勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

3か月短歌まとめVol.4

3ヶ月短歌まとめシリーズ、危うくスキップしちゃうところでした。どうしてもまとめるより新しく創り出す方が楽しくて優先しちゃいますね。けれど短歌続けているまとめはしておきたい気持ちが強いので、秋冬10月から12月の2首×3か月+α を公開です。

 

10月の歌は

四十にて高校時分の夢叶うドラム叩いてパラダイスかな

 

まあ、なんと楽しそうな四十女!

これはですね、長女の学校祭演奏で助っ人としてドラムを叩かせてもらったことの喜びを青春を思い出しながら振り返った大事な一コマです。

中学・高校と打楽器やってましたが、ドラムの機会は実はそんなになかったのですね。

でもこの歳になって頼まれることになって、「残酷な天使のテーゼ」と東京スカパラダイスオーケストラの「パラダイスハズノーボーダー」を、かなり頑張って練習して本番させて頂いたのです。

緊張したし失敗したけどめっちゃ楽しかったぜ!という短歌らしからぬ記念。


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もう一首は

わぁあそこ雲の切れ間の「タカ渡り」鳥見るだけのラブアンピース

 

一首目とポップな感じをそろえておりますこの場面は、

渡り鳥の探鳥会という野鳥の会イベントに参加したときの感想です。

数十人の大人が集まって、大きな望遠鏡を構えて、ただ鳥が飛んでくるのを探して数える会なのです。

会が行われたのは飯高町高見山付近で、ここで探鳥会が行われる意味は、大型風力発電に対しての抗議活動という背景もあるのですが

集まった人々は風力発電の状況進捗にも興味はありながらも、目の前の鳥たちに夢中でした。しっかりピントを当てたのを見せてもらったり、会の後は素晴らしいタカの写真を共有してもらったり、ずっときゃいきゃいとした雰囲気で、平和ってこういうことだよなと心に刺さったのが短歌になりました。

 

ちなみにタカの渡りについて、野鳥の会でない方が興味を持ちましたら、↓下記がわかりやすく情報量が多かったです。

タカの渡り 特集! | [公式]石川流域生きものミュージアム・雨ふる大地の水辺保全ネットワーク

 

お次は11月の歌です。

唐谷で鴨十三羽ひと休み「二羽ずつ食える」娘の算用

 

我ながらうまくまとめた自画自賛作。

唐谷は近くの川の名で、二羽ずつなのは我が家が六人だからですね。

13を数えると直ちに1引いて6で割ると2

小学二年生の末娘がこんな形で割り算まで使いこなす報告ですが、発想が野性的。

「鴨もおちおち休めんな」というサークル仲間の感想が楽しかったです。

 

もう一首は

嗅ぐためにもらったカリンが箱いっぱいおすそ分けしたいあの人浮かぶ

固い果物カリン。ACイラストより。

知り合いがカリンの実をくれるというので「3つ下さい」と頼んでいたら

箱で30個もくれちゃいました。娘と違って算数できないんだからww

カリンはそのまま食べる果物ではなくて、お酒につけたりジャムにしたり、実が固いしアクも強いので手間ひまかかるのです。

毎年散歩中に拾うのを家の中や車の中に置いて、香りを楽しむくらいがちょうどいいから三つお願いしたのに、箱いっぱいとなるとそういうわけにもいかず

あちこちに配り歩いた、人と人がつながる秋でした。

 

12月の歌はわかりやすいほうからいくと

バケットで優雅な夕餉を描けども争奪戦のチーズフォンデュ

とろりとチーズを絡めてあれこれと夢膨らむ献立なれど

6人家族の食卓は、優雅ってわけにはいきませんね。

珍しくバケット買って来てフンフンしていたのは子供らが寄ってくるまで。

 

さてもう一首はトランペット演奏に関して。

日々すべて忘れる爺ちゃん婆ちゃんが生演奏に「今日はええ日」と言う

 

施設の慰問演奏でした。私以外のメンバーは福祉関係の仕事なので、爺ちゃん婆ちゃんらがなんでもかんでも忘れることは慣れっこですが、私はまだ慣れておらず

演奏したらめちゃくちゃ喜んでくれたけど、これもすべてあっという間に忘れるかと思うと切ない気もします。

けれど、忘れるけど、楽しい時間を共有できたってことは多分無意味じゃなくて

物心つく前の小さな子供と幸せな時間をたくさん過ごすように、爺ちゃん婆ちゃんとも一瞬一瞬の幸せな時を過ごしていけたらいいなぁと、自分の中で染みわたった出来事でした。

「今日はええ日」っていう言葉が、年始に地域に届くのもいいなぁという想いも託して。

 

というわけで10月~12月の歌は、演奏と鳥が目立ちました。

そう、やはり人の心が動くのは好きなものに対してです。

人のゆるく温かいつながりがあるおかげで、いろいろな機会に恵まれますよ。

その時その時に自分にできることは少ないけれど、歌にして残すことは続けていけます。

 

もう一首、ひと月前に詠んだ歌ですが、

「農」の絵は迷わず夏見た鶏に親友の子が賞とったとさ

 

添削してもらっていないのでわかりにくいことこの上ないのは承知ですが

うちに来てにわとりふれあい体験をしてくれた親友の娘さんが、「農」をテーマにした絵画コンクールにうちの烏骨鶏を描いてくれて、佳作に選ばれたという連絡がありました。人生のご褒美かといたく感激した記念。

 

ブログで長文書くことが自分には合っているその上で、記念ごとに短歌を持っておくと頭のスイッチが入りやすくなっていいです。

31文字の背景にあるいろいろを秘めながら、短くまとめて溜めておく。

言葉を残すだけなら自力でどんどんいけますが、添削してもらって歌にまつわるあれこれを共有できるサークルの場はとてもありがたいものです。

そして飯高町の人にお便りとして紹介してもらえるのも創作し甲斐があるというもの。

次の1年も心軽く精進精進。