なく幼児連れでも楽しめるところをリサーチしてストックしておくのが密かな楽しみ。お父ちゃんの秘密メモに従って、亀成園の子供たちはどこへ連れて行かれるやら。

 

先月訪れた高鉢山は香肌富士とも呼ばれるツンと尖った山で、高さはさほどないものの、驚きの傾斜でロープを必死につかみながら登りました。帰路は別コースの林道でさらっと降りれたのでロープ登山が必要だったのかはわかりませんが、腕と脚を鍛える思わぬ苦行になりました。

 

この予想外に大変だった日帰り登山で、子供たちは食料不足に苦しんだため、先日の高見山近郊冬山ではたっぷりおやつを持参しました。前日のふるさと祭りに出演したご褒美にもらったお菓子セットをそっくり提供するという驚きの気前の良さでした。我が家では自分がもらったおやつでも基本的に家族6人に配分するという別に強制したわけでもない習慣があるので、もらったおやつはいつもつい出し渋るのに、山歩きに空腹は耐え難いというのを一度経験したので、大きく一皮むけました。やはり人間経験に勝る教師はありません。

 

というわけで朝9時半発、昼ごはんには帰ってこようという軽いノリで雪を求めてうちから更に山の方を目指しました。なんせ高見山樹氷の名所です。前日に知り合いが雪山の様子を投稿していたし、雪はあるはず。滅多に使わないスキーウェアをかき集めて出発です。ただし我が家のファミリーカーは未だにノーマルタイヤ、それも買い替え寸前のツルツルです。途中本格的な雪道になり次第車は使えないという条件のもと、とにかく行ってみました。

 

飯高町でもうちより山側にある波瀬地域、川もさらに綺麗で大好きなのですが、用がなければなかなか通ることもないので高見山の道を久々に行くだけでなんだか嬉しい。トンネル手前の脇道にたっぷり雪が積んであってテンション上がります。旧道に進んでしばらく行くとチラホラ雪で滑らないかハラハラです。途中で高見山への道と滝への歩道に分かれているところでもうハラハラに耐えられず車を降りて歩き始めました。

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ちょっと登れば展望台、降りれば滝への道でぐるっと回れば戻ってこれる、ということで滝コースを選んでみたもののそう簡単には行けませんでした。ここは木梶三滝と呼ばれる滝めぐりの登山道があり、女滝と不動滝の二つはぐるっと回ってまた戻る道がついていたのですが、いつの土砂崩れでか、すっぽり抜け落ちておりました。崩れた向こうに登山道が続いていますよ。

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いつか修復するのかな。果てしない山仕事にちょっと思いを馳せ、気を取り直して残りの一個、白滝へは行けそう、でもギリギリの急傾斜。登山道に入って開始わずか10分弱でもうアドベンチャーです。

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しらたきを上から見るところには行けました。確か下から見上げる場所もあったはずですが、深入りは禁物です。行きやすければもっと知名度も上がってよさそうな見事な瀑布です。故郷の箕面の滝のおかげか自然風景の中でもとりわけ滝が好きな身にはここにいるだけで満足です。

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でも進む道はあっさり滝上を行くのです。なんと美しい冬の川。

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夏ならすぐにでも飛び込みたいところですが、季節は雪と氷の残る頃です。なにやらこの先へ行くには川を渡るのが前提らしい。随分足の運びをシミュレーションしましたが、飛び石の一つが完全にツルツルの氷をのせているのが見えました。丸太を持ってきて橋をかけるか、いっそ覚悟を決めて…

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撤退ですね。お疲れさまでした。

 

分岐に戻ってもう昼近かったのですが、せっかくおやつもあるし展望台へ行ってみました。そしたらこちらは傾斜もほとんどないような歩きやすい道で、日当たりの良くないところでは斜面を伝って落ちて来た水が固まった氷柱が見られました。昨年度はうちの近所でも冬の間はわりと珍しくもなく氷柱がありましたが、今年は暖かく氷もあまり張らなかったので、こんなに次々と氷柱があって一気にテンションが上がりました。

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純粋な氷は美しく、ここなら毎日でも氷柱は更新されるに違いないので気兼ねせず手に取ることができました。手は冷たいけれどすべすべした手触りは、素手でつかむ価値があります。なかなか雪もなく道もないところを歩いて疲れていた子供たちも氷柱のおかげで一気に元気になりました。

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展望台にくるとここにも滝がありました。さらりさらりと淀みが流されていくようです。

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この日は午後にチョコレート作りというビッグイベントが控えていたので半日足らずの遊びであっさり終了です。それでもちょっと出かけた甲斐はあったもの。近所の冒険がたまらなく楽しい田舎暮らしです。