勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

中学生と未来を夢想する

夏に風力発電の勉強会を開いたとき、地域の中学校の先生が来てくれていました。

この問題はマジで危ないぞと動き始めた時だったので、一番不安な頃だったのですが、

あえて問題をあぶり出したりカッカとなって騒いでしまう断固反対の会ではなく、

一人一人が安心して意見や疑問を出す場として、自分たちにとっての飯高の未来を考えることをゴールとした勉強会でした。

 

進行役にファシリテーター(すいません、この言葉の意味を正しく捉えることがまだ難しいのでかみ砕けません)が居てくれたおかげで、不安に押しつぶされたり激昂しそうな人々が、激動を抑えながらお互いの理解や思いを受け止めて、そうは言っても前向きに考える機会になった勉強会を、中学校でもしてみたいと参加した先生が思ってくれたことが、冬になって実現したのです。

 

ファシリテーターは、普段から中学校でCSボランティアとしてもみんなにお馴染みの人。そこに私がアドバイザーとして入る形で、冬休み前最後の日に生徒全員を集めて2時間もらいました。

「今、風力発電事業計画が持ち上がってしまった飯高町だけど、10年後どうなっていくのかな、それは誰が描いていくのかな」のテーマでグループワークを行ったのです。

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ゴール設定は学校側の希望もあり、「自分たちにできること」

会の流れはファシリテーター判断で、

1.10年後の世界はどうなるかを10年前から考えよう

2.グループに分かれて個人ワーク、グループワーク

3.今起こっている風力発電事業のこと知ってる?

4.改めて10年先はどうなってほしいか、個人とグループで

5.10年後の飯高と今自分たちにできることのまとめと発表

 

こんな流れになりました。

話を聞いて、自分の意見を出して、人と共有して、考えを深めてまた出す。

 

インプットよりもアウトプットを重視した

どんな考えもないがしろにしない2時間ワークショップ(休憩1回)は

中学生という少し大きな子供たちにとってどんな体験になったのでしょう。

 

この学校は「飯高地域を総合的に学ぶ」という活動があり、各分野(郷土、福祉人権、環境)に分かれて3学年合わせてバラバラの班を作り、半年くらい時間をかけて学んだことを発表するという地域と連携した授業があります。12月初めに発表があったばかりで、それぞれの成果や関心分野がありました。未来の飯高地域と自分の学んだことを必ずしも結び付けなくてもいいのですが、地域の人たちに聞いた話や自分たちが考えてきた課題は今回のワークにも大きく影響していたようです。グループ分けもその班でしたし、それぞれ担当の先生も加わっていただきました。

 

 私の担当は「風力発電計画の概要。その計画に対して飯高の大人たちは何をしてきたのか」のプレゼンと、子供たちの考えを温かく聞いたりヒントを出したり、全体を明るく進行する手助けをするといったものでした。

 

 地域の課題は重たいものであるし、更に重たい風力発電開発の話です。

 生徒たちは最初のワークではほとんどの子が重く暗い未来を描いていました。

 世界がもっとIT化して便利になる一方で、人口流出が止まらず孤立化する飯高町。仕事もなく人もおらず何の希望もない田舎町。

 うっわぁ、暗すぎる!そんなこと考えてたのか、若者が。

 

 けれど、おしまいでは、随分明るい未来が出てきました。

 消滅してもおかしくないと絶望していた自分たちの地域が、もしかしたら観光地としてバズるかもしれない。そのためにできることがあるかもしれない。未来はちょっと明るいかもと脳みその能天気スイッチが入ったならば、能天気マスターとしてこんなに嬉しいことはありません。

 

 風力発電の話もしたのに、ほとんど知らなかった子も5分で最低限わかるようにダイジェスト資料を頑張って作ったのに、未来を考えるときにそのことは誰もちっとも考えてもいなかったのも印象的です。この問題と自分たちの未来はつながらないとどこかで判断したのでしょう。

 

 日々笑って、周りの人と仲良くすること

 小さなちょっといいことを積み重ねること

 伝統行事などに積極的に参加すること

 

そんなことが自分たちの未来を、地域のより明るい未来を担うことになっていくと、心から信じることはできたでしょうか。眉唾かもしれませんが、大正解ですね。

 

どうなることかと思いましたが、蓋を開けてみれば大成功。

やっぱりリアルに空気を共にして、安心して吐き出すことは、楽しいです。

こんな機会を与えてくれた学校側と誘ってくれた仲間、そして真面目に受け止めてくれた生徒たちみんなに、心から感謝します。

 

 子供たちが大人になって、どこで暮らしていようともいつでも帰れるふるさとを、自然豊かなままもっと経済発展もさせて、自由に楽しい仕事を地域で生み出していくことが、今の大人たちにできることです。子供たちは大人の背中を見ています。思う以上にシビアな目で。暗いニュースや情報が与えているダメージも大きいです。だからそんなことよりうんと説得力のある、大きくて明るい背中を見せてあげなくちゃ。未来を作ったり変えたりできるのも結局今の人なので、若い世代からの刺激を受けて、築いていけますね。