子供たちの通う小学校でも人権教育は推進されています。毎年いろいろテーマはあるようですが、今年は障がいのある方たちとの交流がテーマになっていて、松阪市内から耳の聴こえない方ど同時手話通訳をされる方に来てもらい、手話などを学んで交流するという授業が参観可能で行われました。
講師に来てくれた方は、完全に耳は聞こえず、会話に手話を用いる方です。
聴覚障がいの中にもいろいろ幅広くあり、生まれつき全く聞こえない方から、聞こえにくいことに苦労している方、片耳難聴、突発性難聴で後から聞こえなくなった方など様々です。
たくさんたくさんの日本の人が英語を習っていても、ペラペラな人、理解はできるけれど速いとついていけない人、カタコトの人と、みたいな違いですかね。外国語学習は習得度の違いで耳の場合は機能ですが、いい悪いではなく程度がそれだけあるということです。完全に聞こえないから手話がめちゃくちゃ速い場合もあるでしょうし、聴こえなくなったばかりで手話より筆談を多用する方もいるでしょう。
授業では前提として、聴こえないとどんなことに苦労しているのかを伝えてもらってから、聞こえない方と話す方法として
・筆談
・手話
・口話(口の動きを見る)
・空文字
上記5種類を体験しました。
書くものがあれば筆談ができるけれど、ない場合は?
空文字は空中に文字を書くのでそれなりにはわかりますが、なんだか時間がかかることを実感しました。尻文字みたいだなと思った私は昭和の生き残り。
手話も50音それぞれを指で表す指文字や決まった動作で表す方法などありますが、ひとつひとつ指を動かすのはお互い慣れていないとかなり難しいです。
ジェスチャーで伝わると言葉はいらない感じがしてなんだか嬉しさありますが、なんでもジェスチャー或いはパントマイムでできるようにするにはこれまた訓練が必要そうですね。
口話、読唇術は私としては一番興味があります。なんかカッコいいというそれだけの理由ですが、口元ばかりを見過ぎずに口の動きで相手の言葉を知るスキルは、耳が遠くなる前に身に付けたいことの一つですね。
というかんじに伝える手段はいろいろあるけれど、スムーズに間違いなく伝えあうために、手話というのはなかなか便利であるのだなと感じました。
講師の方は耳は聴こえないけれど話すことは大好きで、交流したくてたまらない雰囲気が出まくっていました。どうも耳の聞こえない方は静かな世界で過ごされていて、そんなにおしゃべりは好きではないだろうと思いがちなのですが、いやいやどうしてそんなことありませんね。大阪で暮らしている頃、ろう学校の中高生が駅のホームにいて、ものすごい勢いで手話おしゃべりしているのを見かけてびっくりした記憶があります。
話したい、話してほしい、わかり合いたい、一緒に笑ったり泣いたりしたい。
きっとどんな人も孤独ではなくコミュニケーションが必要で、好きなのです。
暑いとか寒いとか、手話とジェスチャーの区別がないくらいわかりやすいものから、手話ならではの表現やちょっとその表現は古臭いのではというのまで、言葉は文化であり生き物なので、少しずつ手話の表現を学ぶのは面白そうだなという気はしました。
表現の流行廃りや若者手話、方言なんかもあるのでしょうかね。
覚えて使えるかは別として、興味があるのは外国語も同じです。
ちょっと英語習ったくらいでどの英語圏の人とも話せるわけではありませんが、
「この人とお話したい」という状況になった時、共通言語を試してみるのは自分にとっても楽しいことだといいです。
モールス信号を覚えるよりは指文字の方が簡単かな。どうかな。
指文字は英語だとどうなるんだろうと気になっていたら、こちらはほとんど両手使いなのですね。以前アメリカドラマで見た手話は大阪のろう学校よりさらに派手だなと感じていた疑問が少し解けました。
難聴といえば、子供たちがもう少し大きくなったら手元におきたい漫画があるのです。
えっ、セット買いだとフランス書院なのか。
『ひだまりが聴こえる』はジャンルとしてはBLになるのですが、マイノリティな人をそのまま受け入れる主人公から感じ、学ぶことは無限にあります。
聲の形もテーマは耳ですが、内容がハードと聞いています。
歴史的にはこの人を学び直すのは外せないのでしょうね。
聴こえないだけじゃなく、目も見えなくてもコミュニケーションはとれる。
言葉あるゆえに人はどこまで進化・変化してきたのでしょう。
手話の授業を受けた後に小学生が感想を述べていましたが
「講師の方が楽しそうだから手話も楽しそうだと思った」というのが印象的でした。
コミュニケーションはもちろん危険を伝えたり正確な情報を共有したりという面があるからこそ必要なのだけど、多くの場合は楽しいからコミュニケーションをするのです。そして楽しくあるには障がいは一側面でしかないですね。
この人と話をしたいな。そう思ってもらえる人であるよう、どんな状況にあっても楽しさを忘れずにおりたい。
爽やかな出会いをありがとうございました。