木登りは好きですか?
大きな木の高いところに登りたいですか?
猿みたいに手足を使って軽々と、でも危なっかしく登らなくても安全に登れるという話があるなら、やってみたいと思いますか?
ツリークライミングという木登りの方法があります。
高い木にロープをかけて、結び目と足のロープを上手に使って、木を傷めずに安全に登っていくアメリカ発の技術は、巨樹と人のストーリーとして瞬く間に世界中に広がっているようです。
日本では2000年の旧みどりの日が設立記念日となり、樹木と親しむ人を中心に各地で体験会が行われ、次世代育成が繰り広げられています。
日本人で足が不自由になってしまった人の「再び木に登りたい」という願いを叶えるためにもツリークライミング協会は尽力され、車椅子の女性がアメリカで80メートルのジャイアントセコイアに登る様子は多くの人々に感銘を与えたとのエピソードもあります。
そんな世界各地で人々を魅了するアクティビティを我が子たちも体験する機会がありました。森林インストラクターの先輩に声をかけてもらうというつながりで、ご縁に飛びついてみました。場所は峠を越えて1時間程度なので、行動圏内なのですよ。
ツリークライミングのスタッフをしてくれるのは木のスペシャリストたちであるらしいです。沢山おられたスタッフの皆さんのことはわかりませんでしたが、お声かけしてくれた方はご自身で樹木の特殊伐採のビジネスをされている方で、アーボリストやらツリークライミングファシリテーターやらの資格や称号もある方のようで、世界は深く面白いことを体現してくれている方ですね。
スタッフの準備ありき、スタッフに見守られてのツリークライミング体験会は、ルールを守って順序に則ってが大切です。
お互い挨拶をして、木の準備体操をし、その日登る木に挨拶をしてから、ツリークライミングのルールと用語を学びました。
中心となるロープの結び目のことを「ブレイクス」と呼びます。グレイプスと覚えそうになり混乱しましたが、ぶどうではありません。
脚を引っかけるロープの輪は「フットループ」
少し登るごとに「セーフティーノット」という引き結びを自分で作っていきます。
手でロープをつかみ、脚が伸びる力を利用して、ぐいっと自分が上に上がることを繰り返して高く高くまで上がっていくツリークライミング。やり方さえわかり、必要な道具があれば6歳の子でも登れる体験です。
めっちゃ詳しい記事がこちらにあったのでぜひご参考に。
立派な公式道具をそろえるのは大変ですが、体験写真を眺めているとやってみたくなりますね。
TREE CLIMBING WORLD|ツリークライミング アーボリスト 高所作業ギア専用ショップ
我が子たちも高いところまで登りました。
あー、やっぱり気持ちよさそうだなぁ、私も登ればよかったかなぁと思いながらも、子供達を見上げることも母の望む姿ですし、コミュニケーション力を活かしてスタッフの方たちにいろんな話を聞いておく時間にもなりましたよ。
ツリークライミングを安全に行うのには協会認定の資格がいるし、講座を開催するのはなかなかのハードルです。でもだからこそ本当に樹のことを知っていて、体験を他の人に、子供たちに伝えたいと願う方がツリークライミングの現場には居る信頼になりますね。
しっかり考えられた安全な場所で子供たちや一般の人々を集めて、どれだけ楽しく学びのある体験を与えられるか。樹の状態や生態系を知り、必要な剪定を行なってのフィールド作りをしてもらっています。その上でどんな人たちに働きかけるのかを練っていくなかなか一筋縄ではいかない体験会ですね。
道具やロープをかける場所にも限りがあるので、一回の定員はスタッフも入れて10名くらいでしょうか。となると受付できるのは5名くらいなので大きな宣伝もし難いし、といって人が集まらないことには啓蒙活動もできません。教えてもらえば登るのは一人でできますが、降りるときはスタッフにマンツーマンで助けてもらわなければいけません。贅沢な自然体験会なのです。
こんな体験こそ、小さな小学校の出番だなと強く思いました。香肌小学校の学校林は枝打ちされた杉・ヒノキがほとんどなので、ツリークライミングにちょうどいい樹があるかはわかりませんが、この先近隣を歩くときはそんな視点も増えそうです。
もしこの辺りでツリークライミング体験会をするとしたら、どの場所で、どんな人に手伝ってもらって、どんな呼びかけをするのか。その狙いは。道沿いのところでなく少し奥まったところになるのでしょうが、探せばありそうだし、そうやって周辺を見ていく経験も面白そうですね。
そういえば私が小学生の頃に大阪で通っていた学校のシンボルツリーは楠で、よく登っていたものです。ツリークライミングを知って、あの樹のもっと高いところまで行けるなら行きたいなという想いも湧いてきました。お気に入りの木と心がつながっている人はどのくらいいるのでしょう。飯高の家からそんなに遠くもない樫の木とも多少つながっていると私は思っていて、四季折々思い出すとなんだか安心するのです。
自分で木とのつながりを見つけられる人はまあそれでいいですし、そうでない人と木をつなぐのに、ツリークライミングはぴったりです。私にはそんなことを伝えていく役目があるのかなぁとチラッと感じておりますよ。
今年から環境教育に関わるとなんとなく決めている私にとって、幸運に巡ってきた機会でした。三重県で木と人をつなぐ人として、沢山の機会にもまれていきたいです。