今週のお題「住みたい場所」
都会の郊外で育った私は、住まいに関して、育った社会について特に不満があったわけではありません。駅から10分弱、図書館も近く公園も近く、小学校は2クラスで中学校も5クラスで習い事もいろいろやっていました。庭もあったし恵まれていたほうだとも思うのですが、小さな頃からいつも「もっと田舎で暮らしたい。山がすぐ近くで川のそばで生き物が多様にいるところで暮らしたい」と思っていました。今ふりかえればなので、ずっとそう訴えていたわけではありませんが、現在移住してきた場所を迷うこともなく自分の住処に決めたのは、どこかで描いていたからに違いありません。
・川というか清流に近いところ
・山に囲まれた谷の集落
・畑と田んぼと茶畑がある
これを最大の最低条件として、子育てにふさわしい場所を描いていたのです。
ちゃんと見つかってそこで子供たちが育っているのだから、思いの強さは形になるのだと嬉しくなりますね。
夏の田舎は特に憧れでした。川でスイカを冷やすこと、大きなカブトムシやオニヤンマを捕まえること、渓流釣りに田んぼ仕事など、焦がれるようにやってみたかったことがいつの間にか身近になるとは人生は楽しいです。
飯高町は思っていた以上に歴史があり、なにより小学校が最高です。
本当に児童減少が著しくて、あと何年持ちこたえるのか不安になろうと思えばどれだけでも不安になれる現状ですが、残るイメージを描いています。
なにせこの学校では、豊かな自然体験が確かにあるのです。
普段の環境も恵まれており、児童と先生や地域の方との関係もよく、給食もおいしくて、体験内容のレベルも高いのです。
そんなこんなは小学校のHPで掲載されていますが、児童に人気の高い活動であるアマゴの稚魚放流とアマゴ釣り体験が、YouTubeに上がっているのでリンクしておきます。
14分の番組で、前半が低学年、後半が高学年です。
メディア掲載不可の子以外、どんどんインタビューにも答えて、礼儀正しさや素朴な可愛さが伝わります。
低学年の頃に自分たちが放流させてもらったアマゴを、高学年になったら釣って、学校全員分の下処理をして、みなで食べることまで体験できます。自分のためだけでなく、学校皆の分を釣ろうと自分から思う子供たちなのです。助け合いの伝統が受け継がれている稀な学校で、いつもきびきびと人の役に立つ児童が現実におります。
櫛田川に残る漁業協同組合のおかげで、児童は毎年アマゴの食味体験もさせてもらっており、食の細い子も丸一匹食べて、おかわりを求めるようになりました。みんなでいっぱいアマゴ食べたなぁってことは、ずっと残る体験ですね。
自分の子供たちが育つ様子だけでなく、児童全部を見守り、愛おしむことができるとは、移住前は夢にも思いませんでした。そして自分もまた地域の大人たちに可愛がってもらっているなと感じられるのが暮らしていて安心感があります。
ただ自然豊かなところにいても、何をしていいのかわからないことがあります。もちろん伸び伸びはするのですが、直に退屈するのが目に見えています。その点、人に恵まれた地域で暮らして、社会に溶け込んでいくことができたら、周りの人に沢山の事を教わって、感激しながら体験を重ねて育っていくことができます。この地域もいつまで知恵と体験を持つ人たちが残っていてくれるのかわからないところもありますが、今はまだ私たちも学べるし、学校と地域が連携していて豊富な体験を提供してくれています。
子育てが一段落してからではもう遅いかもしれません。学ぶべき人がいなくなってしまっているということもありえます。過疎高齢化は急速に進んでいて、少子化も待ったなしで、そのうち中高年だけがぽつりと半ばゴーストタウンに取り残されるという未来もあります。目をそらしていいことといけないことがありますね。
私は子供たちと一緒に谷に笑い声を響かせて、自然豊かな環境で子孫繁栄を願っているので、地域が丸ごと残ってほしいです。危機を乗り越えて、住みたい場所をよりよい場所にしていきたいです。そのためのキーワードが恵まれた小学校であり、美しい川であり、温かい交流だと思うのです。
小学校のHPリンクを載せておきます。
「親子山村留学」に飛び込む人を待ち望んで。未来の仲間に届く声がありますように。
一年前に書いた詳しいアマゴ放流の記事はこちら。
こんな体験をしたい子供たちはもっとたくさんいるのです。独り占めにする気はいつだってなかったです。田舎で子育て、最高ですよ。