勇敢なる有閑なる優な感じの自由刊行。続

三重県松阪市の端っこにある飯高町で農的生活を営む六人家族のお母ちゃんです。縁もゆかりもない移住をご機嫌に続けていけるのは、尽きないチャレンジ精神と、おおらかな地域のおかげです。地域に支えられる子供たちとの暮らしや、ここで発見した限りない素敵なことを、ちょっとずつ発信していきたいです。

価値観の大整理!

少し前に知って、気になっていた書き出しのワークを昨日ふと行ってみました。

「価値観を整理してブレない自分を作る」がテーマで

自分にとって大切に想うことをランダムに80個書き出して

それを40に絞り、20に絞り、最終的に5つに絞るという

誰にでもできるけれど、なかなかたくさんの精神力を必要とするワークでした。

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自分の価値観80を出すという、第一ステージが一番時間がかかりました。

価値観と言われても、例えばどんなかんじで出せばいいの?

○○であること、みたいなのから愛犬とかまで幅広いけどどうしたらいいの?

と、ひとしきり考えた後に腹を括りました。

好きなモノ、続けていきたいコト、ライフワークやライフテーマをどんどんごちゃごちゃに出してしまおうと。うん、まるでまとまっていませんね。でも数を決めて書き出す=吐き出すことがスタートです。

書き直しは無し。認めないというルールにして、ボールペンで一気に書いていったので、あれあれこんなものが出て来たわ、あれは入ってなくて大丈夫かな、似たようなのまた入れちゃったわとか途中で混乱しながらも、80吐き出しました。

 

猛禽類

発酵食品

自由であること

自給率の高い暮らし

多文化研究

タロットカード

・・・・・・・・・・・・・・

 

とかもうほんとバラバラで混乱しまくりの私の大切なモノや価値観の羅列ができました。

それをよくよく眺めて、半分に絞りました。

線で消していくというやり方もあったのだけど、横に〇をつける方法を選びました。

せっかく書いたけどまあこれはいいかというようなことが削られていくのは

寂しいけれどなんだかすっきりする作業でした。

 

この時に削られたのはこんな事柄たちです。

日本酒をたしなむ

珈琲タイム

ツキヨミ

アロマテラピー

ツリーハウス

水車小屋

絵本、などなど

自分でもかなり好きで興味もあると思っていたものだけど、他のことと並べた場合にやむなく削られていきました。本当に大事なものは他にあるのだと自分で線を引くってめちゃくちゃ力が必要ですが、ブレない自分でいるためにはやってみたかったことでした。

 

40に絞ったものを更に20に。ここでは反対側に〇をつけるというやり方にしました。

一次選考に残ったものは字の左側に〇

二次選考通過したものは両側に〇

 

ここで惜しくも削られたのは

 

打楽器

竹加工

貯金

薬草茶

保存食

などです。自分の中で結構大事なことがいっぱいあったつもりなので、それらを選ばないということにかなり勇気が要りました。

だってこれまで大事にしていたはずだったのに。

選ばなかったものは私の人生に全く不要というわけでもなく、そこそこ大事なものなのですが、もっと大事なものの前では曇ってしまう事柄なのです。

 

この段階で音楽関係や物への執着は全部削ぎ落されました。なんとまあ。過去に夢中になっていたものも自転車以外残りませんでした。

 

80が20に絞られたので、その20を改めて書き出しました。

生物多様性、森林保護、児童文学、散策、焚火、、、、

など、ものすごく私が浮き彫りになって恥ずかしいくらいにくっきりしてきました。

 

そして最後にその20の中で、これだというもの5つにぐるっと丸をつけました。

そうすると残ったのは

 

ナショナルトラスト

清流

子供の教育

森林インストラクター

万物のつながり

 

の5つでした。

ああ、そうなったか、そうなったか。

ぼんやりわかっていたけど、やっぱりそれを残したか。

決断できた自分の直観に心から感謝しました。

 

で、何?という感じかもしれません。

それがわかったところでどうなるの?

