勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

超小規模校の未来を考える会でした

学校規模適正化という話が昨年度から松阪市で沸々とした話題になっています。

今年度はひとつの小学校で学級数が5学級以下の過小規模校に限った話なので、ちっともご存じない方のほうが多いのですけれど、香肌小は適正化対象校(3学級)であるゆえに早めに情報が入ってくるわけです。

適正化の基本方針というのが公開されていて、対象校に関わる人々に説明があり、今後の話が再三に渡ってなされるというのが今年の流れです。

松阪市立小中学校の適正規模及び適正配置に関する基本方針

 

公立で小さな学校を残し続けるというのは少子化が見えている社会においては確かに非効率なのです。高度経済成長期のように子供があふれかえることはないし、教員の人員不足もあるし建物の老朽化もあって、市町村の小・中学校全部を残すわけにはいかないという文部科学省の言い分もまあその通りではあるのです。

 

ただ、適正化の大義名分としての「子供たちにとってより良い教育環境」というところで現場とのズレがあるのが今の状態です。全ての児童・保護者・地域住民にとって香肌小学校のような小さな学校が望ましいわけではないですが、現在この学校に関わる人にとっては、今の姿が望ましくて、この小規模な香肌小学校でなければ選ばない人がたくさんいるのです。

その生の声を共有するのにうってつけの機会になりました。

「香肌小学校の未来を考える会」として、コミュニティスクール委員らを中心に集まりが設けられました。平日夜にも関わらずほとんどの保護者が出席して、少しずつそれぞれの想いを語りました。

それを受けて、波瀬・森・川俣の住民自治協議会の方も改めてこの学校を守り、応援する意思を強くしてくれたような会になりました。

 

具体的に共有されたこととしては

「以前の学校には行きたがらなかった子供がこの学校なら行くと笑顔を見せてくれた」

「子供のことで母親として悩み抜いていたが、ここに来て救われた想いがある」

「個性をそのまま認めてもらえている。多様性を謳わなくてもそれができる環境」

「子供が個性を押さえ付けずにいられて、地域の人の助けが当たり前にある開かれた学校はこれからの教育のモデルとして先陣を切っていくのにふさわしいほど」

などなど、言葉そのままではないですが、そんなニュアンスのことをしっかり共有してくれました。

 

学校は誰のためかというと、子供たちのためであるのが最優先ということで、校長先生が子供たちの声も集めてくれていて、読み上げてくれました。

「自分らしくいられるところがいい」

「学年関係なく仲良しでいられる」

「たくさんの体験があって楽しい」

「人前で話すことが苦手ではなくなった」

「地域の人がいろいろ教えてくれて楽しい」

などの声があり、素直に真っ直ぐ環境を受け止める子供たちの姿が浮かび上がり、親が理想を押し付けているだけでないことも伝わりました。

低学年は「楽しい」くらいの声しか上がらなかったのですが、校長先生に直接楽しいって言えるんですね。

 

人数が増えたといってもまだ20人の学校です。この地域で生まれ育つ子は圧倒的に少ないので、わざわざここに通うためにIターンなりUターンなりしてくる家族が続いていかなければ、すぐに消滅してもおかしくないような人数ではあります。

けれど一旦ギリギリまで減った後、確実に人が増えているこの流れは、信じるに足る強さです。

 

香肌小学校の未来を考える会を開いたことで、意外にも保護者らの声が直接地域の方々に伝わることとなりました。その声は今後更に伝播していくはずです。元々底力のある住民らが、足元の豊かさと可能性を感じて、心の温度を上げる機会となったように思います。学校に近い地域だけでなく、この三月から広い三地域それぞれに分散して児童の姿があり、見守りや楽しみの目が増えていたことも後押ししています。

大好きな香肌小学校を卒業したい。

子供たちからの声は強くふくらんでいます。

 

さて歩みを止めない親子山村留学生募集の活動も、来月11月はとりわけ大忙しですよ。

オンライン説明会2回、オープンスクールに、夏に来られた方の体験入学もあり、種まきも水やりも日当たり確保(比喩)もいろいろです。きちんと成功体験重ねていきまっしょい。

www.kahada-es.com

学習発表会もあって、子供たちもおおわらわですが、また乗り越えて成長してくれるのでしょう。

親としての学校に対する基本的な気持ちは感謝に溢れています。我が子が通う学校にわざわざ編入してくれて、ここでの暮らしを存分に楽しむ人々にも感謝でいっぱいです。満月の夜はありがたいこと全部抱きしめて、子供たちになによりありがとうを。