勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

教育ワ―ケーションに求めるもの

先日香肌小学校で、全国初となるらしい「教育ワ―ケーション」の試みがなされました。

三重県でもとこワク事業として推進されているワ―ケーションを、教育を絡ませることで企業のCSRにもつなげ、地方により長く滞在してもらうプログラムができないかとの実験企画です。出前授業や地域交流を盛り込んで、企業にとっても地域にとってもそして子供たちにとってもWin-Winとなることができないかと2年程前から温められていました。なかなかややこしいかんじですけどね。

↓下記は三重県でワ―ケーション(Work&Vacation)をするにはどんなとこがあるかなという場所をまとめたサイトです。いちおう亀成園も掲載されています。

ワ―ケーションという言葉は何年かかけて浸透してきたのかさほど流行らなくなったのか、未だに縁もなく需要を感じることもないのが正直な想いですが、ワ―ケーション推進の流れは続くようなのです。

【公式】「とこワク」は三重県のワーケーションポータルサイト

 

企業が地方に来て、手持ちの仕事もこなしながら、訪れた地域ならではの体験をしたり、地域の人との交流をすることで、働き手にとっては良い刺激があり、地方にとっては経済効果+アルファがあるならば、ワ―ケーションは推進されていっても良さそうです。更に教育現場に赴いて子供たちに仕事のことを伝えるということになると、仕事への理解度が深まってプレゼン能力も高まるし、子供たちにとっては普段出会わない大人から仕事の話が聞けるというちょっとしたキャリア教育ということになります。

 

そんな教育ワ―ケーションですが、課題としては

・受け入れる学校とのそもそもの接点

・企業側のメリットがわかるモデルが弱いこと

・地域にパイプ役や案内役がいるのかどうか

 

などがざっくり挙げられます。

今回は私の役割として、企画担当者さんとの事前打ち合わせや学校との意見調整、更に実際にCAさんも含めた企業の方3名の前日地域案内と、出前授業前に地元のコワーキングスペースをお借りして10名程の交流会お手伝いなどがありました。

ちょうどグリーン・ツーリズム研修で学んだことの実践と、親子山村留学活動で見守ってきた移住者と地元の方の交流を客観的に紹介するという良い機会だったので、スケジュールを優先的に空けて雑多な役割をいろいろと引き受けることができたのですが、ゴール設定がよくわからなかったのでめちゃくちゃ不安でした。多分この流れでいいだろうと手探りでなんとかこなせた感じでした。

ほぼ実験でしたね。

結果としては温かい雰囲気で、これから香肌小学校の恵まれた環境を活かしてどんなことができるかなどの意見交換をすることができたので、良い機会を頂けたことへの感謝なのですが

これからこの活動を進めていくとなると、考えておきたい点がいくつもあります。

むしろ進めていくことはできるのかなぁ。

それぞれのニーズと課題があるよね

企業が会社や自宅ではなく、営利目的の出張というのでもなく、研修とスキルアップのために未知の土地に社員を送り、泊り、学び、教育活動に貢献してくることを是とする声はどれくらいあるのでしょうか。

「アイデアは移動距離に比例する」という言葉もあり、信憑性の検証もされているので、独創性を求める企業なら価値を見出してくれることはありそうですね。

【アイディアは移動距離に比例する3つの理由】思考する時間は成功者の共通点? | Abroader(アブローダー)

 

学校としては、子供たちに違う世界で働く大人からの刺激があることを歓迎してくれそうですが、どの学校でも歓迎なのかはよくわかりません。あまり頻繁になると日常の授業との調整もありますし、子供たちが学校の教育方針に素直であることも欠かせない要素なので、どこででもできるわけではありません。

 

受入れる地域としても、宿泊施設とコワーキングスペースなどがあって、それらを利用してもらうことまではわかりやすい流れですが、地域との交流となると、人選やテーマに相当気をもまないと容易にややこしくなることは逃れられません。

 

となると、そのうち良い道筋が見えてくる可能性はあるとはいえ、一足飛びにこれをモデルプランとするには余程の覚悟が要りそうですね。

 