 

はっきりとは私にもまだわかりませんが、多分このワークをしたおかげで今後の人生はブレなくなります。

ごちゃついた人生にスッと芯が通るようになりそうです。

自分にとって大事な価値観は誰がなんと言おうとこういうものというのが自分の中でストンと腑に落ちていると、迷うことがなくなるし、何のために生きているのかも輪郭がくっきりしてきそうです。

 私の人生ってなんなのかと言えば

「森林と清流を学び、教育として伝え、豊かな自然を残して万物とのつながりを感じて生きることが私の人生」

 もうはっきり書けました。

こうやって言語化できたことがめちゃくちゃ嬉しいです。

自給の暮らしも個々生き物への関心もゆったりと自由に寛ぐ時間を大事にすることも

全部根っこの価値観につながっています。

 

というわけで、私今年は森林インストラクターの資格をとろうと思っています。

結構なチャレンジだし、ゲストハウス業にも力を入れないといけない時期なのに亀成園に迷惑をかけるかもしれませんが、人生がつながっていることやうかうかと油断している時間はないことを思えば、動かなくちゃいけません。もちろん楽しく穏やかに。

www.shinrin-instructor.org

 

宣言と予祝

「亀成園母、森林インストラクター受かったってよ!」

 

応援ありがとうございます。

さて、一息つきましょうか。

 

 

 

生きているだけで価値がある

山を守るためにイヌワシを探したいという想いを抱いて数か月。

インスタでハッシュタグ イヌワシをフォローしたのが今月に入ってから。

こうすると毎日イヌワシ画像が見られるようになりました。

そしてイヌワシ保護協会のホームページを熟読したのが今日のこと。

タイムラグはあるものの、確実にイヌワシに近付いています。もしかしてこれが推しに対する想いなのか、といらぬ思考に邪魔されながらも。

inuwashi-hogokyokai.jp

 

会長さんの想いや理事の方々の経歴などにも大変興味深く惹かれました。

まだ本物は見たことがないし、野鳥の会も初心者のままだけど、入会して実際にお会いしたくなりました。イヌワシはもちろんそこに強い思いを抱き活動する人々にも。

 

どのページも熱かったし、貴重な写真がたくさんですが、特にぐっときたのはブリーディングのコーナーです。

inuwashi-hogokyokai.jp

 

日々鶏の卵を採卵して販売している身には、一年間で卵を一つないし二つというイヌワシの卵の貴重さには驚きました。それも秋からのエサ不足で繁殖できない年も多いのだと。イヌワシは広いテリトリーを持つ鳥の王者なだけにペアを見つけるのも大変です。奇跡の出会いとはこのことかというくらいの確率でしょう。そしてつがいになったとしても、二羽とものイヌワシが充分狩をし餌を確保し、更に自然繁殖して子育てができる環境がなければいけないのです。ゴールイン後のシビアな世界。

 

森林の開けたところで狩をするイヌワシにとって、密な山は向きません。日当たりがよく、野ウサギの多い山がベストです。でも最近は野ウサギを主食にしているイヌワシは激減していて、主な食料はアオダイショウだとか。HPに詳しかったです。

 

食物連鎖の上にいる生き物は、確かに獰猛なために野蛮なイメージを持たれることも多いです。けれども実は彼らのおかげで食物連鎖全体のバランスが保たれているのだし、強いようでいて環境の変化に適応しにくいのも王者のほうなのです。

 

私は昔からわかりやすく強い生き物が大好きで、哺乳類ならトラとか熊とかオオカミ、海獣なら圧倒的にオルカ、鳥ならワシタカにフクロウ、昆虫ならカマキリと決まっていました。魚類のサメや爬虫類のワニは目が怖いからビビりますが、存在は好きです。両生類の頂点は何か詳しくないですが、オオサンショウウオはなんだか大好きです。

 

自分がそんなに強くもないのに(しぶといことは知っています)なぜこんな強い生き物ばかりに惹かれるのか疑問もありましたが、最近やっと腑に落ちました。強い生き物がいるから生態系ピラミッドが成りたつからです。生き物まるごと愛するには、王者が超重要なのです。だから素直に、王者推しになるのです。

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王者たちは手あたり次第捕食しているわけではありません。オオカミなど遊び狩をすることもありますし、オルカも食い散らかすことが知られていますが、それはまた他の小さな捕食者に回っていきます。熊など狩ができない時期が続くとやせ細ってなんとも可哀そうな姿になります。生きていくために捕食する。それがバランスをとることです。

 

だから、王者たちはもう、生きているだけで素晴らしい。それをストンと理解したら涙が出ました。

 

本当はどの生き物もそうですし、私だってそうなのですが、まだ自己肯定感アップトレーニングの途中なので、なかなか実感することができません。実感したら新しいものが見えそうですが、もう少し時間がかかります。だから王者の姿を見て、想像して思うのです。「あなたは生きているだけで素晴らしい。堂々と生きていてください。あなた、そしてご先祖たち、ご子々孫々たちが過ごすこの世界が素晴らしい。同じ世界に生きていてくれてありがとう」と。

