最近出会う方にことごとく驚かれるのは、私の息子溺愛ぶりです。男の子が可愛いとは聞くけれど、こうも堂々と溺愛をさらけ出している人また珍しいとのことで、まあ呆れられておるわけです。
隠そうとした時もありましたが、自分に無理をかけてはいけないし、どうも溢れ出てしまうので、もうお構いなしに人の呆れには構わず溺愛を貫いて、11年。
そう、愛息子は11歳になってしまいました。
えっ、11歳ってやけに大きいなと時間を進めたくなかった母はショックを受けました。5年生ってもう立派な高学年です。10歳の半分成人式はスルーしておりましたが、ただでさえ少人数の学校では高学年であることをスルーするわけにもいきません。ああ、どうしたものかとの嘆きは、幸い取り越し苦労になりそうです。
母にとってはいつまでも小さな可愛い坊やなのですが、頼りになる姉が卒業してしまって、自分が高学年であることは、親が思っていたよりずっとわかっていたのです。姉の影に隠れて何もせずできないように見えていた子はどこに行ったのでしょう。
早起きになりました。
できる仕事を自分で見つけて増やすようになりました。
都合の悪いことを言われてもすぐにヒステリックにならずに落ち着いて受け止めるようになりました。
4年生のときはなんだか気難しくて時々腫れ物に触るような雰囲気になっていたのに、不思議と急に落ち着いた空気をまとうようになりました。
子供の成長は本当に突然です。あれっと思った時はもう戻れない時間を飛び越してしまっていて、なんだかおかしいなと戸惑うのはいつも親なのです。
いつまでも可愛い愛息子には違いないけれど、なんだか立派になったと感じられるのはまた嬉しいものですね。
ここで一首を心掛け
「立派ね」と言い続けて早11年 息子の背筋が急に伸びた
今までなんだかだらんと過ごしていた彼の背筋がしゃきっとしていたのは幻ではないはずです。背筋伸ばそうね、とのれんに腕押しのように声をかけてきたのが急にしっくりきたのでしょうか。本当によくわからないけれど、息子は立派に11歳になりました。
プレゼントは夏の昆虫採集に使えそうなメッシュの虫かごと新しい帽子にしました。
私のイメージでは昆虫博士なのですが、彼の現在の興味は釣りなので、お父さんからの海釣り用品のほうが価値が高かったようです。うん、見事に置いてけぼりですよ。でもこれがまたいいなぁと母はめげません。
10年母の庇護で育った少年が、父さんと釣りに行く。そんな育ち方はあまりにも理想的なのですもの。本音を出せば、母さん、釣りにそんなに興味がないということで。世界を広げていく子供の帰る場所で居られるなら本望です。
姉たちからのプレゼントは、手作りケーキでした。弟に何をあげていいかもはやわからないけど、甘いものは喜んでくれるだろうし、自分たちも楽しいしという見事な妥協策で母さんも手間いらず。11歳なので、長いろうそく2本で済ましていたのも合理的で流石でした。中学生の姉たちです。私がやたらお菓子作りをしていたのもこの頃だなと懐かしくもなれるのが親の醍醐味ですね。道具とかもう少し、そろえてあげようかな。
誕生日のご馳走は、下手すれば山菜尽くしだったのですが、鹿の内ロース(豚で言うヒレの部分)をローストしたのが絶品でした。少し前にお父ちゃんが地域の方と燻製したベーコンも厚切りで満足感ありましたし、そこにイタドリやわらびなんかを加えてこの時期にしか食べられないものをふんだんに使ってみましたよ。好き嫌いなく育ってくれていて本当に助かります。
棋士になると宣言していたのは遥か昔になり、WBCの影響で野球への興味もいつまで続くやら。恐竜に夢中だった頃も、昆虫博士の道を進んでいた時代も、全てが大事な軌跡です。いろいろなことに興味を持ちながら今を楽しく生きている息子の未来は変わらず楽しいって期待もせず信じています。読書家で目立ちたがり屋なので、もしかして演劇の道に行くのかな、なんて妄想をさせてもらえるのも親の幸せですね。なんだかんだ好きな本は三国志なので、マニアックな世界へ進んでいくのかもしれません。いずれにせよ、11年ずっとそばでニコニコしてくれて、今も元気に笑ってくれているだけでパーフェクトです。一貫した溺愛報告でした。