地域に根ざして楽しく活動することを目指し、少しずつ本番を増やしてきている金管バンドとして、先日隣町の保育園に訪問演奏してきました。ちょっとしたクリスマスコンサートをやってみることができた楽しい時間でしたよ。
このバンドでは今までも福祉施設での慰問演奏や地域の文化祭なんかの機会はありましたが、そこではやはり演歌や歌謡曲が人気です。昔の曲は長く愛されているだけあってしみじみと心地良いメロディーで、『川の流れのように』も『いい日旅立ち』も『津軽海峡冬景色』も演奏に参加してみて好きになり直した曲です。観客受けがよいのは『高校三年生』と『きよしのズンドコ節』で、この二つは高音がかなり大変なんですけどね。
とまぁ、年齢層高めの方々向けの演奏もよいのですが、時には子供・若者相手に吹きたくもあるものです。中学生との共演も楽しいけど客演の遠慮はあるもので、単独ゲストはやりたい放題です。
というわけで良い機会を頂きました。
現在そこの園長先生はうちの息子が保育園年長さんのときに担任をして下さっていた方で、地元メンバーみながよく知っているというつながりです。長い時間かけて親子で見守ってもらってきているなんて、なんだかとても幸せですね。
園児たちに向けたクリスマス演奏でしたので、曲目は以下
さんぽ(となりのトトロ)
四季おりおり(春が来た、海、真っ赤な秋、雪やこんこんのメドレー)
ツバメ(YOASOBI)
ハッピーバースデー(12月誕生日の子にむけて)
We wish your Merry Xmas
きよしこの夜
ジングルベル
勇気100パーセント(忍たま乱太郎)
この8曲で30分程度の会でした。
私は相変わらずトランペットの低いパートで地味に音を合わせることを必死になって吹いておりますが、ジングルベルは昔取った杵柄で鈴の担当を楽しみましたよ。めちゃくちゃラッパを吹き鳴らしたい欲望と、打楽器で支え続けたい欲望との狭間で今年度の音楽活動も終わっていきます。
そんな私の成長しない軌跡はともかく
生演奏に触れた幼児の反応こそ記しておきたいものなのです。
大きく分けて反応は3つありました。
①知ってる曲を口ずさんでくれる
②地味な曲の時は逃げようとする
③何人か立ち上がって吹き真似をする
①は欲しかった反応ですね。さんぽや勇気100パーセントはともかく、ツバメは知ってるのかどうか賭けでしたが、十分な園児が知っていた曲だったので好反応でした。
NHKでいろんなキャラが踊っているらしく(貼り付け再生はNG)、動き出す園児もいました。
②のスローな曲で逃げ出す、は素直な反応なので、何の問題もありません。興味のない音楽を我慢して聴くなんてこと、ほんとは大人だってしたくはないのです。でも中には静かな音楽のほうが好きな人もいるわけで、ここが多様性を認める練習かな。ずっとワイワイ盛り上がってるいるだけでなく、しっとりパートは価値ある時間なのです。アップテンポで惹きつけられて、バラードでファンになる。音楽との付き合い方を徐々に深めていってほしいなぁなんて、先輩風吹かせたくなるのはこんな時。
驚いたのは③の反応でした。
三曲目くらいからかな、数人の園児らが手を丸めて口に当て、吹き真似しながら身体を揺らしていたのです。あらまぁ、あれまぁ。吹き方なんてわかんないのに頬を膨らませて力を入れて、演奏側になりたくてたまらない様子を示してくれたのです。そのうち立ってめちゃくちゃ舞台の上を見ながら顔真似して吹き真似です。
なんだそれ、素直な子供のパワー、半端ない。
物心つく前に生演奏聴いてやってみたいと思って
いつかいいかんじの演奏につながるかもなんて期待、大人はついしてしまいますね。
私も舞台は聴衆でいるより演じる側でいたいので、演者になろうとする子供たちには親近感しかないし、ただ聴いてもらうよりよほど身が引き締まるというものです。
管楽器は小さな子は音を出すまでが大変で、ピアノよりうんと投げ出しがちな楽器ですが、最近は練習動画も充実しているからもしかして、なんて。
音楽のクリスマスプレゼントをしに行った我々でしたが、大変いい思いをさせてもらいました。
これで終わりですとお辞儀をしたら園児から「もっと聴きたーい!」と仕込みなしでアンコールも頂きました。なんという素直な愛らしさ。
終わってから楽器を触りに来てくれたり、まだまだ聴きたがってくれたり、なんとか退場してからも
「また来てほしい」「ありがとう」などと、おばちゃん泣かせの園児たち。
誰に聴かせるために続けているわけでもない音楽活動なのですが、地域のバンドに所属していることでこんなチャンスがあるだなんて、つくづく恵まれているものです。
そしてここ数年は活動の機会もほとんどなかった後なので、ダイレクトに聴いてもらえて反応をもらえることの双方のありがたさが染み入ります。
向き不向き、好き嫌いがダイレクトに出るのが音楽です。
大好きで向いている子の出現は、いつだって嬉しい嬉しい。
ドラムが好きな子のチャレンジもやっぱりいつだって嬉しいけど、ちょっと悔しい気持ちも添えておきますね。