 

高貴なものの存在に対して思う気持ちを、まだ見ぬイヌワシさんたちに対して抱いています。あの山のどこかに居てくれたらもうそれだけで、ただただありがたいです。山そのものが神の領域である感覚をおぼえるようになりました。知ってはいましたが、もっとずっしりと。

 

私は元々鳥の中ではシマフクロウが一番好きでした。北海道にいる、ミミズクじゃないのに耳を持つ大きなフクロウは、アイヌでは神様の存在の中でもなかなかの役割を担っていました。

 

北海道も風力発電の開発により、シマフクロウバードストライクがあるそうです。引き裂かれそうな絶望で身体が震えてきます。なんなんだろな、開発って。本当に今の人類のためになっているのかな。まあそんな神を犯すようなことは歴史上繰り返されてきて、それでも人類はしぶとく生き延びているのだから、開発や発展が即悪というわけでもないだろうし、あまり自分たちを否定するのもよろしくないのですが、猛禽類バードストライクだけは、私にとっては動揺を止められない案件なことをより深く実感しています。

 

ただ生きていて欲しい。

未来を生き延びてほしい。

尊い存在として、高く上空を羽ばたいてほしい。

 

そんな存在に実際に会えたとき、私もやっと「生きているだけで価値がある」って心から思える希望があるのです。支配されるというより、守られている感覚を生き物の王者たちに抱くことで、私も頑張ろう、生き物たちと生き物たちの暮らす環境を守っていこうと思います。守るというよりももういかに未来につなげていくかですね。私のできることは言語化してピーチクさえずることばかりだとしても、自分に価値を感じられるかな。推しのためにできることは、なんだってやりたい!猛禽類に恋をして、考え方がすっかり若々しくなりました。重い腰を上げて、少しでも山の高いところに近づいていかなくちゃね。

 

 

イヌワシ関連でかっこいい画像が気に入っている過去記事はこちら。イヌワシじゃない話も長いけど、イヌワシへの想いを募らせ中です。

kamenarien.hatenadiary.com

 

 

 

 

 

夏の虫、秋の虫

今年も沢山の虫との出会いがありました。

私、生き物が好きというだけで、虫が得意なわけではないと自己判定していたのですが、最近亀成園に来るお客さまたちの印象では
「虫、平気なんですね(信じられない)」が共通しており
むしろ「流石ですね(田舎の人)」みたいな反応なので、明言することにしました。
 
虫、好きです。
田舎の人でも苦手な人、興味ない人が多いので
一般に田舎の人が虫好きではないです。
むしろ虫がいるから嫌だぁと思っている人がかなりおります。見慣れていても好きにはなれないというのがかなりの共通認識です。
 
その中にあるとやっぱり私、虫好きというか虫にも興味津々です。多少不気味な姿をしていても、ちっとも嫌じゃないです。「〇〇おったー」と聞こえると走って見に行くくらい、小学生男児です。
「これはレアモノ」とか普通に思ってます。
でもハエとかアブとかGとかは容赦なく倒します。
えっ、「キャアッ‼︎」とか言わないですね。
バシッと。
そらよっと。
下がっててくださいっと。
 
好きな虫はたくさんいます。
カマキリと甲虫と蜘蛛とトンボ
 
だから夏秋が好きで、豊かな幸せを噛みしめています。ドン引き上等。素直になりました。
 
というわけでこの夏会えた素敵な虫たちを紹介します。まずはハナムグリ

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タマムシのようでいて、丸みの強いこの子は誰?
虫博士の息子に「ハナムグリ」と教えてもらいました。捕まえて投げると飛ぶそうな。そりゃ楽しい。
写真忘れましたがこの夏はタマムシも3匹出会い、1匹は捕まえることができました。明るい光の中で見るとホントに美しい虫で、何か作りたくなります。
 
他にも美しい虫との出会いがありました。

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道しるべになるという、ハンミョウ。
こんなにキラキラした姿だとは思いもよらず感激しました。ガラス細工にしたいくらいですね。
ハンミョウは香りもいいと後から聞いてまたびっくり。次会った時は鼻を近づけます。こんな生き物がいてくれることがただただ嬉しいのです。
 
オニヤンマも寄ってきてくれたし
黒い大きな蝶々も一度ならず私の周りを回ってくれたし
セミは何種類出会ったでしょう。
トンボはシオカラに赤とんぼにギンヤンマ。
そういえばミヤマクワガタ(生きてはいない)も見つけました。目が本当に真珠の粒のようでした。
 
