まとめるのすら失念しそうになるこのていたらく!
自分で決めたことは守るのだ。
毎日詠めなくても毎月添削してもらっているのだから、残すのだ。
きっとその先につながるものがあるはず!
ということで7月、8月、9月の短歌まとめです。
「五十輪のヒノキを倒し皮をはぐ。十一歳の林業体験」
個人的にめちゃくちゃ好きな場面です。
小学校裏山で林業を学ぶ5、6年生を見守っていたときです。
50年前のPTAで植林した木の伐採現場に11歳の息子が居合わせました。
時の流れ、地域の歴史、息子の今とその先もふとつながったとき。
「織姫より蠍の似合う女(ひと)もいる 毒まき散らし夜毎ほほえむ」
ロマンチックな七夕に合わせようと試みたものの(彦星息子がただいま、みたいなマジでどうでもいいやつ)
うん、私はどうしたって字のきれいな機織り上手な織姫ではないわさ、と僻んじゃって
さそり座として夏の大三角形を眺めることにした歌です。
山暮らしなのであっという間に沈むけど、さそり座ってかっこいいから大好きです。
さそりっていつか入れ墨いれたいモチーフの一つだよななんて無責任に考えています。
予定はないけど入れ墨柄を妄想するのが結構好きな私に、山の上でトンボが引っ付いて離れなくなって、これもありかと詠んだのが
「手の甲について離れぬ赤トンボ惹かれ合う個体たまにいるよね」
100匹を超えるトンボが居たのに、私に寄り添ったのはその1匹
何首にも挑戦してみたくなる出来事がときどき起こって嬉しいです。
8月のもうひとつは
「その日決め志摩の海に飛び込んだ雨も一緒に家族も一緒に」
台風の合間に海水浴を決行したときです。海の雨は思ったより痛かったけど、一緒なら楽しい。そんな平和な一コマ。
9月は極最近のですね。音にこだわった2首になりました。
「耳すまし手鎌でザクザク音奏で稲刈り楽しや秋風ぞ吹く」
収穫量も大切ですが、作業中の音に惹かれて仕方がない。そんな人もいるから田舎暮らしは楽しくて豊かだよとほんのり伝わったらいいなぁ。
さてそんな耳の感覚が好きな私ですが、学校の参観では耳の聞こえない人が講師として来てくださいました。
「手で話すというより顔身体ごとわかり合いたいヒトの声を」
歌というよりポスターの標語っぽくなって歌人の先生の反応はよろしくなかったですが、サークル仲間の一人が気に入ってくれたのでこのままで提出となりました。
短歌9か月。まだまだ一場面をサッと切り取るよりも標語になりがちです。
詠み手の癖もあるし、私は日常ふんわりよりも伝えたいことがあるのですかね。
夏の短歌を並べてみると、木の伐採、毒、鎌と切ったり刺したりの共通項が見受けられました。以前から私はそればかり歌っているわけでもないのになんだか不思議でした。尖っていたのかな、この夏は。
どうしたって人の中身が浮き出てしまう31文字です。
内面磨いてゆったりと、でもちょっと鋭く切り取りしていきたいですね。
前回のまとめと最初のまとめ↓
さて、今月下旬に「飯高文化祭」という地域のイベントが3年ぶりに行われますが、そこでも1首提出になっていまして
3月に詠んだ次女が卒業の際に万感込めたのを選びました。
「制服着て多幸良(たこら)の丘を巣立つ朝六年ここで大きくなれた」
もうすっかり中学生となり巣立ちっぱなしなので、切り取っておいてよかったなとしみじみできる有難さひとしおです。
うん、やっぱり無理せず満足感を込めて歌っていきたいです。いつだって機会はあって、共有できる仲間がいる感謝が深まってきました。