勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

熊野古道伊勢路巡礼を夢見て

観光庁が昨年度、インバウンド旅行にマジに力を入れようと、一週間以上かかるストーリー性のある日本滞在を作り上げるために、全国にモニターツアー作成の募集をかけていたそうです。ただ観光地を点々と巡る旅よりも、一貫した魅力ある目的がある旅をこしらえ、より日本の奥深さ発掘となるようなロングストーリーを目玉に諸地域での消費活性を目指しています。

www.mlit.go.jp

100以上も応募があった中から選ばれた一つが、三重県発の

祈りを体験する「熊野古道伊勢路」巡礼の旅

でした。採択された10のツアー名は下記

https://longstory.jp/assets/pdf/result_2023.pdf

茶の湯やサムライ、刀といった外国人から見た日本らしいものを巡る旅や、和食として鯖街道、また日本の豊かな自然を存分に感じるようなツアーが4つ、そして四国お遍路と熊野古道巡礼という宗教要素の強いラインナップです。

特定地域でのロングストーリーだけでなく、どこに行くのかツアータイトルだけでは想像できないのまで、すごく夢のあるアイデアを練り込んでの企画、憧れます。

 

そんな中、宗教的な旅の一つである 祈りを体験する「熊野古道伊勢路」巡礼の旅 として、11月12月にモニターツアーが行われた報告会を兼ねてのシンポジウムがあるという情報が来たので、単身参加してきました。

馬越峠の写真は「三重フォトギャラリー」より

三重県の外海である尾鷲に建てられている熊野古道センターが会場でした。

一人で尾鷲まで行くのは初めてでしたので、ちょっとした旅気分の午後を過ごすことができましたよ。ワクワクドキドキが大事です。

kumanokodocenter.com

熊野古道世界遺産に登録されてから20年です。巡礼文化のある海外からの旅人は多いそうですし、興味は尽きないのですがなかなか機会を作ることができないままだったので、片鱗に触れてみるチャンスでした。

熊野那智大社和歌山県に位置しており、一般に熊野詣なら和歌山での巡礼道になりますが、今回のロングストーリーでは伊勢から熊野をつなぐというところに三重県の魅力をふんだんに盛り込み、日本に残る様々な宗教をまるごと感じながら自分を見つめる旅になったようなのです。

 

11泊12日の旅それぞれの日にテーマが設けられ、非日常の演出があったそうで、雨の中でもしっかり歩きながらもなかなか味わえない体験がぎっしり詰まっていた素敵な報告会でした。

メモ書きしたコースを紹介します。メモでしたので誤解あったら申し訳ないですがおおまかな場所とテーマを。

1日目:セントレア空港から伊勢に入る。

  伊勢木綿での御朱印長作りと伊勢音頭をみんなで。泊りは麻吉さんという老舗旅館で。

2日目:~神社ってなんだろう~

  お伊勢さん参りをしてから玉城町の田丸へ。坂出旅館さん。

3日目:~神の国から仏の道へ~

  女鬼峠を越えて大台町栃原へ。茶道体験も。岡島屋旅館さん。

4日目:~八百万の神様がいる道~

  ガイドさんと三瀬坂峠を歩いて、大紀町の滝原へ。農家民泊に分宿。

5日目:~神話、妖怪の世界へ~

  滝原宮から大紀町を進み、紀伊長島へ。河童民話や座敷童の話も。魚町ガイド付き。

6日目:~海の神様の存在を感じる~

  馬越峠を越えて尾鷲へ。シーカヤック体験も。尾鷲神社詣で。

7日目:~庚申講と修験~

  難所の八鬼山越えで、とっておきのお弁当を頂いて三木里へ。

8日目:~人間っぽいユーモラスな神様~ 

  飛鳥神社に詣で、熊野市の二木島まで。アサギマダラのサプライズ

9日目:~伝説・神話がクロスオーバーする神秘の熊野~

  くじら漁の話。大泊で宿泊は鬼の散歩道というゲストハウス

10日目:~自然崇拝の大渋滞~

  獅子岩や花の巌神社など、これでもかと外海を巡って、紀宝町

11日目:~再び神の世界へ~

  舟で川わたりをしていよいよ那智勝浦へ。熊野ビジターセンターの学び

12日目:~八百万の神、そして神仏習合へ~

  熊野那智大社青岸渡寺参り。那智大滝でほら貝の音を聴く

 

ざっとですがこんなスケジュールで、古道を歩いたり近隣の町を歩いたりそれぞれの場所での現地ガイドさんに話を聞いて、地元のものを食べ、温かいおもてなしの宿に泊まり、一行は那智大社へ無事たどり着いたとの話でした。

 

ものすごく盛り沢山で話を聞くだけで吸い取られたような心地になりましたが、歩くところと電車など利用するところ、学ぶところと休むところ、バランスを考えながら現地の人々に触れながらの旅は大満足を感じてもらえたとのことでした。

 

 

澄み切りながらも人が温かいモニターツアー動画もあります。

www.youtube.com

  

日本人が伝え育んできた宗教観は日本人でもよくわからないことばかりなのに、どうやったら外国の方に伝えられるのだろう。偏り過ぎずに、でも暮らしに根差したいろいろな話は私も改めて全部聞いてみたいです。庚申さんの話は実感もないですし、尾鷲神社の奇祭とされるヤーヤ祭も、現地の人から熱のこもった話を聞いてから体感しなくちゃという気になってきます。

庚申講 | 和歌山県文化情報アーカイブ

owasekankou.com

この巡礼コース、インバウンド向けにガイドもわかりやすく作られ、めでたく人気が出た後は、学ぶ意欲の高い日本人でも人気のあるコースになるのではないでしょうか。12日間三重県南部と和歌山県ばかりにいる旅はこれまでは珍しかったでしょうが、心を整えることの必要性が高まっている時代でもあります。

巡礼への欲は、どうにも深まってしまうのです。

 

熊野古道巡礼はこちらのほうが先駆けて盛り上がっています。

15歳から『星の巡礼』愛読者としてはサンチャゴ・デ・コンポステーラにつながるこちらのコースにもめちゃくちゃ惹かれます。

www.tb-kumano.jp

星の巡礼

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巡礼は身体をフルに使っての心の旅

己の内を見つめ、過去と未来をつなぐ旅

ずっとそういうイメージがありました。

一人で黙々と、あらゆる煩悩に飲み込まれそうになりながらも身体の疲れから何も考えられなくなって後、自分を見つける過程がある旅なのだと。

だから大学時代にサイクリングをしている時も、仲間との旅だけではなくどうしても一人旅もしなきゃいけなかったのです。私の意識としてはね。

けれど今回話を聞いていると、「人の温かさ」が何度も何度も強調されました。

大きな自然と壮大な歴史に囲まれているからそれでこそ、その時に出会うホンモノの人がいっそう心に残る。旅を共にした人たちとの絆が深くなる。

もう少しで何か大きなことがわかるようになりそうです。

旅の予定はいつにしましょうかね。

一人で行くか、子供たちと行くか、それとも見知らぬ仲間に飛び込んでみるか。

数年後、になりそうです。きっとなにか呼ばれる機会があります。

揺るぎない道がつながっていることを信じて、今できることに集中したいです。