そして今、季節は過ぎ
コオロギ、鈴虫、クツワムシ、キリギリスの声が聞こえます。
家の中で居ることもあり、そーっと近付いて捕まえるとめちゃくちゃ小さい体であることに毎度驚きます。
小鳥もそうですが、鳴く虫というのはその小さなサイズからは考えられないほどの大きな声でひたすらに鳴きます。生き延びるために。ただそのために。
 
だから野生の生き物が好きなのです。
必死で今を生きているから。
不安なんかなくて、あるのは希望だけ。
そんな青いことしか重ならないのが里山の生き物たちの姿です。
 
そろそろ暑い季節も幕を閉じるので、蜘蛛の姿が大きくなり、蟻の集団が増えてきました。アブや蚊、ハエなどは懲りずに頑張っていますが、人気のある虫たちはパタリパタリと姿を消していきます。そしてそれらを片付ける役割の生き物が動いています。
 
希望しかない、に加えて、役割を持って動く。
やっぱりそんな在り方がいいです。
 
まだまだ知らない虫がいくらでもいる生態系の中で生きていることに感謝して、夏の間捕まえていたカブトムシをそろそろ離してやろうかと考えています。手に触れることができる贅沢と、いつでも近くに居てくれる豊かさの両方を満喫できる暮らしを、いつまでも守っていきたいです。それはあまり簡単ではないからこそ最大限の力を使って、守りたいです。

風力発電を学ぶための貼り付けいろいろ

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風力発電事業について、概要や懸念事項、他地域での活動など今までいろいろと見てきました。もちろん網羅できているわけではないし、情報の偏りはありますが、縁のあった記事が今の自分に与えてくれた気付きは大きいです。

私ももっとまとめて書けたらと思いながら、分散してしまったり、書き濁してしまったり、筆の未熟さを感じています。わかりやすく書き残してもらっているページは本当に参考になるので、敬意を込めて貼り付けておきます。

 

基本的な考え方はこちらがわかりやすくそれなりの情報があるかな。

一般イメージが広がっていて、これからも広まりそうに記述してあります。

enechange.jp

 

なんだかエコなイメージがあったけど現実は?実際に起きてみないとわからなかったのかと恐ろしくなるにはこれが効きます。土砂災害然り

no-windfarm.net

 

こちらは住民目線での話

 伊賀の風の庭さんというところのブログです。同じように降って湧いた大開発(という名の自然破壊)に住民がどう動いてどうなったか。非常にわかりやすくまとめてくれていて、大好き。

fuu.life

 上からも飛べるのですが、

実際に出された意見書はどのようなものがあるのか、それに対しての回答も公開されています。意見書に目を通して涙し、心ない回答に憤怒するという忙しいことになるのですが、冷静に目を通すのはとても参考になります。

(仮称)ウインドパーク布引北風力発電事業についての意見と事業者の見解

 

風力発電は誰のもうけになるのかという別の視点もあります。私は苦手意識の高い話ですが、この大掛かりな工事が必要な事業が本当にビジネス価値のあるものなのか、立ち止まるきっかけにはなります。投資価値がないビジネスならそれを行うのは他の目的があるはずで、工事がしたいだけなら山を崩す理由にはなりません。

www.tainavi-pp.com

 

苦手分野を考えると顔がゆがむので、好きなことを。

こちらは野鳥それぞれの種について参考になるので、固い内容だけど大事だなぁと思っています。風力発電に際して、鳥の身になって考えたら鳥肌たちますね。ギャグ挟むつもりはなかったけど、けっこう鳥は肝になることもあるので、取りこぼさないよう貼っておきます。

風力発電野鳥に与える影響のまとめ

 

 

ここからは私の吐き出しです。

全国にも、世界中にも、もういい加減にしてよというほど、同じように苦しんで立ち向かってきた人々がいます。でも自分もその境遇になるまであまり気付いて来ませんでした。クリーンエネルギーを謳いながら大規模ソーラーと同じ臭いがして好みでないなと直感的にいい印象がなかっただけで、ずっと関わることもないと避けていたのです。反省しかありません。そして飯高町が狙われるとは思ってもいなかったのです。勝手なものですね。

