勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

ドイツ語の小さな思い出

ゲストハウスにオーストリアからのお客様が来ています。雨の中、レンタカーでなくバスで、野菜好きで朝の時間はヨガをされる地球に優しそうな人たちです。

 

以前もスイスの方やフランスの方などお越し頂いたこともあり、皆様豊かな自然と地球に優しそうな亀成園の暮らし方に満足して下さったので、今回もきっといい出会いだなと思います。

それでもオーストリアからのお客様は初めてなので、ヨーロッパのどの辺りだったかなと改めて調べたり、世界地理や歴史を少しなぞったりしてみました。ちょうど中学校で世界史を学んでいる長女や広く歴史物語の好きな息子ともいろいろな話をするきっかけとなりました。日本の山奥で田舎暮らしをしながらも思いがけず世界はつながっている感覚を受け止められるのはとても有難いことです。

音楽好きとして憧れながらも今まで縁のなかったオーストリア、なんだか素敵なところに満ちていそうですよ。

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さて、外国の方がいらした時、園主は自力で英語中国語対応ができるのですが、私の場合はそうでもありません。何年経っても進歩のない語学レベルの哀しさよ。

その代わりでもないですが、カタコトの挨拶はなるべくその方々の母国語でできるようなアンテナは張っています。つまり今回の場合はドイツ語で「おはようございます」や「ありがとう」「よい旅を」なんか言えることを課しています。外国のお客様も「Arigatogozaimasu」「Wakarimasu」あたりは日本語を意識して下さる場合も多く、お互いへのちょっとした思い遣りがいいなと受け止めておりますのでね。

 

というわけでカタコトのドイツ語を発してみて思い出したことがあります。20年前のことですね。

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両親の知り合いが半年ほどドイツに居ることがあって、遊びに来なさいとのことで9月の3週間ほどドイツ周遊をしたことがあります。大学生の時間はゆったり自由です。遊びに行ったのに知り合いのところに滞在したのはほんの2日程で、あとは気ままな一人旅を計画して楽しんでいたというなんともわがままなたくましい女学生でした。ちょうどその頃ドイツ哲学を学ばなきゃいけなかったので、現地を旅することで勉強した気になりたかったのです。何にも覚えちゃいないことも白状しておきますけどね。

鉄道が発達していて、ビールとソーセージが美味しくて、グリム童話が散りばめられたかの国は気ままな旅に最高でした。すっかり忘れていましたがその旅の中である試みをしていたことを、ドイツ語挨拶をしたことで急に思い出したのです。

昔から旅には日記が欠かせないタイプで、今はブログやSNSに代わっておりますが当時はノートでした。いつもの旅は自分語りの日記でしたが、ドイツ旅行は手紙形式にしたのです。それも一人の人に宛てるのではなく、いろんな思い出す友達30人だったか50人だったかそれぞれに宛てての架空の手紙を日記代わりにしたためました。

何を書いていたのか誰に書いたのか残っていないので思い出せないし、他愛もないことだったとは思うのですが、書き出しをGuten Morgen(おはよう)とかGuten Tag(こんにちは)、結びをTschüss(さようなら)とかにしてたなぁと、急にそれだけ思い出しました。そんな基本単語すらもう思い出せずカンニングしましたけどね。

すぐ使えるドイツ語挨拶9選!ドイツ旅行の際にはぜひ覚えておきたい | 海外赴任・留学・資格に強いドイツ語教室・スクール - アイザックドイツ語ニュース

 

幼馴染、新しめの友達、親戚などなど散りばめてその日その日にあったことを報告するような1ページずつの手紙日記を書くことが、とっても楽しかったです。決まりはないけれど、ふと行く先々で思い出す人がいることを自分に課してみたのです。

今も昔も人付き合いは広くカツちょっと深くがスタンスのようで、マメに会うより想うことを大事にしています。つるむことは苦手で、だけど一人一人をかけがえなく大切にしているつもりなのです。まあ一人旅の先で思い出されたって相手に何をもたらすわけでもありませんが、その前に長い旅に行っていた友達から「なんかよく思い出したよ」と言われたことが私にはすごく嬉しくて、旅先で自分は誰を思い出すかなとやってみたくなったのです。

そりゃ外せない人もいれば、意外にこの人かと我ながらびっくりした人も。それぞれにドイツから語りかけた手紙日記のことを、20年経って思い出したというだけの話でした。

 

さてご滞在してくださったオーストリアのご家族は、日本に来て誰かのことを思い出しているのかな。

宿業を営んで三年程です。以前泊まった友達に聞いて知ったという方に会えて、また友達を紹介して下さるということもあり、みんな誰かとつながっていて、そのつながりの一端を担えることもできるのだなとの気付きはしみじみ嬉しい役割です。限られた時間の中で、どんな言葉で誰を想いながら過ごすのか。お盆シーズンということもあり、そんなことを考えていました。