まあそもそもワ―ケーションという概念自体、どれだけの人が必要としていて、それが地域活性と結びつく可能性は何パーセントくらいなのでしょう。サラリーマンでない身には、休みの日まで仕事を持ち込むことを前提とされるのかという驚きがありますが、当人にとっては「仕事はどこででも短時間で済ませられる」が前提なのかもしれません。さらに「親子ワ―ケーション」なるものも推進されているようですが、これって家族旅行ではないのか。親子で学ぶグリーン・ツーリズムとも違うのか。一体なんなのだという段階です。親がコワーキングスペースで仕事している間に子供は近隣の学校に預けられるってイメージなら、その学校が得るものって何なのでしょう。教育NPOでもあればWin-Winになるのかもしれませんが、私が子供なら旅行中にも仕事を持ってくる親に対して仕事できなさそうと残念な気持ちになりそうですけど、そんなこともないのかな。まだよくわからないことばかりですね。

また、受け入れ地域として、こちらの子供たちに得るものがあれば協力する気にもなりますが、連れて来られた子供たちが学校に来られてもなんだかなぁとまず身構えてしまいました。

 

それでも時代の波に少し乗っからせてもらい、ご縁があって地域案内ができたことは私にとってはスキルアップを感じられる良い機会になりましたし、交流での話も興味深かったです。

外からの人が何名も来るなら、地域で人手が要る時に派遣してもらうことはできるのかなと、地域となんらか関わりのある企業の出前授業なら子供たちに与える影響も大きいのかなとの妄想も膨らませました。

林業盛んな飯高町から出荷された木材を使って大都市で仕事している人とか

伊勢茶を用いてヒット商品を輸出している企業とか

鮎釣り道具メーカーさんとか

或いは卒業生からの話が聞けるなんてことになったらいいなとも。

いずれにせよアテンドする立場の人が、相当コミュニケーション明るくしてもらわなければいけないので、どれだけ現実味があるのかは疑わしいところではあります。

 

よくわからないことも多いですが、その中で明るい光を見ていきたいものです。

なんらかのきっかけがあって、風光明媚な地域を訪れることになり、人々との温かい交流ができて、活力を取り戻す人が増えてほしいとの思いはずっとつながっているのですからね。

 

さて、今回の出前授業に関しての取材記事はWeb上でも見れるようになっています。CAさんが来たということで、華やかな画になっています。

news.yahoo.co.jp

ちなみに昨年度実施された百五銀行さんによる出前授業も、当初は教育ワ―ケーションとして企画されていました。県内からの日帰りでの実施となりましたが、こちらもそこそこ大きな話題となったものですし、子供たちは楽しんで考えていました。

kamenarien.hatenadiary.com

ああ、教育ワ―ケーションのまとめは思った以上に手強いものでした。

まだすっきりとまとめられずに力不足だったというのが実際でした。

なんだか申し訳ない気もしますが、すっきりしないなというのもまた偽らないまとめなので、私には意味のあることです。

 

↓親子ワ―ケーションについては総務省が挙げている参考資料がありました。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000846200.pdf

需要としてはワーママが夏休みの子供を連れて、旅先で自分は仕事をして子供はなんかいろいろな体験をしてほしいという流れでした。

あれこれいい感じにまとめられているので、これが母子にとっての真のニーズならうまいこと回っていくでしょうが、香肌小学校の親子山村留学活動とはほぼ結びつかないなぁという印象を受けました。

いずれにせよ、一方的に受け入れOKということではなく、利害を一致させておくべきなのは言うまでもありませんね。

この地域で地道に移住促進活動に携わっている者としては、ワ―ケーション宣伝よりこれまで通りに親子山村留学活動重視なのは言うまでもありません。宿業としても、旅行に来て親は仕事しているからその間に子供と交流を求められるのはイマイチですね。滞在中に極短時間の仕事電話くらいなら許容ですし、子供たちがほぐれてきた段階で、お母さんにリラックスしてもらうことは心掛けてはいますが、旅先でも長時間仕事を持ち続けることが有能だとも思いませんし、子供と向き合って欲しいなと思ってしまいます。責任持ちながら一緒に体験を感動してあげようよ、というスタンスです。

 

本当にいろいろな生き方があり、働き方があり、家族の形もそれぞれな混乱時代ですので、そんな片鱗に触れながら、自分の本音はどこにあるのかな、何を目指してどう動いていこうかなとアウトプットしてみるのは、とても有意義です。

 

私がどこででもできて短時間で済む仕事を持つ高キャリアで富裕層の親なら、子供と自分の興味が一致する場所にいろいろ旅行に行きたいですね。ホテルの部屋で朝か夜に仕事をすすめるくらいにして、アイデアの底上げに旅の移動を活かしたいです。もし子供の興味が自然体験にあるなら、亀成園を選ぶことはあるかな。そんな問いも自分に引っかけてみる機会になりました。