なぜこんな険しい山々に囲まれた場所が狙われたのか、業者は何がしたいのかはいまだにわからないと言っておきますが(工事費かさみそうですし、まず工事危険)、それだけ山の価値は経済的には低くて扱いやすいと思われたのでしょう。人の少ない山の奥ならだれも気にしないだろう。とにかく建設して事業にしてお金集めることだけで、あとの事なんて考えていない。そんなうわっぺらな思考の人に目を付けられる程、この地域や狙われた地域は価値がないのでしょうか。

 

そんな馬鹿な!です。事業者や関わる人たちはは知らず気付きもせず、もしかして多分貧しい命の体験しかしてこなかったので、経済価値だけですべてが決まる勘違いを犯しているだけです。勘違いというかほぼ犯罪なのですが、法律上では人と他の生き物は全く違う扱いなので、ヒト優先にしても犯罪にはならないというだけの話で、命の冒涜であることは間違いないです。

 

されどそれも可哀そうな話です。

今回の話は風力発電だから問題であるのではないのです。

「生態系豊かな森林を壊すことに警鐘を鳴らさなくていいのか」という話です。

 

香肌峡の自然環境は豊かです。と言っても遠く離れた人たちがありありと想像することは難しいですが、珍しい生き物が数多く棲息していることが報告されており、モリアオガエルが居るとかオオダイサンショウウオが居るとか聞けば、「おっ」となる人も少なくないでしょう。やっぱりマニアックかしら。クマタカのほうがメジャーですね。それよりカブトムシやホタルの川で押すか、カモシカとクマで身近に感じてもらうか。

古いデータですが、流域の自然環境についての報告があるので貼っておきます。

真面目なデータが好きな方、生き物好きは興奮してしまうかも。

https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/pdf/kushida-4-2.pdf

 

そして香肌峡の水は美味しいです。つい昨年度に井村やから商品化もされました。私たちがいつも飲んでいる水とは異なりますが、目と鼻の先にある会社が深く関わっているプロジェクトです。これも山が崩れたら台無しになると思うとゾッとします。

www.imuraya.co.jp

 

私はこの山を壊す計画についての恐ろしい話を、松阪市大台町にある間違いなく世界でもトップクラスの豊かな自然環境を、心惹かれる人にもっと発信するきっかけにしていきたいです。移住5年目の私よりうんと前から香肌峡のファンである人は大勢おりますし、今回の話を聞いて駆けつけてくれています。住民だけでなく近隣の人々にも安らぎや癒しを与えてくれる自然環境を、漠然とした電気エネルギーのため(実は電気のためでもない)に壊すことに憤りや深い悲しみを感じて動く人が住民の他にもたくさんおります。

亀成園を訪れてくれるお客様も、

「山河に囲まれてゆったり過ごしていると子供の頃田舎で過ごしていたことを思い出した」とか

「懐かしい気持ちがした。すごくよく眠れた」とか

「何もかも美味しかった」などコメントを残してくれる方がいらっしゃり、この自然環境はその方達や未来のお客様にとっても、容易に失われてはならないものです。

 

反対運動をしているのではないのです。

反対して退かせることが目的でもありません。

ゴールはもっと先。

香肌峡の自然に囲まれて、豊かに楽しく生きていく人々をもっと増やすことをいつだって描いています。最近は雨続きで川遊びが進んでおりませんが、清流につかって山々を眺める贅沢は、電気や銭では到底叶いません。

つべこべ言わず飛び込め―!

事業者も投資家も国の真ん中にいる気の人たちにも、飛び込ませてあげたいですよ。

 

SAKURA プロデュース夢想

今週のお題「下書き供養」

誰も見てないとは思うけど、見てほしい気もする話を恥を忍んで、がテーマです。

 

【桜って罪】

花に浮かれる気はあるものの、桜の季節を素直に喜べない気持ちを永年抱えてきました。咲く前からそわそわして、咲いてからは各地の花を急いで追いかける。わずかな時期しか咲いてくれない花を見逃すのは申し訳ないけれどどうしたって間に合わなくてもったいない。でもだからこそいいのかもしれないと焦りながらの2週間。この落ち着きのなさは何なのだろうかずっと不思議で、もっと長く咲いていてほしいけど早く散ってしまってほしい矛盾した気持ちもあり、「もう、なんなん、桜!」が精一杯の小さな叫びでした。

 

なぜこんなにも気が惑わされるのか、この春急に気が付いたことがあまりにも恥ずかしかったけれど、残しておきたい気持ちでもありました。

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SAKURA もちっ娘 5

 

 

 

花の命が短い故に、あらん限りの力をもって咲きまくる桜の花たち。

他の花より先駆けて咲く河津桜エドヒガンに期待を持たせられ

校庭や公園や並木道で一斉に儚く咲くソメイヨシノに圧倒され

少し遅れて存在感を見せてくる、和菓子風の山桜。

時期をずらして咲き、佇むラインが艶っぽさを放ちまくりのしだれ桜。

また遅れて登場するポップで柔らかさ抜群のぼたん桜。

 

短い時期にこれでもか、これでもかと魅力的な個性を咲かせて散っていく桜を追いかけている

私はもう、秋元康だったのです。

 

期間限定の若い花をきゅきゅっと閉じ込めてプロデュースしたい。

愛でて褒めて輝かせたい。

自分に潜む親父心の大きさに愕然。

 

 

以上。

封印。

 

「生物多様性はなぜ必要か」講座を受けて

亀成園母が園主と共によく聞かれることの一つに

「なぜ移住先をここ(三重県松阪市飯高町森)にしたの」という質問があります。

 

・川がきれいだから

・風通しがよく畑も茶畑もあったから

・古民家と相性がよかったから

などがふんわりとした理由で、もっと真に迫った理由は

生物多様性を軸にした持続可能な暮らしがくっきり描けたから

なのです。

が、この言い方で納得して下さる方はまずおりませんね。私としてはこれ以上はっきりとした理由はないだろうという思いと、それはわかれというほうが無理だろうとの思いの狭間におります。なかなか落としどころを見つけるのが難しい回答です。

もっとも、人に対してわかりやすく伝えるならば

・学校も近くて子育てによい環境だと思ったから

・土地と家とのいい出会いがあったから

・関西からアクセスがよく暮らしやすそうだったから

などが好まれるのでしょう。付け加えることはできます。けれど私自身があくまで基準においているのは「里山暮らしと生物多様性への興味関心」なのです。その環境に一刻も早く子供と共に身を置きたかったというのが偽りのない理由です。

とはいえ私がどれだけ「生物多様性」についてわかっているのかな、どれだけ伝えることができるのかなともやもやした思いがありました。ここが生物多様性を日々実感する最適地と綿密なリサーチをしたわけではないのです。そんなことしていたら暮らすところは見つからずいつまでも時間だけが過ぎていきます。けれど年々暮らしていて飽きることのない場所です。樹木の種類が多く、里山としての歴史が長く、多様でいながら居心地のいい暮らしができているのは場所選びが間違っていなかったからだとは思うのです。もう少し直感を煮詰めたいとの思いがあったので、三重県主催の環境基礎講座に「生物多様性はなぜ必要か」のタイトルを見つけて飛びつきました。

環境基礎講座2020|イベント詳細|生涯学習センター|三重県総合文化センター

 

朝からそわそわして午後いっぱいを使って津まで出かけていき、講座を受けたのが8月最後の土曜日でした。環境問題やSDGsに興味関心があり、時間を割いて集まることが可能な県民が40名ほど集うことになった、なかなか盛況な講座でした。

 

講座の内容は「みえ生物多様性推進プラン(第3期)」を学び、三重大学の理科教育講座を受け持つ講師の講義を聞き、質疑応答という二時間半の流れでした。

 

生物多様性が何なのか、学術的に詳しいことを知りたければ、講義でも紹介されていた本にわかりやすそうなのがありました。生命の歴史や適応進化、絶滅のプロセスや保全制度に事例など、的確な絵図と共にわかりやすく説明されています。

 

絵でわかる生物多様性 (KS絵でわかるシリーズ)

絵でわかる生物多様性 (KS絵でわかるシリーズ)

 

  そんな生物多様性って何だろうとか、生物多様性保全するためにどんな取り組みがなされているのだろうという話以上に講座でつかみたかったのは、それは自分にとってどういう意味や価値があるのだろうということです。講師の方がおっしゃっていたので印象的だったことの一つが下記です。

・名前も知らない虫が一種絶滅したところで何か感じますか?

 

 私はどうやらかなり虫に好意的なヒトなので、たとえ名前も知らず見たこともない虫でも見てみたいなとは思います。面白い形をしているかもしれないし、きれいな模様やきれいな鳴き声かもしれない。もしかしたら稀にみる能力を持っているかもしれないし、いなくなっても構わないとは答えられません。ですが本当に取るに足らない微生物にまで興味を持てるかと問われれば正直返答に困ってしまいます。

 なにせ生き物の種類は途方もなく多いです。哺乳類は約4000種、鳥類9000種、爬虫類6000種くらいならなんとかその姿と名前を一通り流し見することくらいできそうですが、魚類は1万9千種、菌類は4万7千種とくると太刀打ちできそうにありません。それなのに花のある植物ときたら25万種だというし、昆虫にいたっては75万種というのです。現在わかっているだけの数でこれなのです。毎日10種ずつ頑張って覚えたとしても(覚えた端から忘れていくのに)、十年かかっても昆虫の0.05%にもならないのです。実際はもっと大まかな分類があって亜種も沢山で相当詳しいイメージはつかめるとは思うのですが、本当に詳しく親しくなるには目がくらむ世界であることは間違いなさそうです。

 その中の一種類の生存は自分に何の影響があるのか。講義を聞いた参加者はみな立ち止まって考える機会になりました。実際は座っているんですけど気持ち的にもね。

 

 ぺらーんと画一化されたところよりも、凸凹していてなんでもありのところのほうが魅力があるというのをどうもっともらしく言ってのけるかが、生物多様性を謳いたい人の目標です。プランテーションでなくパーマカルチャーを。砂漠化を防いで森林を。養殖より天然で、精白米ばかりより雑穀いろいろ、な気持ちを直感から進めていきたい。どうもそんな思いが奥にあって、だから経済的指標に外れても価値を付けて残していきたいと願っているのです。ナチュラリスト、エコロジストだけでなく生物学者もいろいろな研究機関も研究を応用したい企業や事業者なんかもきっと。

 

 多様性に向き合う価値観は簡単に正解を出すことはできず、個人の想いはなかなかまとまりそうにありません。それでもなんとなく生物多様性というキーワードがひっかかる人は、野や森や海が好きな人です。花鳥風月を愛しむことに価値がある人です。だからこそ細かい興味はバラバラで、工業化都市化砂漠化に立ち向かう力はそう強くありません。このままではなんだかいけないのがわかっているけれど、どうしたらいいだろうとやっぱりもやもやしています。

 

 講座を受けて学びが沢山ありました。気付きも少しありました。まだ行動に伴うレベルにはなっていませんが、火を絶やさずにはいたいです。そして数日後、薪割をしていたら木と皮の間から、まだ見たことのなかった生き物に出会いました。

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クロイロコウガイビル

 

 ナメクジのような、ヒルのような、三角頭をした生き物として検索したらすぐに「コウガイビル」と見つかりました。名前にヒルとついていますが吸血性はなく、ナメクジに近い仲間のようです。このタイプの他にも何種類もいるらしく、今まで潰されているのを見たことはあったような気はしますが、生態はまるで知らなかった生き物でした。

 

 簡単に言うとどうにも気持ちの悪い生き物です。かわいくもかっこよくも美しくもありません。ぬめぬめしているし、やけに長いし色も取るに足りないようなくすんだような。この生き物の価値と言われると私にはどうにも答えようがないのですが、自分が暮らしている同じ敷地内にこんな生き物もいるのだという発見は、私の心を明るくしました。クロイロコウガイビルが暮らしに役に立っているとはまだ想像もつきませんが、同じ場所で暮らしているのだと気付くと、こいつが絶滅しても構わないとは思えなくなりました。単純なものです。

 

 生物多様性とは飛躍するかもしれないのですが、こうして多種多様な生き物を好きも嫌いもなく受け入れるようになることで、人に対しての受け入れ幅が広くなったらいいなと思うのです。率直に言えば、偏見や差別意識をなくして他者と接していくことができたらなと思うのです。どんな気が合わない人や得体のしれない人でもクロイロコウガイビルより得体のしれないことはないと思うのです。気は合わなくても言葉や表情でコミュニケーションを試みることはできるのです。クロイロコウガイビル(何度も比較で登場させて申し訳ないですが)がいてもいいなと思う世界でいてはいけない人なんているのかなと、なんだか思考が柔らかになるのです。

 

 地球の中で自分の存在は1000万種のうちのたったひとつに過ぎなくて、たったひとつの70憶人のうちの一人に過ぎない。ここから見渡せる範囲にどれだけの種類の生き物がいて、どれもが私が居ることを許してくれている。刺してくる蚊やアブと攻防するし、植物を利用したり枯らしたり踏みつけたりするし、猟も漁も積極的にするし(私には腕はありませんが)、それぞれの生き物との関係性は様々です。それでも日々絶え間なく攻撃されることもなく、締め出されることもなく、無視されることもなくここで生きているのです。

 

 畢竟、いろいろこねくり回して考えてみて、私にとって大切なことは「このままひとつの生き物として生きていきたい」ことに他なりません。そこに人類の発展はあるのか。経済成長はあるのか。その前に子供の成長に責任を持てるのかという厳しい現実とどう折り合いを付けられるか。なかなか満足いく人生軌道に乗れませんね。それでもなんでも、あるがままの生き様を面白く、を貫いて生きたいです。

 

 

 

博物館で昆虫採集

あまりに暑い夏ですね。気候は徐々に砂漠化していくのかと行末案じられます。亀成園は山間地域にあるのでヒートアイランドで蓄熱する都会よりは過ごしやすいはずですが、畑作業や草刈り、朝夕の散歩など外で過ごすと噴き出すように汗が出ます。幸いこの夏はまだ台風もなく畑は平穏です。たっぷり夏野菜を食べてたっぷり汗をかくのは健康的な過ごし方。午後は川に飛び込んで一気に身体を冷やせば最高ですね。

 

とはいうもののたまには冷房の効いた建物で過ごすのもありだろうと、博物館に行ってきました。なにせ私は博物館や美術館という物がとても好きな人種なのです。人によっては睡眠薬にしかならないミュージアムをせっせとチェックしてはワクワクしております。家族みんなが喜んで付き合ってくれるわけではありませんが、津市にある県立博物館であるMieMuは広々とした建物だけでも楽しいし、三重県のバラエティに富んだ地形に暮らす生き物や歴史などの常設展のほか、三重県の自然にちなんだ展示を数多く行なっている魅力ある博物館です。そしてここには保護されたオオサンショウウオもおります。好きな生き物の一つなのですよ。亀成園からは高速使わずに1時間半ほど。好きな場所なのになかなか足を運ぶ機会がなくて、クジラの展示を理由に久々に訪れることができました。

https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/

 

以前訪れたときはまだ三重県のことをよく知らず、なんとなく見ていただけの展示、今回どれだけ深く理解できるか楽しみでした。

 

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けれど予定が予定通りに行かないことに楽しい価値があるというのが実際に出かけてみる面白さです。この日博物館で夏休みイベントのスタッフをやっていた知り合いがたまたまいたため、流れるように急遽昆虫採集に参加することになりました。完全に流されたわけなのですが、昆虫の先生指導のもとでの採集と観察はとても楽しくためになったので、この日に訪れたのが正解でした。

 

亀成園の息子はなかなかの虫博士で捕まえるのも上手です。夏は毎日カブト虫を戦わせ、バッタ類を瞬時に見分け、トンボやイナゴで秋の訪れを感じる昔ながらの風流といっても良い育ち方をしております。

 

博物館の敷地内にある観察用野原には夏の虫がたくさんおりました。木に止まっているセミ類、草むらのバッタ類にトンボや蝶々など、大人も子供も支給された大きな網を存分に振り回して虫を集めていきました。

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セミは木の高い位置で見つかるので子供の背では採るのはなかなか難しいです。先生の秘密兵器は小さいけれど伸縮する優れものの網なので、目の前で次々に捕まえてくれました。アブラゼミクマゼミがどんどん溜まりました。

トンボや蝶々は虫かごに入れるとバタバタ羽を傷めてしまうので、三角の紙に包んで保管します。私も必死でトンボを二種捕まえましたが蝶々はヒラヒラ逃げられっぱなしで苦労していたら、娘があっさり捕まえておりました。視力や反射神経の差が出ますね。

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そんなこんなで四十分ばかり暑い中虫捕りをしてヘトヘトになりましたが、博物館に戻ったら図鑑で調べ学習です。ハンディサイズの図鑑が幾つも用意してありましたが、下の2つは特に使い易かったので「欲しい物リスト」に追加です。

 

ひと通り調べた後もお話があり、虫がよくいるのは林の中よりも開けた野原であることや、セミの抜け殻から性別や種類を見分ける方法など、なんとなくの虫好きには有意義な機会でした

 

足を運ぶところにはチャンスがある。予定を立てながらもふらりと流れになる軽さが好きです。もちろんその後空腹に耐えながらも展示を見て、断片的な三重県の姿がだんだんつながったきました。近年の気候変動などによって、生態も歴史の流れも変わったいくのだろうけれど、保存や研究を続けてくれている博物館というのは本当にありがたいです。

 

また次に訪れるときは自分なりのテーマを決めて、じっくり眺めてみたいです。